こんにちは。
ホテル暴風雨、メインダイニングのシェフをつとめております、ジュロウです。
今日のランチタイムはひまでしたね。天気もいいこんな日はのんびり海を見ながらおむすびでも食べて休憩するのが最高です。もしかしてお客様がたもそう思われるからレストランにいらっしゃらないのでしょうか?
それはさておき、当ホテルにもやっと普段の日々が戻ってまいりました。いやはや、総支配人の存在感に改めて感じ入っているところです。休暇のおみやげにも驚きましたし、あのトラ紳士と「トランポリン」だの「トライアングル」だの、適当に話を合わせているだけかと思いきや、どうも会話ができているようですし、本当にうちの総支配人、何者なのでしょう。超能力者でしょうか。
ここだけの話、私は師匠の料理に感銘を受けてこのホテルにやってきたのですが、当初総支配人がそんなに大した人だとは思っておりませんでした。歳だって私より若そうだし、クラーラさんのような怪物でもなし、チヨさんのような魔女じみた異能や学識があるでもなし、だいたいこう言ってはなんですが、フクロウなんて、同じ猛禽の仲間とはいえ、狩りが下手だから夜の闇に紛れて活動しようというちょっとどんくさい鳥ですよねえ……
ジュロウ:「ややっ!クラーラさん、そんなに急に出てきたらびっくりするじゃありませんか。海坊主かと思いましたよ」
クラーラ:「重ね重ね失礼な人ねえ。あなたこそ山坊主みたいな怪鳥でしょうが。ところでテンペストさんからおみやげに何をもらったの?」
ジュロウ:「そう言うクラーラさんこそ何をもらったんです」
クラーラ:「先に教えなさいよ」
ジュロウ:「うわっ!チヨさん、急に出てきたらびっくりするじゃないですか」
クラーラ:「そうよそうよ、発光怪獣かと思うじゃないの」
チヨ:「何それ、海坊主より強いのかい?」
ジュロウ:「まあまあまあまあ、チヨさん、おむすびひとついかがですか」
チヨ:「おや、ありがとう。モグモグモグ……う〜ん、さすがにおいしいですねえ」
クラーラ:「本当に食べ物に弱いんだから。ちょっと、わたくしにもひとつちょうだいよ」
ジュロウ:「しょうがないなあ」
チヨ:「このごま塩おむすび、岩塩を使っているね。あなたにしちゃあ、めずらしいじゃないですか」
ジュロウ:「さすが、よくおわかりで。私は山育ちで岩塩の辛い味が好きなので、岩塩のごま塩を食べてみたいと心密かに思っていたのです。でも師匠がわけのわからないほどのごま塩好きで、しかもごま塩は海の塩で作る主義だったもので、今まで岩塩は使ったことがなかったのです」
クラーラ:「案外気が弱いのね」
ジュロウ:「義理堅いといってくださいよ」
チヨ:「それで?」
クラーラ:「うんうん、それで、どうして岩塩を?」
ジュロウ:「総支配人がおみやげにヒマラヤの岩塩で作ったごま塩をくださいましてね」
チヨ:「……テンペストさん、本当に何者なんだか」
クラーラ:「確かにずいぶん地味なおみやげだけど……でもどんくさい鳥とか言ってる場合じゃないわよ!」
ジュロウ:「いつから聞いてたんですか!」
<おまけ>
師匠は「海の藻塩と黒ごま至上主義」ですが、いろいろな塩とごまで試してみてこそ師の偉大さがわかるのかもしれません。ジュロウでした。
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