第129話 女性専用車両の話 

私は週3回、バイトに行く時は女性専用車両で通勤しています。

最初は偶然乗ったのですが、底知れぬリラックス感、快適さが病みつきになり、一般的な車両では無意識のうちに緊張しているのだなぁと感じました。

たまに男性が乗ってくることもありますが、間違えて異性のトイレに入った時のように、慌てて出て行く人が殆どです。

ところが、中には気付かない男性もいます。

私は、いつものような極上のリラックス感は味わえません。

しかし……

……と考えると、その男性の存在を許せるようになります。

そして……

こんな光景を目にすると、むしろ、その男性が気の毒になります。

今のところ、注意されて逆ギレした男性を見たことがありません。

みんな申し訳なさそうにそそくさと車両を出ていきます。

でも、もしかしたら……

クラスの秩序を乱す子を注意して、周りに感謝されていたのだろう。

もしかしたらこの車両でも、誰かに感謝されているかもしれない。

……そう思うと、これはこれで良かったのだと思えます。

ちょっぴり切ないけれど。

そして近頃は、女性専用車両に間違えて乗ってきた男性を見ると、

委員長に見つかりませんように」

と、密かに応援するようになりました。

(津川聡子 作)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第129話 女性専用車両の話」いかがでしたでしょうか。

女性専用車両は、少なくとも私のよく乗る路線では午前**時〜*時まで と時間を限ったものなため、そもそも引きこもりフリーランスの私はあまり乗らないのですが、たまに乗ると、普通に男性も乗っていて、「あれ? 該当時間じゃない!?」とこちらが戸惑うことも。サトコさんの通勤路では、まあまあちゃんと機能しているようで何より。以前「女性専用車両なんて逆差別だケシカラン!」と主張する男性がいて、わからなくはないがなぁ、とよく聞いてみるとその人は「でも女性専用車両は、犯罪から女性を守るという役割もあるらしい」と言っていました。「も」って。他に何があると思ってたんだ? 痴漢などという犯罪の存在を考えもしない、善良なうっかりさんだったのでしょうか。そんなうっかりさんたちには確かに少々気の毒ですが、今時、車両内にちゃんと「委員長女子」が存在することにちょっと安心したりもしました。みなさんのお住いの地域では、どうですか?

「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪

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