思い出のヒツジガリ

このお話は、ホテル暴風雨の庭園に生えてきた新種の植物のお話です。
絵とお話「伝説の羊の木」
マンガ「何が見えますか?」
絵とお話「はじめまして、お名前は?」
絵とお話「大きな大きな莢」
マンガ「メエサクさんと豆」
を先にお読みになると、よりお楽しみいただけます。では、はじまり、はじまり〜!

ウルミ

みなさま、こんにちは。フロントのウルミです。
仕事の合間の食事休憩って、楽しみですよね。今日はツボミさんとハナさんと一緒にお昼を食べる約束なんです。

こんにちは〜、お疲れさまです!

ツボミ:「ウルミさん、例の豆を開けるところ、見てきたんでしょ?」

ウルミ:「耳が早いですね。これ、見てくださいよ、もらってきたんです」

ハナ:「うわ〜、羊毛ですね。豆からヒツジが出てきたんですか?」

ウルミ:「ううん、豆はまだ調べ中。でも、さやを開けるとこのフカフカな毛が出てきて、中に豆がくるまってるんです」

ツボミ:「ええ〜、かわいい!」

ウルミ:「ほんと、かわいいんですよ。しかもウールそっくりでしょう?思い出すなあ、懐かしいなあ、ヒツジ刈り」

ツボミ・ハナ:「ヒツジ狩り!?」

ウルミ:「何言ってるんですが、しかもブルブル震えて……。ヒツジ刈りです。刈・り!草刈りとか五分刈りとかの刈りですってば」

ツボミ:「ウルミさん、そういえば編み物が好きだって。糸を作るところからやるの?」

ウルミ:「そうなんです。アルパカさんやアンゴラヤギさんからもよく毛をもらって、お礼にマフラーや帽子をあげたりしてたんですよ」

ツボミ:「でも、怖がられなかった?」

ウルミ:「もちろん怖がられましたよ!いちばん怖がらなさそうな人に声をかけてお願いするのがコツです」

ツボミ:「へえ〜、そういえばメエサクさんとは前からの知り合いみたいだけれど、もしかしてそういう?」

ウルミ:「そうですよ。あの人、最初から全然怖がらないのでありがたかったなあ」

ツボミ・ハナ:「ええっ!?」

ウルミ:「まあ。それはおいといて、このフカフカの毛、いっぱいもらえそうなんです。糸もたくさんできるから、何か編んで欲しいものがあったらリクエストしてくださいね」

ハナ:「えっ、ほんとに?じゃあ、タイヤ!」

ウルミ:「……編んで作るものではないかな?ツボミさんも何かあったら」

ツボミ:「う〜ん、手編みで作るのって、冬のものって感じがしちゃうけど」

ウルミ:「冬に向けて今から編んでもいいし、夏用の涼しい糸を作って、サマーニットやワンピースなんかどうですか」

ツボミ:「うわ〜、それ、いいなあ」

ハナ:「水着!水着は!?」

ウルミ:「ど、どうだろう?やってみましょうか」

ハナ:「そうだ、巨大な豆の編みぐるみは?」

ツボミ:「それ面白い〜、豆から作った毛糸で豆を作るなんて!」

ウルミ:「面白そうですね。豆柄のマフラーとかもいいかなあ」

夏の編み物、あまりしない方が多いように思いますが、冬に備えて今から編めばバッチリ間に合いますね。冬に備えるといっても、ホテル暴風雨の場合、季節は島の進路次第。しかも暖かい場所にいることが多いのですけれど。本当に豆の編みぐるみを作ろうかな?なお、例の新種の「豆」本体はまだ調査中みたいです。ウルミでした。


ホテル暴風雨ではみなさまからのお便りをお待ちしております!

「ホテル暴風雨の日々」続きをお楽しみに!暴風雨ロゴ黒*背景白


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