どこから来たの? Ver.2 3/4話(出典:碧巌録第三十四則「仰山問甚処来」)

この話を受けて雪竇和尚は次のようなポエムをよみました。

飛び降りる? 飛び上がる?
本当のことを誰が知る?
曇っているからといっても太陽がなくなったわけではないよなぁ。
左を見るヒマなんてないし、右を見たらもうとっくに老いぼれだ。
あの伝説の隠者である寒山子のすばやさに学ばないといけないね。
あっという間に山奥に入ってしまい、気がつけば十年も出てこない、
というか、もはやどうやって来たのかも忘れちまってるというのだから。

「誰が知る?」なって言っちゃってますが、なんのことはない、雪竇和尚の「オレ様は知ってますぜ」アピールですよね。(笑)

まぁ確かにどうやるのが「飛び降りる」ことで、どうやるのが「飛び上がる」ことなのかを熟知していたならば、どんな相手が来ようとも自由自在に対応できることでしょう。

「左を見るヒマなく、右を見れば老いている」境地に至ることができたなら、そこは究極の「無心」の世界。
「暑くても暑くなく、寒くても寒くない」境界が、そこには広がっているハズです。

見事なまでのものぐさぶりでその名を馳せた懶瓉(らんさん)和尚のところに粛宗皇帝の使者がやってきた時のこと、懶瓉和尚は石室にこもって牛の糞を燃料にして焼き芋を作っている最中だったとか。

で、使者が「皇帝がお召しです。すぐに出頭するように!」と声をかけても全く反応しなかったとか。

しかも鼻水が大量に流れてアゴから滴っているという始末。

使者が苦笑いして「おいオッサン、鼻水拭きなよ!」と声をかけると、「フン、俗人のために鼻水を拭いてやるヒマなんてありゃせんわ!」と言ったとか。

仕方なく使者は手ぶらで帰って皇帝に経緯を説明すると、皇帝は「す、凄い!そこまでとは・・・」言って感嘆したとか。

人間、人の指図を受けたくないというのであれば、ここまで断固とした調子でないといけないのかも知れませんね。

―――――つづく

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