「実存を否定するなよ! だって全ては歴然と存在しているじゃないか! 今、ここに現に存在しているオレ様を、オマエは否定できるのか? そんなことはさせないぜ!」などと考える。
また逆に、「なに言ってんだよ! 全ては虚しいんだよ! 虚無だよ虚無! オレもオマエも、今ここでこうしていることに何の意味もありゃしないんだ! 努力なんかしたってムダムダムダ! どうせ何も変わりゃしないんだから!」などと考える。
このふたつは外道にありがちな「妄想」じゃ。
「これこれ、なにをムキになっているのですか。世の中の全てはマボロシだということをよく理解しなさい。よいですか? あらゆるものの本質は『空』なのです。有るのではありません。無いのでもありません。有りつつ無いのでもありません。そして有るとか無いとかを離れているのでもないのです。これこそが『中道』です。これこそ究極の境地! 間違いない!!」などと考える。
一見もっともらしいが、これこそが菩薩たちが抱いている「妄想」なのじゃ。
「経典には全てが書いてある。というか、文字や言葉がなかったら、何も伝えることなどできやしないだろ? だからもう一度言うぞ。ここには全てがある!」などと考える。
これは頭デッカチな連中で構成される某派閥の坊主たちが固く信じている「妄想」じゃ。
「なに言ってんだか。(笑) オマエら『教外別伝』って聞いたことないのか? 真実は文字や言葉なんかじゃ表せやしないんだよ。そんなカスみたいなテキストを丸暗記したところで、何の役にも立ちゃしねぇよ! まぁ、やりたいなら死ぬまでやってればいいさ。 オレは座禅が忙しいんでな。アバヨ!!」などと考える。
これは禅宗の坊主たちのほとんどが陥っている「妄想」じゃ・・・
「な、なるほど・・・ わかったぞ! 全ては妄想、あれもこれも皆『妄想』なんですね!?
あなたも妄想、私も妄想、全部妄想! ヤッター!」などと考える。
これこそ最大の「妄想」じゃ!
かつて無業国師は、どんな質問に対してもただ一言、「いらんこと考えるな!(莫妄想)」と答えたそうじゃ。
この一言が何を意味するか?
それさえ理解できたなら、どんなヤツでも、その瞬間から潜在能力全開じゃよ。
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