X(旧Twitter)でお話しました
みなさまこんにちは。「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。
今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「ジャッカル〜ジャッカルとイナバウアーとヒッグス粒子」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。
先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。
「Aじゃん」でええじゃないか!
いや〜、すごいんですよ。何がすごいって、
ぐっちーさん、「フロントサイドトリプルコーク1440」を動画で見ていい二つ名を考えていますが、もう「すごいでんぐり返りジャンプ」くらいしか思いつきません。何か名案はありませんか
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 19, 2024
ぐっちーさんが「フロントサイドトリプルコークフォーティーンフォーティ」というスノーボードの技に名前をつけたいとコメントしていたので何だそれは、と動画を見てはみたものの、すごいという感想しか出てきません。
命名法として
⒈その技を得意とする選手の名前を付ける
⒉その選手のあだ名を付ける
⒊動きを動物などに例える
⒋全く関係ない名前を付けるジャッカルは⒉と⒊の両方を満たすいい命名でした
これを超えるのは至難の業ですね— ぐっちー (@mousou_guccy) April 19, 2024
まったくですね。すごいでんぐり返りジャンプできちゃう選手はみんなすごいので、みんな「すごいでんぐり返りジャンパー」ってあだ名をつけちゃいそうです。ますますいい命名は遠ざかっていきます。
富士急ハイランドの「ええじゃないか」というアトラクションは、3種類の回転を味わえるそうですよ。
それにちなんで「Aじゃん」なんて名前はどうですか?技の難易度が高度に進化すればBじゃん、Cじゃんと名付けていけるし🤔— ポチ子 (@mousou_pochiko) April 19, 2024
ポチ子さん! ナイスアイディアありがとうございます。
絶叫系アトラクションも、怖さを売りにするだけでなく、「あのアスリートの感覚が体感できる」というアピールもありですね。K点超えコースターとか。もれなく怖そう。
ええじゃないかと言えば私の中では森見登美彦さんの太陽の塔という小説のラストを思い出します
元から離れてしまいました— ぐっちー (@mousou_guccy) April 20, 2024
私はぐっちーさんのこのコメントを見て、「知り合いを六人たどれば世界中の人と繋がれる」説を思い出しました。連想を広げるとほんの二つ三つのプロセスでとんでもないところへ行き着くので、もし今の連想から「フロントサイドトリプルコーク1440」が「太陽の塔」という名前になっていたら、その由来を辿るのは至難の技でしょう!
Aじゃん、ええじゃないかが由来というところが程よく出て程よく隠れていいですね。Bじゃん、Cじゃん、とついていくうちに「実は命名の由来は富士急ハイランドの……」というのがすごくいい具合の雑学になるところも絶妙ではないでしょうか😀
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 20, 2024
連想も1プロセスで止めておけば、命名の由来がこのようにいい具合に納得できるエピソードに収まりますね。
ものの名前の由来がたいていは「諸説あるが不明」なのは、連想のスピードが速いからなのかもしれません。
スノボと有機化合物の共通点
トリフィドさんからコメントいただきました。
スノボの技の名前、化合物の標準名のように共通言語になってて、面白いです
練習しているクラブや地域内だけの慣用名もあるかもしれないですねモノ(要素)と違って、シークエンスは比喩による命名が難しい…
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) April 20, 2024
確かにスノボの技、妙に系統だってスッキリしていますよね。
「フロントサイド」は前側
「トリプル」は三回転
「コーク」はコークスクリューという斜めに回転する技
「1440」は合計の回転角度を表しているそうです。
便宜的に使う1,3,5-シクロヘキサトリエンはベンゼンと言うように数字と技の組み合わせがまさに有機化合物の命名と同じですね
興味深い— ぐっちー (@mousou_guccy) April 20, 2024
有機化合物は、基本となる鎖状や環状の炭化水素がどこで分岐していて、どこに何が結合しているかで名前が決まり、名前を聞けば構造式がわかるという仕組みでした。忘れたけど昔習いました。忘れたけど。2回言っといた。
ベンゼンの語源は?
— ポチ子 (@mousou_pochiko) April 20, 2024
あ、それ気になります。
「ベンゼン環」って芳香族の基本の構造で、ベンゼン環のどこに何が結合しているかで「エチルベンゼン」などと名前が決まるんでした。じゃあベンゼンってどこからきた名前なんだ?
じゃあベンゼンて何よ? って私も思いました😆
wiki によると
「ミチェルリヒが安息香酸(benzoic acid)と生石灰を蒸留して得た物質にbenzinと名付けたのが名前の由来」
とあって、わりと適当というか、有機化合物の命名法が系統立ったものになる前なのかなと歴史を感じます— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 20, 2024
はい、ベンゼンは材料由来の名前だそうです。料理名で言うと「芋の煮っ転がし」タイプ。
系統どこ行った! と突っ込みたくなりますが、最初から系統立てられるもんじゃない。そういうものですね。
体操も2回捻りなんかのように小技の蓄積でしたね
— ぐっちー (@mousou_guccy) April 20, 2024
体操といえば「月面宙返り」という命名は名作ですね。
ポチ子さん、どうもありがとうございます!
専門用語の花園
はい
シクロ-L-ラムノヘキサオース(IUPAC名はXの1ポストに収まらない)の慣用名:シクロアワオドリン(阿波踊り由来)へのオマージュで、シクロカサオドリンがあったりhttps://t.co/jLIYHrZhO1
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) April 20, 2024
!?
シクロアワオドリン? 何それ……
ネーミングは重要だと思います
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) April 20, 2024
そうですよね、重要です、わかります。でもシクロカサオドリン? 今日はエイプリルフールだっけ?
シクロカサオドリンにシクロアワオドリン!?
すみません、嘘記事じゃないか何度も疑っちゃいました。面白いですね! 構造式が阿波踊りに似ているというのも、なるほどなんだか似てるし。ベンゼン環と猿のエピソードを思い出しました。— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 20, 2024
驚きました。本当にあるんですね、そんな物質名が。
ちなみにシクロアワオドリンの構造式はこちら。
輪になって阿波踊りを踊る人たちに似ている、ということらしいです。
実際似てますよねこれがまた! すばらしいネーミング。
系統立った命名があり、一方面白い慣用名もある。素晴らしきかな有機化合物の世界。
法則を知る人には聞いただけで(どんな技か知らなくても)ある程度予想ができそう、と思わせるところに萌えます
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 20, 2024
専門用語ってはたから見るとワクワクするところがあります。わかる人にはわかるんだろうなと想像する楽しさといいましょうか。専門性の花畑も美しいし、「阿波踊り」みたいな、素人にもわかる卓越したセンスの花が一輪、咲いていたりするのも素晴らしい。科学やスポーツにはまだまだ秘密の花園、いっぱいあるんだろうなあ……
イラストをデジタルで描かれる場合の、エフェクトの足し引き・掛け算の組み合わせに、1回でまとめて適用できる「技名」を付けたり、描く前のプリセット値に世界観の名称をつけたりされるのでしようか?
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) April 20, 2024
えっ、デジタルイラスト!?
そんなところにも花畑が広がっているのかしらん。
それ、いいですね!複数の工程からなるエフェクトに「**効果」と名前があるのを何個か思い出せる程度ですが、エフェクトの組み合わせが簡単にできるフィルターやプラグインの配布や販売があるので、それに作成者の名前や世界観を思わせるかっこいい名前がついたら広まるかも😀
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) April 20, 2024
エフェクトの組み合わせにも、私が無知なだけで百花繚乱・専門用語の花園がすでにあるのかもしれません。複製したりぼかしたりレイヤー効果変更したりアレしてアレする「グロー効果」とかは知ってます。あと、「ライトセーバーの描き方」とか「魔法陣の描き方」とか、デジタルイラストの先達たちがネット上に記事や動画を公開しているのを目にすることはよくあります。ああいうの大好きですが、自分独自の名前をつけている人をあまり見ないのは、みんな謙虚だからか? デジタル絵の世界に独自の「技」を生み出せるのはすごいことなのですから、先達の功績をリスペクトすべく、密かに命名しようかと思います。
意外と身近なところに花園の土壌を見つけてわくわくしてしまいました。
トリフィドさん、どうもありがとうございます!
さてページトップの絵ですが、ジャッカルです。本企画ではままあることですが、お題となった「ジャッカル」は放ったらかしの今回。ですが、「ええじゃないか」に「阿波踊り」に「傘踊り」と、妙に踊りが登場したのは、これはもうジャッカルが踊りたがっているに違いないと思った次第。次第と言われても、とお思いでしょうがぐっとこらえて。かわいいですよね、踊るジャッカル。ね?
ラグビーだけじゃありませんのよ。踊りは得意。特に阿波踊り。というわけで、今回はこれにて。
次回のテーマは「ホタテガイ」です。妄想旅ラジオ第100回「ホタテガイ」と関連した内容になります。すでにお知らせしている通り、約4年間ご愛読いただいた「妄想生き物紀行」ですが、100回目をもっていったん終了となりますので、次回は最終回です。エッセイもXでぐっちーさんとお話しよう企画もいよいよ最後。みなさま、ぜひエッセイを読んで、ぐっちーさんとお話しましょう! ホタテガイは「妄想旅ラジオ」の原点に帰るテーマ。ラジオのほうも、エッセイの予習がてらぜひ、初めての方もヘビーリスナーの方も、聴いてみてください! 次回もどうぞお楽しみに。