育児ノート・子どもの時間と大人の時間

発売日決まりました!

すっかり夏のような暑さが続いて、子どもと公園で遊ぶのも体力を消耗する時期になりましたが、まずは電子書籍化についてのお知らせです。
第一弾はAmazonから6月19日(土)に発売することになりました。発売日は場合によっては前後する可能性がありますが、どうぞよろしくお願いします。

書籍化にあたってのタイトルは『できれば楽しく育てたい〜ミュージシャンのクリエイティブ育児ノート』になりました。これは編集の風木一人さんからの提案で、ネット上で検索されるときに「育児」と「ミュージシャン」という言葉を入れておいたほうがいいということからです。さすが、出版の目線からはそういうこともきちんと考えてくれているのです。

『できれば楽しく育てたい』黒沢秀樹著 表紙

専用端末の他、スマホやパソコンでもお読みいただけます(無料アプリのダウンロードが必要)

この連載のタイトル「Little Child〜だいじょうぶ、父さんも生まれたて」はかなり気に入っているのでこのまま継続しようと思います。気がついている方もいるかもしれませんが、「Little Child」はビートルズの曲名から取りました。
育児中の方や育児を懐かしむ方をはじめ、子育てに関わる方、子どもだったことがあるすべて方に楽しんでもらえることを願っています。

できれば楽しく育てたい 黒沢秀樹 おおくぼひでたか

追記:発売されました!こちらをクリック! 

さて、今週は子どもと大人の時間についてです。

もうすぐ息子は3歳になろうとしている。育児経験のある友人知人からは「あっという間だよ」とよく言われていたが、確かにその通りである。
子どもの頃の3年という月日は永遠とも思える長さだったのに、大人にとってはあっという間である。そして年齢を重ねるとともに、その感覚はどんどんスピードを上げてきている気がする。このままいくとすぐにおじいちゃんになってしまうのではないかと焦る気持ちがさらに過ぎる時間を加速させていく。そして毎週この連載を書いていると、もう1週間が過ぎたのかと驚くことがある。どうして大人と子どもの時間の感じ方は違うのだろうか。

そんな疑問を持って調べてみると、またしても衝撃の事実に出会った。この現象は法則として提唱されていて、それもかなり有名な話らしい。なんとなくそんな気がすると思っていた現象がきちんと法則になっていたなんて、これまで考えたこともなかった。
「最近あっという間に時間が過ぎちゃう」というような会話をよくするが、それは単純に自分がポンコツになってきて今までのような効率で物事ができなくなっているからだと思っていたが、実はそれだけではないらしい。
これは19世紀の哲学者、ポール・ジャネーさんという方が提唱した「ジャネーの法則」と言い、その定義は、

「生涯のある時期における時間の心理的な長さは年齢の逆数に比例する」

ということらしい。
ちょっと言い方がややこしいがどういうことかというと、例えば自分の息子はもうすぐ3歳である。まだ人生は3年しかないわけで、1年は全人生の3分の1ということになる。
ちなみに自分は50歳なので、1年は今までの人生の50分の1である。そう考えるとなんとなく子どもと大人の時間の感覚に差が生まれるのも納得がいく。人生が長くなればなるほど、変わらない単位で区切られる時間の感覚は小さく短くなっていくわけだ。

しかし、泣き止まない子どもを抱っこ紐でかかえてゆらゆらし続けた時間や、道端に座り込んで子どもと一緒にダンゴムシを探している時間はとても長く感じる。これはどういうことなのだろうか。
人間は新しいことに挑戦したり、未知の経験があるかないかで時間の感じ方が大きく変わるらしい。大人になるということは経験値が増えていくということでもあるので、物事に対する新鮮さもその分失われていくことになる。よく言えば落ち着いて冷静に物事を把握することができるということでもあるが、要するにつまらないことをしている時間は長く、楽しいこと、刺激的なことをしている時間は短く感じるということである。
自分にとってダンゴムシはそんなに心ときめくものでもないし、どちらかといえばあまり興味をそそられるものではないが、息子にとっては時を忘れるほどに新鮮で興味深い対象なのである。今日は目を輝かせて「ダンゴムシ、服脱いだよ」と言って脱皮した皮を手に乗せられたが、やはり心と身体は繋がっているのである。

子供の時間軸に合わせて行動していると、色々なことが起きる。子どもの1日が長く感じられるのは、まだ知らないことがたくさんあり、そのひとつひとつが刺激的で新鮮に感じられるからだと言えるだろう。
そう考えると自分のような仕事は定時の仕事をしている方々と比べると、かなり子どもに近い感覚なのではないかと思う。なにしろ音楽を作ったり演奏したりすることは全く同じということはなく、常に新しい作品を生み出すチャレンジの連続である。もちろん経験値は大きな力になるが、それは主に新しいものを生み出すために使われることになる。
時間が短く感じられるというのは、毎日が新鮮で刺激に満ちているからであり、決して自分がただポンコツになっているわけではない、と自分に言い聞かせようと思う。

(by 黒沢秀樹)

【編集部より】 いよいよこの連載が電子書籍化されます!
『できれば楽しく育てたい〜ミュージシャンのクリエイティブ育児ノート』

各章に加筆修正の上、新章「黒沢秀樹さんに育児にまつわる20の質問」を追加。おおくぼひでたかさんの描き下ろしイラストも収録!
今週末6月19日(土)発売。世界13か国のAmazonでの独占販売となります(日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、カナダ、インド、オーストラリア、ブラジル、メキシコ)。どうぞお楽しみに!
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