クリスマス特別編〜真夏のクリスマス特別編はアツいプーケット、マラッカ、シンガポールの旅紀行。

「妄想旅ラジオ」ポッドキャスター ぐっちーが綴るもう1つのストーリー「妄想生き物紀行 第30回 クリスマス特別編〜真夏のクリスマス特別編はアツいプーケット、マラッカ、シンガポールの旅紀行。」

現地時間2015年9月26日午前8時30分、私はマラッカ発シンガポール行きのバスに乗り込んだ。旅行ガイドによるとマレーシアの長距離バスは冷房が効きすぎて上着を用意しないと寒くて体調を悪くしてしまうとあった。北緯2度のマラッカでは秋分の日近くのこの時期、昼にはほぼ真上に太陽がやってくる。ところが前日の最高気温は東京の夏とほぼ同じ31℃、太陽が真上から照らしているので体に当たる日光の面積は少なく、脳天以外は意外と暑さを感じなかった。そのためガイドブックのとおり、朝のバス内では冷房が直接体にあたり冷えてしまったが、あらかじめ用意したユニクロの薄いウインドブレーカーを羽織って快適に過ごすことができた。このウインドブレーカーは北海道に着いて家に帰るまでにも活躍した。旅行に行く時には現地の気温にあった服装と居住地の服装の両方必要だが、荷物を少なくする工夫が求められ、ユニクロのウインドブレーカーは小さく折りたためるので重宝した。

今回の旅はタイのプーケット島でダイビングライセンスを取得することが目的であったが、そのまま帰るのも芸がないのでマレーシア、シンガポールを経由して帰国することにしていた。プーケットを後にした私はマレーシアのクアラルンプールまで飛行機で飛び、そこからバスでマラッカに入った。日本ではマラッカ海峡が有名であるが、国際的な呼び名としてはムラカと表記することが多い。今更マラッカ海峡をムラカ海峡に変更しようとしても、ATOKのオートコレクトが「ムラカ海峡」の入力に対して「マラッカ海峡?」と校正をかけてくるので、おそらくマラッカのまま変更されることはないだろう。

マラッカは15世紀にマラッカ王国、16世紀にポルトガル植民地、17世紀にオランダ植民地、19世紀にイギリス植民地、20世紀に日本の占領下になったあとマレーシアとして独立した。ポルトガル植民地時代には宣教師のフランシスコ・ザビエルが立ち寄り、ここから日本に向けて出発したと言われている。私は市内のセントポール教会跡に行きフランシスコ・ザビエル像を見たのだが、顔は若く髪の毛はふさふさしていた。

また、イギリス植民地時代には中国からの移民が多く入植しプラナカン文化が花開いた。プラナカン文化は中国出身者がマレーシアを中心とする地域に定着し、土着の風習にある程度同化して地域コミュニティへの適応を果たした文化である。建物の外観は中華風の木造建築で、水色、黄緑色、オレンジ色、青など色鮮やかである。家の奥には中庭があり装飾は中華風、食器はヨーロッパ風と様々な文化を融合したような作りになっている。ポルトガル、オランダ、イギリス、中国など、歴史的にみても様々な文化を取り入れたプラナカン文化は多民族国家であるマレーシアを象徴する観光の見所である。

さて、このマラッカを出発した私は約3時間をかけてシンガポール国境であるジョホールに着いた。シンガポール行きバスの乗客はこのジョホールで一度降りて入国手続きを行わなければならない。実のところ私にとって陸続きでの入国は今回初めてのことであった。とはいえ入国手続きは飛行機の時のそれと変わらない。しかし、この後事件が起きた。入国手続きには多少時間がかかったものの、無事通過したと思ったら指定されていた場所にバスがいないのである。私以外の乗客はマレーシア人、あるいはシンガポール人で手続きが簡単だったのか先に行ってしまった。遅れて出てきた私を待つことなくバスも行ってしまったのだ。係員に聞くと次のバスに乗れとのことだったが、時間がもったいなかったのでタクシーでシンガポール動物園へ向かった。

東南アジアのタクシー事情はまちまちである。タイでは当時乗車前に目的地を告げ価格交渉を行うことが多かった。そのつもりでシンガポールのタクシー運転手にシンガポール動物園までいくらか確認したら、その運転手は「メーターがあるから心配するな」と言ったのだ。東南アジアの多くの国ではタクシーによるぼったくりが横行しているので、ついついそのクセが出てしまった。シンガポールのタクシーはリーズナブルだと聞いてはいたが、クレジットカードも使えてとても便利に利用できた。ただ、その代わりタクシー代以外の物価は非常に高く感じた。

シンガポール動物園は柵がないことで世界的にも人気の動物園である。目の前にオオコウモリが着地したり、ワオキツネザルと一緒に散歩ができたり、オランウータンを間近に見ながら食事ができたり、木のてっぺんを歩くツリートップトレイルを楽しめたり、野生のサルがゴミ箱を荒らしていたりと、動物との距離が非常に近い動物園である。今回は参加できなかったがナイトサファリもあり、夜の動物を観察することもできる。おじさんが一人で見て回っても面白いのだから、家族やカップルで訪れると更に更に面白いに違いない。

私には時間がなかった。昼頃シンガポールに入国し、その日の午後9時には日本へ向けてのフライトが控えていた。出国手続きを考えると実質約7時間の滞在でシンガポールを満喫しなければならなかった。入国からシンガポール動物園までの移動で約1時間、動物園で約2時間、マーライオンまでの移動で約1時間、そして空港までの移動で約1時間を予定していた。観光ができる時間は1時間ほどしかなかった。それでもマーライオンとマリーナベイサンズをスターバックスから眺め、旅の終わりにふさわしい落ち着いた時間を過ごすことができた。

今回の旅行で印象に残った生き物はタラバガニとタヌキである。タラバガニはマラッカのショッピングモールで展示されており、大切に飼育されていた。一方タヌキはシンガポール動物園に展示されていて、いつもの顔で出迎えてくれた。どちらも北海道に生活する私にとっては土産物屋で売られていたり、道路端に現れたりと全く珍しさを感じさせない生き物だが、遠く離れた異国の地では珍しい動物だということが分かった。今度日本の動物園で他国の生き物を観察する時、現地の人目線で見てみるのも面白いかも知れない。

(編注:こちらの妄想旅ラジオのブログに、シンガポール動物園などぐっちーさん撮影の旅の写真や動画がありますのでぜひご覧ください! タヌキもいますよ)

(by ぐっちー)

<編集後記>

※このエッセイ「妄想生き物紀行」は、ポッドキャスト番組「妄想旅ラジオ」の第30回「クリスマス特別編 と関連した内容です。ポッドキャストはインターネットのラジオ番組で、PCでもスマホでも無料でお聴きいただけます。妄想旅ラジオは、ぐっちーさん、ポチ子さん、たまさんの3名のパーソナリティーが毎回のテーマに沿って「生き物」「食べ物」「旅」について話す楽しいラジオ番組です。

ぐっちー作「妄想生き物紀行」第30回「クリスマス特別編〜真夏のクリスマス特別編はアツいプーケット、マラッカ、シンガポールの旅紀行。」いかがでしたでしょうか。

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