別訳【夢中問答集】第二十九問 妄想って何? 1/2話

足利直義:・・・和尚。

先程から貴方は「妄想はダメだ! ダメだ!!」と繰り返し強調されていますが、そもそも「妄想」って何でしたっけ?

夢窓国師:なんじゃ、そんなところから説明せにゃならんのかいな・・・

いいか、よく聴きなさい。

「天国と地獄は全然違うものだよね!」とか、「迷いと悟りが同じもののハズがないよ! そこら辺のボンクラと賢い人を比べたら全然違うわけだし」などと考える。

これがすなわち「妄想」じゃ。

「いやいや、ボンクラも賢い人も平等ですとも!私は差別しませんよ」とか、「世の中の全ては尊いのです。キレイとかキタナイとか、私はそんなことは気にしません!」などと考える。
これもまた、同じぐらい「妄想」じゃ。

「ホトケの教えには、その観点やレベルに応じて色々な種類があるのです。「大乗」「小乗」の別は言うまでもなく、「権教」と「実教」、「顕教」と「密教」、「禅宗」と「天台宗」など、実に色々です」などと考える。

なんとまぁ、恐ろしいまでの「妄想」ぶりじゃ。

「喝っ! ホトケの教えに、そんなチマチマした区分などあるものか! 真実はひとつ! 全ての教えは平等なのだ! どうしてそこに優劣などつけられようか!」などと考える。

「妄想」もここまでくると逆にたいしたモンじゃ。

「真実への道というものは、何だかよくわからないけど、きっと今の日常生活とは離れた、どこか遠いところにあるのに違いない」などと考える。

よくありがちな「妄想」じゃ。

「いやいや、そうではないんだよ。行住坐臥、見聞覚知、つまりこの何でもない日常生活こそが、真実への道に他ならないのさ」などと考える。

これまた、よくありがちな「妄想」じゃ。

「ああアリガタイことだなぁ。ホトケさまの教えは永遠に不滅だ。つまり、あなたも私も、万物も、また永遠に不滅なのだ」などと考える。

これはボンクラ野郎にありがちな「妄想」じゃ。

「いえいえ、そうではないのです。御覧なさい、全ては時とともに移ろいゆくのです。貴方は「諸行無常」という言葉をご存じないのですか?」などと考える。

これは自己救済だけを目的とする坊主にありがちな「妄想」じゃ。


☆     ☆     ☆     ☆

別訳【碧巌録】シリーズ完結!
「宗門第一の書」と称される禅宗の語録・公案集である「碧巌録」の世界を直接体験できるよう平易な現代語を使い大胆に構成を組み替えた初心者必読の超訳版がついに完結!
全100話。公案集はナゾナゾ集ですので、どこから読んでもOKです!

★ペーパーバック版『別訳【碧巌録】(全3巻)』

 

★電子書籍(Kindle)版『別訳 【碧巌録】(1~10) 』



電子書籍化 第2弾!『別訳 無門関 Kindle版』が発売されました。公案集の代名詞ともいうべき名作を超読みやすい現代語訳で!

第1弾の『別訳 アングリマーラ Kindle版』も好評発売中です。

<アングリマーラ第1話へ>

スポンサーリンク

フォローする