一言一句を全てビシッと決めようと意気込むと、かえってスベり倒して痛々しいことになることは皆さま既にご経験のあるところと思いますが、仏法のハタラキもそれと同じようなものでして、いくら頑張ってその上を行こうとしたところで、結局グダグダになることは避けられません。
しかし、いつまでもそんなことでいいのでしょうか?
まぁ、そんなことでなくしてみたところで、結果はそれほど違わないのかも知れませんが・・・
ある時、馬大師が病気になって、容体が思わしくない状態が続きました。
寺の事務長が見舞いに来て「和尚、体調はいかがですか?」と尋ねたところ、馬大師は、「日面仏、月面(がちめん)仏!」と答えたそうです。
日面仏というのは寿命が千八百年もあるという長生きの仏様のことで、逆に月面仏というのは寿命が一日しかないという短命な仏様のことです。
馬大師はそんな仏様の名前を出して、いったい何を伝えようとしたのでしょうか?
例によってシュール過ぎてわけがわかりませんが、実はこここそまさに本気を出して全力で取り組むべきところなのです。
もし、この話の勘どころがつかめたならば、貴方は無事、茜色の夕焼け空の下をひとりで歩き去ることができるでしょう。
逆にそれがつかめないなら、どんどん山奥に分け入ってしまい、遂には遭難すること間違いなしです。
そのことが本当に腑に落ちたならば、運転手から車を奪い取り、飢え死に寸前の人から食べ物を奪い取る剣幕の非情さの発揮こそが、馬大師の教え方の真骨頂なのだということがわかるハズ。
―――――つづく
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