「「法」とは説いたり説かれたりするものではなく、示されたり得たりするものでもない」、と維摩経には書かれています。
だったらそんなもの、ワザワザ説く必要はないということになりますし、ワザワザ聴くこともないということになっちまいますが、果たしてそんなことでいいのでしょうか?・・・
以下の問答をご紹介します。
僧:「仏教の真髄とは何でしょうか? 四句(有、無、有かつ無、有ではなくかつ無でもないことの四種)と百の否定形式を使わずに教えてくださいませ!」
馬:「・・・ワシゃ今日はくたびれきってしまって答える気力がない。かわりに智藏和尚に聞いてはくれまいか?」
僧:「智藏和尚! 仏教の真髄とは何でしょうか? 四句と百の否定形式を使わずに教えてくださいませ!」
智:「オマエ、それは馬大師に聞けよ!」
僧:「いや、馬大師がアナタに聞けって・・・」
智:「・・・オレは今日アタマが痛くて答える気力がない。百丈の兄貴に聞いてくれ!」
僧:「百丈和尚! 仏教の真髄とは何でしょうか? 四句と百の否定形式を使わずに教えてくださいませ!」
百:「いや、それはオレもわからんなぁ。修行を始める前まではわかっていたんだが・・・」
で、この僧が馬大師のところに戻って顛末を報告したところ、馬大師は「ほう! 智藏はまっ白け、百丈はまっ黒けじゃなぁ!!」と言ったとか。
―――――つづく
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