…………………………
新年明けましておめでとうございます。
2018年度「魔談」開始。いつも怖い話や暗い話ばかりの「魔談」。「今年はもっと明るくしていきたい」とは全然思ってないが、まあ年頭ぐらいは「やや明るめ」でも良いのではないかと。真打ちの暗黒正統魔談は、明るい話の後でこそ、よりいっそう深い闇を感じるというものである。
そこであれこれ「やや明るめ」話題を探っていたが、今年の干支は「犬」ということで、年賀状に描かれた様々な健全な犬を連想しているうちに、「では年始魔談は魔犬でいこう」と思いついた。
そこで「魔犬」。この二文字を見てあなたはどんな犬を思い浮かべるだろうか。近所にいるやたら吠える犬?……その程度では「怒犬」であって「魔犬」とはいえない。魔犬とは周囲の人間を心の底から震撼せしめ、その恐るべき存在が伝説となって子々孫々にまで語り継がれるような犬でなければならない。そんな犬がいるのか。いるのだ。筆者は正月休暇を返上して真剣に探し求め、「これぞ魔犬」を3頭、探し出した。
・文学「バスカヴィル家の犬」(シャーロック・ホームズ・シリーズ)
・児童文学「オオカミ王ロボ」(シートン動物記)
・映画「遊星からの物体X」に登場の犬(ジョン・カーペンター監督)
「2番目はオオカミじゃないか!」という御指摘もあるかと思うが、まあ犬のルーツはオオカミということで、この際、目をつぶっていただきたい。なにしろ動物文学・児童文学のフィールドで燦然と輝く不朽の名作「シートン動物記」全46話の第1巻・第1話に登場の「伝説のオオカミ」である。ハンパねえ極悪オオカミである。普段は病んだ話ばっかの魔談だが、たまにはこうした名作児童文学を熱く語る魔談も悪くない、などと思っている。
そんなわけで次回から3回にわたり、この魔犬3頭を語っていきたい。どの魔犬から語るか。目下検討中ということで楽しみにお待ちいただければ幸いである。
余談(1)
上記以外に、タイトルがズバリ「魔犬」の小説がある。怪奇小説の世界ではつとに有名な作家ラヴクラフトの作品だ。さすがと言うべきか、じつに陰鬱で、不気味で、どうにも救いのない話なのだが……じつは実際に魔犬が出てくる話ではない。残念ながらボツ。
余談(2)
上記以外に、映画「クジョー」(スティーブン・キング原作)も頭をかすめた。「めっちゃ恐い犬」という印象は残っているものの、どうも後味の悪い、殺伐感の残るB級ホラー映画だったような気がする。「……キングもつまらない話を書くものよ。よくこんな話が映画になったな」という記憶だったので、ボツ。
・・・・・・・・・・・・・・・・…( つづく )