12月25日発売のアックス第162号(青林工藝舎)に、私の漫画「月の光 CLAIR DE LUNE」が載りました!4回連続、まるで連載しているようで本当に嬉しいです。今回も浮かれ気分で作品解説(ネタバレ大あり)をお届けします。
はじめに出てくる花は、月下美人に似ている架空の花です。
夜
蕾がふくらみ
花開き
花びらの中から星や月がこぼれ出て
夜空がきらめく
……というイメージで描きました。
そして様々な登場人物(生物)が、様々な場所で夜を過ごしています。
それぞれが同時に空を見上げ、月が出ていることに気付きますが、少女は一人だけうつ向いたままです。
ちなみにキノコから胞子が出て星になっているのは無意識ダジャレです(^^)
さて、どうして少女はうつむいたままだったのかというと、ピアノを弾いていたからです。
弾き終わった少女はようやく顔を上げます。
ピアノの上に飾られた、さっきまで蕾だった花が咲いていることに気付きます。
少女が弾いていた曲はもちろん「月の光」です。
この漫画のお話は全て、少女が演奏しながら空想している世界だったのかもしれない……?
ドビュッシーは、ポール・ヴェルレーヌの詩を読んでこの曲を作り、はじめは「感傷的な散歩道」というタイトルで楽譜が出版されたそうです。詩をざっくり要約すると……
パーティで仮面をつけて踊っても
幸せとは言えず実はもの悲しい
会場を出て散歩をしたら
月の光がきれいだった
……という内容です。
この詩へのオマージュで漫画に仮面男を登場させました。
興味のある方はぜひこちらも読んでみてください。→Amazonで見る
そしてもっと読んでいただきたいのはこちらのアックス第162号!
今年9月に亡くなられたユズキカズさんの追悼特集です。
今年の更新は今回が最後ですが、アックス掲載作品の解説で締めくくる事ができたのがとても嬉しいです。「やっとこ!サトコなう」をご愛読いただいた皆様、どうもありがとうございました。2週間後の更新はもう来年です!引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ〜⭐︎
(津川聡子 作)
*編集後記* by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟
津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第170話 ピアノ漫画「月の光 CLAIR DE LUNE」ネタバレ解説」いかがでしたでしょうか。花からこぼれ落ちた雫がはじけて広がると、ちょっと寒々としたくらいの日常風景がファンタジックに変身してゆき、仮面の紳士まで現れていったい夢か現実かわからなくなります。ピアノに映り込んだ星々がいいですよね。ヴェルレーヌとドビュッシーの表現した「月夜の散歩マジック」を入り口に、いつの間にか「津川聡子ピアノマジック」に入り込んでいるこの漫画、アックス162号でぜひご覧ください。
ではみなさま、今年も一年間ご愛読ありがとうございました。良いお年を! 次回の漫画『やっとこ!サトコ なう』は1月8日公開です。
「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪