もう今から30年も前、大学時代のサークル活動でのお話です。僕は中学からバンドを組んでドラムスを叩き、ライブもやってきました。大学では、迷わず音楽サークルに入りました。Rikkyo Freedom Unity(通称はアール・エフ・ユー)という、ハード・ロックやヘビー・メタル好きの集まるサークルです。このサークルは、今もあります。
池袋にあるキャンパス内では、他の音楽サークルも一緒に同じエリアに集まって活動しており、お互いに交流もありました。春と秋には、4つのサークルで作る音楽団体連合(通称は音団連)の合同ライブと打ち上げコンパもあり、特に春は新入生の飲み会デビューの機会でもありました。池袋西口の西一番街の「升久」(ますきゅう)という居酒屋、その2階座敷を借り切り、夜8時から11時過ぎまで総勢150人の大宴会。それが、恐ろしくも楽しい交流の場でした。
宴では各サークルの幹部の挨拶と乾杯があり、一息ついたところで新入生の紹介。新人くんたちは、緊張しながら挨拶し、グラスを呑み干して拍手をもらって着席します。ただ、挨拶が隅まで届かないと「聞こえないんだけど! せーの、それっ!さ、と、う、さ、と、う、さ、と、う」と、皆が一斉に僕の名前をコールします。そして、「Say,ごー、よん、さん、にー、いち、Go!」とカウントダウン。コレが出てしまったら、手元のグラスを呑み干さなくてはなりません。それが、コールに対するレスポンス。
今こんなことをしたら、それは明らかに“アルコールハラスメント”。しかし当時は、そのような考えは薄かったのでした。飲み会でのこのコール&レスポンスに、新入生たちはカルチャー・ショックを受けますが、秋にはその所作もしっかり身についています。この飲み会ではまた、「○○と呼べ〜ば〜」「○○っとこた〜える」というコール&レスポンスが出てきます。その際に付くメロディは、以前このコーナーでも紹介した、♪あなたと呼べば あなたと答える♪で始まる曲、「ふたりは若い」(詞・サトウハチロー 曲・古賀政男)です。
隣りのサークルの新入生の名前を一生懸命覚え、「サトウっと呼べ〜ば〜」と声がしたら、「タナ〜カっと答える」と素早くレスポンス。これで、新人どうしはすぐに知り合いになります。また、このコールに対して先輩の名前を返すと、名指された先輩が嬉しそうにグラスを飲み干してくれます。
大学時代、このコール&レスポンスで記憶を無くし、このコール&レスポンスで明けた夜が何度もありました。不思議なことに、酒は抜けても、コール&レスポンスのリズムと呼んだ相手の名前は抜けないものです。もういい歳をして「○○と呼べ〜ば」なんてやりませんが、テレビの歌番組で「ふたりは若い」が流れようものなら、すぐ身体にスイッチが入るのは間違いありません^^
コール&レスポンス!