ダルマが来た意味 ~龍牙和尚編 1/5話(出典:碧巌録第二十則「龍牙西来意」)

龍牙和尚が翠微和尚に尋ねました。

龍:「「祖師西来(達磨大師がわざわざインドから中国までやってきたこと)」には、いったいどんな意味があるのでしょうか?」
翠:「・・・そこの禅板(座禅の際に姿勢を正すのに使用する板)を取ってくれないか?」

龍牙和尚が禅板を手渡すと、翠微和尚は禅板で龍牙和尚を叩きました。

龍:「・・・それはまぁいいですけど、「祖師西来」の意味はないですね。」

龍牙和尚は臨済和尚にも尋ねました。

龍:「「祖師西来」には、いったいどんな意味があるのでしょうか?」
臨:「・・・そこの座布団を取ってくれないか?」

龍牙和尚が座布団を手渡すと、臨済和尚は座布団で龍牙和尚を叩きました。

龍:「・・・それはまぁいいですけど、「祖師西来」の意味はないですね。」

翠巌和尚はこのエピソードを引き合いに出して弟子たちを叱咤しました。

「あの頃、修行中のワシらはみんなこんな感じで激アツだったのだ。それに比べてオマエたちのザマはなんだ?・・・ ちゃんと血が巡っているのか!?」

大潙和尚も次のようなコメントを残しています。

「このエピソードは龍牙和尚が修行時代に実力派の大師匠である翠微和尚と臨済和尚に挑んだ時のもので、今どきの若手が見習うべきポイントをたくさん含んでいる。
ちなみに龍牙和尚はその後、とある寺の住職になったのだが、弟子から「和尚は結局、翠微和尚や臨済和尚の回答に満足されたのでしょうか?」と尋ねられて、「満足はしたが「祖師西来」の意味はなかったなぁ。」と答えたそうだ。
龍牙和尚は割とその場の空気を読む人物だったから優しく語るだけで済ませたのだろうが、ワシなら、即、一発ぶっ叩いてやるところだ。
そうすることが二人の大師匠の名誉を守ることになるし、結局のところ、質問者のためにもなるんだからな!」

―――――つづく

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