コミュニティでコール&レスポンス

数年前から時々、さまざまな地域で“まちおこしのワークショップ”を行っている。印象深い街は、川崎市登戸「東通り商店街」、国立市「大学通り商店会」だ。これらの地域には2008年、2009年と出かけた。登戸の東通り商店街では、演劇ファシリテーターのおきなおこ氏と一緒に、まちの価値を掘り起こす仕掛けをいくつか実施した。

ひとつは、「はとトホツアー」。これは、商店街の人気者のおかみさんや、お店を訪ね歩き、お話を聴いてまちの歴史や出来事を知るという企画だ。本物のハト○○ツアーふうに、ガイドが旗を持って参加者を案内して、参加者15人ほどが商店街を巡り歩いた。

もうひとつの企画は、「おかみさんパレード」だ。各商店を切り盛りしているのは多くの場合、おかみさんたちだ。ただ、おかみさんたちは普段あまり表に出ては来ない。そこで、ファシリテーターのおきなおこは、おかみさん会に潜り込んで彼女たちを口説き落とし、8月の夏祭りの時に皆で仮装パレードをするということで話をつけた。僕の役目は、パレードで歌えるまちの歌を作ること。おかみさんや商店街の人たちから、登戸東通り商店街の魅力や地域的な特徴について話を伺ったあと、メモ書きからまちのキーワードをギュッと絞り出し、歌詞ができた。

ここにおいでよ なんでもあるよ ここは小さな暮らしの遊園地
歩けば心も ウキウキさ のってこよってこ 東通り商店街

ここにおいでよ 緑もいっぱい 古い道と新しい道がここで出会う
歩けば心も ウキウキさ のってこよってこ 東通り商店街

商店街は登戸駅と向ヶ丘遊園駅に近接しており「遊園地」がキーワードとして浮かんできたので、商店街を「暮らしの遊園地」と表現した。「緑もいっぱい」とは、近くの「生田緑地」をかけたものだ。またこの地域は宿場・交易の町として栄え、津久井道という街道も走っていることから、「古い道と新しい道」が交差する様子を入れた。

パレードの当日、おかみさんたちは派手な衣装にかつらをかぶり、20人ほどがまちに繰り出した。僕はギターを弾きながら列を先導。お囃子の歌は「のってこよってこ東通り商店街」だ。のってこ!(のってこ)、よってこ!(よってこ)と、しっかりとコール&レスポンス。パレードはとても盛り上がった。練り歩いたあとのビールがなんと美味しかったことか。

ところで、この話にはオマケがある。商店街の皆さんが歌を気に入ってくれて、しばらくの期間、商店街の有線放送で♪よってこ!のってこ♪と流してくれたのだ。ある日の午後に商店街を歩いてみると、スピーカーから歌が聞こえてきた。コールとレスポンスのある街は、素敵だと思う。

コール&レスポンス!