ノスクマード インスティチュート 柳野隆生社長 第1回

日本でベンチャービジネスという言葉ができたのは1970年ごろだそうです。今月の社長インタビューは、正にそのころから日本経済におけるベンチャーの重要性に注目し、研究と実務に携わってきた、ノスクマード インスティチュートの柳野隆生社長にお話をうかがいます。


企業価値の源泉は「知」

社長歴は何年になられますか?

ノスクマード柳野隆生社長

柳野隆生社長

「弁理士として特許事務所を開いたのが1975年。ノスクマード インスティチュート設立が1988年だから、社長歴というなら28年ですね。

わたしは「知的財産重視型経営」を提唱しています。これはつまり企業価値の源泉は「知」であるということです。
しかし残念ながら日本では「知」にお金を払う文化がない。ここに一石を投じたい。そのため新しいシンクタンクを作りたかったんです。
コンサルティング会社はすぐお金になる「知」を売っています。しかし本当の知はすぐお金にはならない。だから知財の事務所で利益を上げ、シンクタンクであるノスクマードを回しています」

「いま日本の経済がよくないのは誰の目にも明らかですね。
戦後、何かが間違っていたんでしょう。緊張感がなくなった。民族の生存に対する緊張感です。その結果平均的な人間ばかりできてしまった。それが世代交代のたびにレベルダウンして、今や、言っては悪いけれど、アジアで一番出来の悪いのが日本人ですよ。

わたしは仕事で中国、インドなどアジア諸国の人たち、会社と交流があります。
インドや中国の若者は違いますよ。ITで次の世界制覇を狙っている。それなのに日本人はユーザーベース。誰かが作った、すでにあるものに乗ることしか考えていない。もちろん例外はあるけれど。

能力がないというより野心がない。もっとできるのに発揮していない。惜しい。
そこをなんとかしたいんです。本人も気づいていないような可能性を見出して提案する。能力をいっぱいに引き出す。個人も企業も一緒です」

ベンチャー企業に絶対必要なものはなんでしょう?

「夢。と同時に考え方の先進性。目の前だけ見ていてもダメです。一歩一歩積み上げるのではなく、ぽーんと先のことを考える。先のビジョンを持つ。これをわたしはワープと言っています。

ワープはうまくいくとは限りませんよ。
しかし、うまくいくとわかってることなんかないんです。あるとしたらつまらないことです。リスクがあってもまずやる。これが絶対必要なことです」

柳野隆生社長インタビュー、13日(月)更新の第2回では、ベンチャーとは何か、より具体的にうかがっていきます。お楽しみに!


柳野隆生(やなぎのたかお)弁理士 研究開発&事業開発コンサルタント
1943年、和歌山市生まれ。
1975年、知的財産の視点からベンチャービジネスの事業開発、商品開発を支援する特許事務所を開設し、多くの企業を世に送り出すと共にその成長を支援、平成に入ってからはプロジェクトファイナンス、人材育成、事業提携やM&Aを手掛ける株式会社ノスクマード インスティチュートを設立し現在に至る。
ノスクマード インスティチュートHP


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