「ジュン、ニュースだ」
トモアキは朝学校につくとすぐジュンに報告しにいった。ジュンはランドセルから出した教科書とノートを机につっこみながら返事をした。
「どうせいやなニュースだろ。と金倶楽部が優勝したってニュースなら聞きたくないぞ」
昨日の将棋大会、ジュンやアサ子がおにぎりを食べて帰った後も、トモアキとカズオだけは決勝戦を見るために残ったのだ。
「連中は優勝した。ジュンの呪いもたいしたことないな。でもニュースはそんなんじゃない」
「なんだよ?」
「表彰式の後のあいさつで運営委員長さんが言ったんだ。秋に第二回大会をやる予定だからみなさんぜひまた参加してほしいって」
ヒューッ! ジュンがくちぶえを吹いた。
「なるほどニュースだ。それはつまり秋にはあいつらをたたきのめせるってことだな」
「新庄くんとおれは当然そのつもりさ」
「メンバーはどうする?」
「一人は佐野の弟でもいいかと思うんだ」
「そうだな。佐野の弟は一つ勝ったからな。二つとも負けたトモアキより残す価値がある。ああっ! やめろっ!」
とつぜんジュンが叫んで身をくねらせた。気にしてることを言われたトモアキがジュンの背中にひじグリグリ攻撃をかけたのだ。
「ふうぅ、なんてやつだ。真実に暴力でこたえるとは。いけないと思うぞ、おれは、――あ、佐野、佐野っ」
アサ子が教室に入ってきたのをめざとく見つけてジュンが呼ぶ。
「なに?」
大声に顔をしかめながらアサ子がやってくる。
秋に第二回大会がひらかれることと、それにトオルを出してもいいということをジュンが話した。
アサ子はちょっと考えてからこう言った。
「わたしも出なきゃいけないかな」
「は?」
予想外の反応にトモアキとジュンはポカンとした。
――――続く
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