「妄想旅ラジオ」ポッドキャスター ぐっちーが綴るもう1つのストーリー「妄想生き物紀行 第31回 サル〜サルのダジャレ2連発に、もうこりごりら」
サルと言っても色々な種類がいる。一般的にサルは哺乳綱、霊長目に属する生物のことを言う。これまで当エッセイでは様々な生き物を見てきたと思うが、生物の分類には綱、目、科、属、種の階層があり、目は非常に大まかな分類単位だということがお分かり頂けると思う。霊長目にはヒトを始め、ゴリラ、チンパンジー、オナガザル、メガネザル、キツネザル、ロリスなど、様々な種類がいる。
日本語におけるサルには様々な種類の動物が含まれることは、現代においては常識である。しかし、昔の日本にはサルはニホンザルしか生息していなかった。つまり、サルと言えばニホンザル1種類だったのである。今のように世界各国の霊長類を比較することができなかった先祖達は、時々山から降りてきて農作物を荒らす存在のことをサルと2文字の短い単語で呼んでいたのである。
ところで、ものの名前は身近にある存在ほど短い音節で呼ばれると私は思っている。あくまで個人の妄想でしかないので注意頂きたいのだが、ハエ、カ、ネコ、イヌ、ウシなど人間の生活に密着した生物は2文字以内の名前がついている。1文字だと清音濁音から「を」と「ん」を抜いた64種類、2文字だと同じく64×65の4160種類までしか命名できない。体のパーツや自然現象なども含めた中で2文字以内の名前を命名されている生物は特別な存在だと思う。特に、カ(蚊)とウ(鵜)は特定特別生物と言っても過言ではない。安眠を妨害して血を吸うカについては納得できるが、ウについてはそこまで特別な気がしないものの、昔は特別な存在だったのだろう。
さて、映画「猿の惑星」をご存じだろうか。ご存じない方のためにあらすじを紹介したい。猿の惑星は1968年のアメリカ映画で、チャールストン・ヘストンが主演を努めた。宇宙飛行士である主人公がある惑星に不時着し、そこは人間が動物のように、そしてサルが人間のように生活する惑星だったのだ。サルに捕らえられた主人公は奴隷のように働かされ、洗濯をさせられるのである。そして一言「サルのはくせえ」。
最後の部分は創作なので忘れて欲しい。この「猿の惑星」の原題は「Planet of the Apes」である。英語のサルはApeとMonkeyの2種類ある。Apeはゴリラ、チンパンジーなどの類人猿を指し、Monkeyはその他のサルを指す。もし題名が「Planet of the Monkeys」だったらディズニー映画になっていたもしれない。女性宇宙飛行士がお姫様として迎え入れられ、楽しい日々を過ごすが、地球に帰りたくなりみんなで協力して宇宙船を修理する。そんな可愛いストーリーになりそうだ。
Monkeyといえばロックバンドの「モンキーズ」を思い浮かべる40代以上の方も多いだろう。恥ずかしながら、今調べるまでモンキーズはMonkeysだと思っていた。いや、Monkeiesだと思っていた。なぜMonkeyを複数形にする際、中学校で習ったはずの「yで終わる単語はyをiに変えてesを付ける」が適応されていないのだ。それはさておき、モンキーズは正式にはMonkeesで、サルとは無縁である。
1992年は申年だった。この頃私はラジオが好きで、特にラジオドラマを好んで聞いていた。NHK-FMのサウンド夢工房という番組があり、短編のSF小説などを朗読して放送していたのをよく聞いていた。1月初め、申年ということもあり、サウンド夢工房では「猿がヂャラヂャラ」という番組が放送されていたのを覚えている。そのオープニングで流れていたのがモンキーズの「Theme from the Monkees」だ。Hey, Hey, We are the Monkees!と小学生でも分かる簡単な英語で軽快に歌い上げるこの曲を皆さんも聴いたことがあるだろう。初めて聞いたモンキーズの曲が申年のオープニングに流れたらサルと関係があると思うのも無理ない。
モンキーズは1960年代に活躍したバンドなので、1992年当時は懐メロといっても過言ではなかっただろう。テレビなどでBGMとして使われる楽曲はおおよそ30年周期で利用されているように感じる。それはBGMを選曲する年代の人が昔聞いた曲から選んでるからではないかと推測している。1990年代の私が1960年代の曲を懐メロとしてではなく新鮮な音楽として聴き、2020年代の子供世代が1990年代の曲を新鮮な音楽として聴く。音楽は時代とともに去るのではなく、訪問客(ほうもんきゃく)のようにやって来る。
(by ぐっちー)
<編集後記>
※このエッセイ「妄想生き物紀行」は、ポッドキャスト番組「妄想旅ラジオ」の第31回「サル」 と関連した内容です。ポッドキャストはインターネットのラジオ番組で、PCでもスマホでも無料でお聴きいただけます。妄想旅ラジオは、ぐっちーさん、ポチ子さん、たまさんの3名のパーソナリティーが毎回のテーマに沿って「生き物」「食べ物」「旅」について話す楽しいラジオ番組です。
ぐっちー作「妄想生き物紀行」第31回「サル〜サルのダジャレ2連発に、もうこりごりら」いかがでしたでしょうか。
今回もお読みいただきありがとうございます、編集担当オーナー雨こと斎藤雨梟です。
こんにちは!
ダジャレでしたね。はい、ダジャレでした。
私からのコメントは以上です。
……と言うのもなんなのでひとこと。Monkeys にあらず Monkees であるという、そのMonkeeとは何なのだ? と気になってなりません。
スポーツのチーム名 “White sox”や “Red sox” になっている “sox” は “socks”(靴下)とよく似た謎の単語ですが、意味するところは靴下で、”sox”は”socks” の意図的確信的なスペルミスだと聞いたことがあります。Tokyo を Tokio と書くみたいな感じでしょうか。”monkee” と “monkey” の関係も同様なのか、もっと別の意味が込められていることがネイティブかつ同時代の人にはわかるのか? どなたか詳しい方、ぜひ教えてください。
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— SAITO Ukyo (@ukyo_an) July 7, 2020
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