大乗の修行法に色々な種類があるのは、「大乗仏教には聖人と凡人の区別はない」ということを知ってはいるけれども、その意味がもうひとつよくわかっておらん連中のためなのじゃ。
やり方が違って見えるからと言っても小乗仏教のように「生死を離れたところに涅槃を求める」とか「妄想を全て打ち払った先に真実の心がある」などというのとはわけが違う。
大乗の修行法について、よく「修行していないように修行し、悟っていないように悟る」といわれるのは、つまりそういうわけじゃ。
そういったことをよくわかった上でなら、お経を読もうが呪文を唱えようが念仏を唱えようが何の問題もない。
そうではなくて「大乗は難しいから念仏だけ唱えて救ってもらおう」などというのは心得違いも甚だしいと言わざるを得ん。
さらに「大乗の考え方は知っているけれども、あれは素人の手に負えるものではないから念仏だけ唱えているのが楽でよい」などと言うヤツがおるならば、もはやそいつは大乗仏教をバカにしておると言えるじゃろう。
「大乗のことはよくわからないから念仏を唱えているんだ」というなら、まだわかるがな。
また、「念仏は罪人やバカであっても唱えさえすれば成仏できる。だから念仏こそが最高の修行法で、それ以外の修行法は難くてダメ!」といういう話じゃが、もし本当にそういうことなのであれば、なにも今どきのアホ連中だけではなく、昔から賢い人も含めた全ての人々にとってもそうであるべきで、わざわざ難しい修行をする必要などない。
しかしながら、お釈迦様が生涯をかけて説いた教えの大半は浄土宗の人たちが嫌がっているという「難しい」ものばかりじゃ。
そもそも「念仏で極楽に往生できる」という話が出てくるのは、膨大な仏教典の中で浄土三部経だけなのじゃ。
わざわざ難しい修行法ばかり説いたお釈迦様は、果たしてアホなんじゃろうかのう。(苦笑)

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