しまや出版 小早川真樹社長インタビュー第5回

どんな会社も時代に合わせて変わっていかなければなりません。今ある財産を生かしながら、常に先を見て新たな戦略を考えることが大切なのでしょう。小早川真樹社長インタビュー最終回は、これからのしまや出版についてうかがいます。


もっと広く、宝物製造業へ
しまや出版小早川真樹社長

しまや出版オリジナルキャラと小早川社長。似ているような?

今後やりたいことを教えてください。

「やりたいこと、ありすぎるほどあるんです。同人誌印刷だけではいけないという危機感を常に持っています。
今の子どもたち、本よりスマホ触ってる時間の方が長いでしょう? 大人もそうかもしれない。電車で本読んでる人を本当に見なくなりましたよね。
紙離れは急速だと思います。同人誌はなくならないけれど量は減っていくでしょう。それだけではやっていけない時代がくるかもしれない。スタッフの生活もあるから考えますよ。

この会社はこれをやります、という方向性のことを企業ドメインといいます。うちの企業ドメインは『同人誌の印刷製本会社』だったんですが、この1、2年は『宝物製造業』という言い方に変えてきているんです。
同人誌は作家さんにとっては長い時間をかけて作った宝物なんですよ。
宝物作りをサポートする会社と考えれば、狭い意味での同人誌にとらわれず、いろんな広がりができてきます。自主制作の絵本も宝物だし、自分史も宝物です。同人カードゲームといって個人でカードゲームを作る人たちもいて、独自の即売会もあるんですけど、これも宝物で、印刷製本技術でお手伝いできるんじゃないかと考えています。

年間6000点の本を作っていますが、今は作ってお届けするまでで、世に出すお手伝いはまったくしていません。ここにも何かできることがあるかもしれない。

新たな試みとして今、足立区の町工場約30社を回って撮影して『あだち工場男子』という写真集を作ろうとしているんです。インディーズ的に作るんですけど、うまく広めれば足立区では話題になると思っていて、ISBNを取得してアマゾンで販売するつもりです。これが実現すれば、会社名の通り、出版事業もできるかなぁ、と。
そこを皮切りに、想いを持った人たちの宝物を広めるお手伝いをもっとしていきたい、と考えています。

印刷製本のインフラがあるから、まずは紙媒体優先ですが、『宝物製造』ととらえればもっと他の可能性だってあるでしょう。だから、やりたいことはありすぎるほどあるんです」

第1回創作えほんマーケット

昨年11月には、なかがわ創作えほん教室と共同で「第1回創作えほんマーケット」を名古屋で開催した。今年6月に第2回開催予定。

しまや出版の今後の展開が楽しみになってきました。

最後に恒例の質問です。お好きなホテルを教えてください。

「沖縄県の小浜島にある『こはぐら荘』です。2001年のNHK朝ドラ『ちゅらさん』シリーズで主人公の家族が営んでいた民宿なんです。
実は妻が娘にちゅらと名前をつけたくらいに『ちゅらさん』が大好きで、何年か前に全話収録のDVDをプレゼントしました。
それからというもの家族で車で出かけるときには、このDVDを必ずといっていいほど流していて、子どもたちもはまったし、ぼくもファンになりました。

舞台となった小浜島には、行こう行こうと言いながら忙しくてまだ行けていないんです。
行けたらここに泊まりたい。ドラマ上の民宿だし、今はふつうの民家だし、泊まれるわけがないんですけどね(笑)」

小早川社長、長時間ありがとうございました!


小早川真樹(こはやかわ まさき)
千葉県安房郡鋸南町出身。大学卒業後、大手英会話学校にて企画・広告業務を経験。その後マーケティング業界、無線通信機業界を経験。2007年1月に入籍すると4月に義父が急逝。同年9月より義父が営んでいた印刷・製本会社の しまや出版 に入社。全く未経験で知識が皆無のオタク業界、印刷・製本業務に苦労するも、未経験を逆手に取った戦略を実施し、廃業の危機を救う。現在は当社代表取締役として、個人の印刷物を「宝物」と位置づけ、多くのファンを獲得している。


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