ファーストラウンジでの社長インタビュー、今月はベンチャーの開発・支援を手掛けるノスクマード インスティチュート柳野隆生社長をお迎えしています。
肩書きではなく人間とつきあう
人間関係において何を大事にされていますか?
「わたしは、人とつきあうというのは命尽きるまでだと思っています」
この人なら、と思った相手とは、ということですね?
「いや。すべて。相手から離れていけばしかたない。でも自分から切ることは決してない。
Kさんという人がいます。ずいぶん昔、銀行の担当として出会った人です。初めは銀行の担当という役目・役職でつきあいが始まるけれど、そこに人間と人間のつきあいが生まれてくる。
するとね、銀行辞めたあとも続く。もうとっくに銀行を退職されたけれど、今も我々の外部スタッフのように、Kさん独自の視点から経済動向を教えてくれます。
人と肩書きや役職でつきあうのではなくその人としてつきあうということです。
若いころ2度のサラリーマン生活があります。一度は大手の化学会社でした。事情があって一年弱で辞めたのだけど、その後50年近く、ずっとつきあいが続いています。同期が偉くなり、その後退職されてもおつきあいがある。
人と人のつきあいをしていれば、会社辞めたから終わり、じゃないんです」
「弁理士として独立したとき、あるプラスティック成型の会社が顧問にしてくれました。『柳野くん、きみ、仕事ないだろう。お金もないだろう』と。その会社にはわたしにやらせる仕事はなかったんです。それなのに『頑張りなさい』と言って毎月顧問料をくれた。
開業後一年たって少しは仕事も増えてきて、その社長に挨拶に行きました。何とかやっていける自信ができ『支援はもういいです、大丈夫です』と言ったら怒られました。
『こんな金で君を縛るつもりない。君が社会に対して何かができるのではないかと我々は期待している。そこを理解しなさい。いい仕事をしてもらいたいから支援してるんだ』と。
大きな会社じゃないです。余裕があるわけではない。でも以後40年ずっと支援してくれている。今は孫の代だからもう3代にわたって。
自分の利益でなく、社会のために何ができるか。30歳くらいからそう考えていました。そうしたら理解して応援してくれる人が沢山いた。
昔はそういう方がいたんですよ。今はいない。でも嘆いてるだけじゃ何にもならない。自分がなればいいじゃないですか。上の世代から受けた恩を若い人たちに返す。そういう想いでやっています」
次回更新は27日(月)です。お楽しみに!
柳野隆生(やなぎのたかお)弁理士 研究開発&事業開発コンサルタント
1943年、和歌山市生まれ。
1975年、知的財産の視点からベンチャービジネスの事業開発、商品開発を支援する特許事務所を開設し、多くの企業を世に送り出すと共にその成長を支援、平成に入ってからはプロジェクトファイナンス、人材育成、事業提携やM&Aを手掛ける株式会社ノスクマード インスティチュートを設立し現在に至る。
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