別訳【夢中問答集】第四十八問 アホの座禅は無意味? 2/2話

座禅修行は禅宗の専売特許ではない。
浄土宗でも密教でも座禅がある。外道たちにもある。

いずれもじっと動かずに座り余計なことを考えないようにするという点では同じじゃが、それぞれの宗派の理想とするところを念ずることになるので内容は違う。

例えば浄土教における座禅は十六想観といって、極楽浄土の光景などをありありと思い浮かべる修行法であって、廬山の遠法師はこれのスペシャリストじゃ。

それでは禅宗における座禅とはどういうものかといえば、ただじっと動かずに座り余計なことを考えないようにすればよいというものではなく、宗教理論を考えることでもない。

座るのにカネがかかるわけではないので貧乏だからできないということもなく、力がいることではないので貧弱だからできないということにもならない。

禅宗では俗事の中にも仏法があるとするので、出家していないから修行できないということもない。

焼香や礼拝などの儀式は身体を使ってやることなので、それ以外のことをするときは中断してしまう。

お経の音読は口を使ってやることなので、他のことを話すことと並行してやることはできない。

宗教理論を考えるというのは頭を使ってやることだから、他のことを考えながら続けられない。

わかるか?

禅宗の修行というものは、身体を使ってやるものではなく、口を使ってやるものでもなく、頭を使ってやるものでもないのじゃ。

なんの難しいことがあるものか!


☆     ☆     ☆     ☆

★別訳【夢中問答集】(上)新発売!
これまでに連載した第1問から第23問までを収録。(全三巻を予定)
エピソードごとにフルカラーの挿絵(AIイラスト)が入っています。

別訳【碧巌録】シリーズ完結!
「宗門第一の書」と称される禅宗の語録・公案集である「碧巌録」の世界を直接体験できるよう平易な現代語を使い大胆に構成を組み替えた初心者必読の超訳版がついに完結!
全100話。公案集はナゾナゾ集ですので、どこから読んでもOKです!

★ペーパーバック版『別訳【碧巌録】(全3巻)』

 

スポンサーリンク

フォローする