アスク・ホールディングス山本明美社長インタビュー、第3回となりました。時代の流れを鋭敏にとらえ業態を変化させてきた山本社長。今度はリラクゼーション事業へと乗り出します。
リラクゼーションは五感のサービス
現在のメイン事業リラクゼーションについて教えてください。
「1999年、日本JC(日本青年会議所)出向時代に社会起業家の勉強でサンフランシスコへ行ったのがきっかけとなり、人のお役に立つ仕事がしたいと思うようになりました。
私自身が仕事で一日中コンピューターを使うために、ひどい肩こりと視力の低下に悩まされていたことも動機のひとつでした。整骨院やマッサージによく通っていたんですが、技術的なケアだけでなく、もっと心から癒されて身体の疲れが取れるような場所を提供できないかと考えるようになったんです。
友人の学生時代の親友ということで、米国で活躍している倉石(注1)を紹介されたのですが、偶然彼もマッサージ事業に関心があったんです。
当時倉石が仕事の関係で日米を往復していたので、当社にも米国流の新しい経営のアドバイスをもらおうと取締役に迎え入れ、新しいリラクゼーション事業の準備をスタートしました。
地元のい草や畳、竹炭、ポプラの木などの自然素材を内装に使用し、精油などを使用したアロマセラピー等、五感の癒やしの中でケアとキュアのサービスを提供するという、斬新なコンセプトを打ち出し、2002年「ボディケア利楽園天神店」をオープンしました」
リラクゼーションはそれまでのお仕事とずいぶん傾向が違うようですが?
「そうでもないんですよ。空間とサービスのデザイン提供なんです。マックを使って画面上でやっていたのが立体になっただけです。
私が考えるリラクゼーションは五感のサービスなんです。マッサージ等の技術はもちろん大切だけれど、それをどういう空間でどんな気持ちで提供するかがもっと大切なんです。
インテリアはもちろん、香りや流れる音楽、触れるもの、セラピストさんの対応に至るまで、すべてが安らげるものでなければ本当には癒されないと思うんです」
だから山本社長はお店をご自分でデザイン・設計されるんですね。
「そうです。こういうお店にしたいというビジョンがあります。でもそのイメージを人に伝えるのは最初は大変でした。
お客様の立場で考えないと設計できないでしょう? お客様は70%女性ですが、オープン当初の設計士は男性の方でしたので、細かい部分の要望を伝えるのが難しくて、プランニングにとても時間がかかりました。だから早く伝える事ができるようにと自分で設計も勉強し始めたんです。
デザイン画を描いて業者の方と相談しているうちに、だんだんイメージを図面に落とすのが上手になってきて、それから展開図へ、それから照明プランへと。そういう流れでいつのまにか基本設計まで出来るようになっちゃったんです。
2004年の株式公開後は、50店舗オープンを目指し、店舗展開が加速していきましたので、さすがに女性の設計士二名を入れ、男性設計管理技師二名を加え、社内に建築設計事務所を設けました。デザイン開発から運営まで社内一貫体制で進めていくようになったわけです。
一度とことん自分でやっているから、設計スタッフへの伝達がスムーズにできました。
大阪、長崎、千葉と全国展開、時代の波に乗って岩盤浴を取り入れ、インドのアユルベーダーやタイのクリームバス等、新しい技術を学ぶために海外あちこちへ勉強にも行きました。社内に教育部を作って、各店舗でセラピストの指導をする人材を育てました」
「リラクゼーションブームの到来とともに店舗数は伸びていきました。
遊休不動産ビルや、売上が伸び悩んでいるホテルからの引き合いも多かったです。殆ど使用することもない奥まった宴会場の改装など、いろんな形での出店依頼がありました。ホテル側にとっては新しい客層を掘り起こせるのが魅力なわけです。
イオンさんやユニクロさん等の商業施設やビルの中など、数年のうちに全国に利楽園ブランド20店舗、関連プロジェクト40店舗とあっという間に広がっていったんです」
山本明美社長インタビューまだまだ続きます。次回をお楽しみに!
(注1)倉石ルーク
ガイアアセットマネジメント CEO
防衛大学校卒業後、米国ダラス大経営大学院でMBAを取得し米国三井不動産販売にて約200億ドルの商業不動産の証券化に携わる。米国最高峰の認定不動産投資顧問資格CCIMを取得、日米数社の役員を務める。現在公私ともに山本社長のパートナー。
山本明美(やまもとあけみ)
宮崎県出身:ASC創業社長
1988年 富士通FIP退社後、同年「ASC:アスク」を創業。DTP〜IR支援企業の制作プロダクションとして事業を拡大。2002年、リラクゼーション事業を開始。「ボディケア利楽園」を開店、2004年、業界初の株式公開、日米22店舗展開し利楽園ブランドを構築した。また遊休不動産の付加価値事業として日米で40以上の開発プロジェクトを手掛けた。(リンク参照)http://relaken.com/akemi-yamamoto-desgin-produce-work
2009年から開発を手掛けた”米国初の本格岩盤浴”は 日本の温浴文化として地元で話題となった。現在 レイクウッド市、アナハイムヒルズに岩盤浴スタジオを開発中。また居住用不動産の販売管理とバリューアップデザイン開発プロジェクトはテキサス州にも展開している。