足利直義:「本分の田地」は、テキストを重視する宗派がいうところの心地(しんぢ)や仏性とは違うのでしょうか?
夢窓国師:教義の究極の部分までいけば、テキストを重視する宗派も禅宗も同じじゃ。
ただ、テキスト重視派は仏と一般人の違いは「無明(むみょう=根源的なアホさ)」にあると仮定して話を進めるので、その都合上、心地とか仏性とか言っているだけじゃ。
禅宗は「仏と一般人は違うものではない」という前提に立っているので、同じ言葉であっても意味合いが違うんじゃよ。
禅宗の立場からすれば、真に「本分の田地」を見出すことができた人にとってはテキスト重視派がいうところの「仏性」だろうが「心地」だろうが「如来蔵」だろうが「真如」だろうが「法性」だろうが、一般的な意味での山河大地から草木・瓦石に至るまでの全てが「本分の田地」なのじゃ。
なにも「本分の田地」だけが特別扱いされる理由はないよ。
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