Psychic VR Lab 山口征浩社長インタビュー第2回

山口征浩社長率いるサイキックVRラボは、ファッションに特化したショッピングサービスを開発しています。VRの活用法として、なぜファッションに狙いをつけたのか? 山口社長ならではのヴィジョンをうかがいます。


「着る空間」をファッションに。
株式会社Psychic VR Lab(サイキックVRラボ)山口征浩社長

山口征浩社長

いつごろからVRの研究をされているんですか?

「我々がVRに関する研究開発を始めたのは2014年です。
この年オキュラス社(現在フェイスブック傘下)が発表したVR用デバイスが性能的にも価格的にもそれまでの水準を抜いたもので、いよいよVRの時代が来ると直感しました。
そしてVR元年と呼ばれる今年2016年に本格的な事業化に向けて法人化しました。

今は、VRって何に使えるの?って時期だと思うんです。
20年、30年前に、パソコンで何ができるの?ネットで何ができるの?という時代がありました。
表計算するからエクセル使おう。文章書くからワード使おう。検索するからグーグル使おう。

でも結局どうなりましたか? あらゆることに使うようになったんです。コミュニケーションとるのも、資料作るのも、車作るのも、買い物も、教育も、娯楽も、なにもかも全部。

PCやスマホを一人一台持つようになって、そこで世界が大きく変わりました。
VRも同じです。何に使うかではなく、全部に使うことになる基盤的なテクノロジーです。人類のすべてを変えるくらい大きなポテンシャルを持っていると感じます」

ファッションに特化したVRショッピングサービス「スタイリー」を開発されています。VRの活用法としてなぜファッションというジャンルを選んだのですか?

「10億人がVRを使うようになると言ったのは単なる未来予想ではなく、ぼくらのサービスも10億人の人々に使ってほしいということなんです。
何に使う、ではなく全てに使うことになる、その基盤を提供したい。
パソコンのOS(オペレーションシステム)みたいなものです。その上でいろんなサービスが動くための基盤」

ファッションVRショッピングサービスSTYLY(スタイリー) ファッションVRショッピングサービスSTYLY(スタイリー)

「服を初めとするファッションって、日々の生活の中ですごく重要で基本的な要素ですよね。誰もが着るものだし、なんでもいいわけじゃなくて、みんなそれぞれ好きなブランドがあって、それが自己表現にもなっている。
ショッピング、モノを売るということはビジネスとしてのアウトプットの一つにすぎません。我々が提供したいのはファッションの表現の場であり、人々の日々の世界を彩る空間なんです。

VRにとって空間はとても重要で、ぼくらは『空間を着る』と表現しています。
誰だって自分にとって心地いい空間で仕事したいし、音楽を聴きたいし、食事をしたいし、読書をしたいし、くつろぎたいですよね。
一日中VRを使うとなると、自分と空間が本当に境目なく、自分の一部のようになることが大切です。『着る空間』をファッションとして定着させていきたい」

☆     ☆     ☆     ☆

21日(月)更新の第3回は、VRショッピングサービス「スタイリー」の体験レポートです。お楽しみに!


山口征浩(やまぐちまさひろ) 1977年生まれ
株式会社Psychic VR Lab代表取締役。VRを用いて超能力と魔法の使える社会の実現を目指す。13歳よりプログラミングを始める。同志社大学工学部中退。20代後半にマザーズ上場テクノロジー企業の経営を経験。31歳のときMITへ2年半の留学。2014年VR研究開発部門Psychic VR Labを立ち上げ2016年法人化。