リキは、吉ちゃんが中学のころから仲良しで、高校生になった今でもよく遊んでいる親友です。
吉ちゃんは100円ショップで木を買ってきました。
部活が美術部なので学校でも家でも熱心に彫っていました。
明け方まで彫ることもありました。
百円の木はとても彫りにくくて苦労しているようでした。
吉ちゃんは学校の授業で木を彫ったことはありますが自ら仏像を彫るのは初めてです。
2週間後、ようやく完成しました。
その仏像は、7年前に亡くなったおじいちゃんにそっくりでした。
【おじいちゃんと吉ちゃん】
(津川聡子 作)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第116話 こんなことってホントにあるんだ」いかがでしたでしょうか。
ほ、ほんとうにおじいちゃんにそっくり!
仏師の目は木の中に彫り出すべき仏の姿がおのずから宿るのを見ると聞いて、へえ、すごいなあと感じたものです。が、彫りにくい百円の木の中からおじいちゃん激似の仏様を苦労して彫り出す方がもっとすごいのではなかろうかと思えてきました。令和四年、仏師・吉ちゃんの誕生であった……。
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