潮時 第三十二話
大日向峰歩 作・小説『潮時』第三十二話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その6。投薬したからと言って劇的に何かが変わるわけではない病。変わらない。否。少しずつ変わってゆく二人の暮らし。手探りの闇夜に浮かぶ満月は、二人をどこへ運んでくれるのでしょうか。
毛と山と鉄を愛するサイコロジストが、漏れ出た内言、綴ります
大日向峰歩作・小説『潮時』
大日向峰歩 作・小説『潮時』第三十二話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その6。投薬したからと言って劇的に何かが変わるわけではない病。変わらない。否。少しずつ変わってゆく二人の暮らし。手探りの闇夜に浮かぶ満月は、二人をどこへ運んでくれるのでしょうか。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第三十一話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その5。病院での検査へ遂に連れていかれる鶴子と満男。後悔にかられる満男に突き付けられた鶴子の事実。いいことも悪いことも忘れてしまうのは、もしかしたら幸せなのかもしれません。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第三十話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その4。章子が炙り出す、鶴子の異変の意味に、満男は必死で目を背けようとします。けれどもその甲斐空しく、鶴子は娘の前で綻びを自ら露呈するのでした。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十九話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その3。喜寿を祝う会の帰路に起こった、あるトラブル。それによって、鶴子の異変は満男の手から零れ、章子たちにも共有されることになり……。満男夫婦の慎ましくも平穏な暮らしは、どうなるのでしょうか。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十八話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その2。満男だけが知る、鶴子の異変。それは、ほんの些細な普通のことなのかもしれないし、大きな変化の予兆なのかもしれない。人は時に、自分の見たいものだけを見ようとします。満男が気づいたそれは、果たしてどちらなのでしょうか。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十七話:『ドライビング・ミスター・フルムーン』その1。79歳の満男の最近の気がかりは、共に暮らす2つ下の妻、鶴子の様子がおかしいこと。今度、一人娘の章子が計画し、鶴子の喜寿を祝う会が行われることになったのだが……。五つめの〝潮時〟の始まりです。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十六話:『研究室の窓から』その8。渋々連れて来られた夫の職場。もう関与することのないその職場の同僚と、ひょんなことから接することになる弥生。そこで田辺の一面を知ると共に、自分の中のある感情と弥生は向き合うことになります。四つめの潮時の話、ラストです。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十五話:『研究室の窓から』その7。子どもの頃なら、たとえ自分で自分の首を絞めるようになったとしても〝なかったこと〟にできるのかもしれない。でも大人なると、容易に引っ込みがつかなくなるものです。身から出た錆とはいえ、思いがけず退職することになった田辺の元に届いた一通の手紙。それは弥生にも少なからず影響を与えることになるのかもしれません。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十四話:『研究室の窓から』その6。田辺という一人の男にも、夫や父という役割があるように、家族の姿というものはその視点の数だけ、見え方も違うのかもしれません。その景色の中を、鳥のような身軽さで行き来するあずさ。子どもの持つ自由さが、この家族に何かをもたらすのでしょうか。
大日向峰歩 作・小説『潮時』第二十三話:『研究室の窓から』その5。大人になれば、自分の尻は自分で拭わなければなりません。駄々をこねた挙句、大学を辞めることになった田辺。そのことを家庭内で報告する時、止まっていたと思っていた歯車が動き出します。