ミラクル・フラッシュボーイ 後編(出典:不思議光菩薩所説経)

赤ん坊はひとしきり光を放つと、八歳ぐらいのこどもの姿となって降下しはじめました。

その子が素っ裸なのを見て、天帝インドラは服を着せてあげようとしましたが、こども(以下、ミラクルフラッシュ・ボーイ)は「いやいや、カウシカ(インドラが人間だった時の名)さん、私にはもはやそんなものは必要ないのです。すでに「法」という名の服で全身を覆いつくしているのですから!」と言って辞退しました。

ブッダはヒラヒラと落ちてきたインドラの服を右手でキャッチし、着地したミラクルフラッシュ・ボーイに言いました。

「まぁ、そう言わないで、もらっておきなさい。」

ミラクルフラッシュ・ボーイは右ひざを地につけてひざまずき、右手で服を受け取ると、素直に着用しました。

一連の出来事に皆が度肝を抜かれて立ち尽くす中、ブッダは提案します。

「さてと、オマエの母親のところに行こうか。」

ブッダたち一行はぞろぞろとカビラの城下町を練り歩き、とある家の前まできました。

ミラクルフラッシュ・ボーイはためらうことなく扉を開き、中にいた女性に語りかけました。

「母さん、あなたは何も悪くない。
むしろ素晴らしいことをしたのです。
なにしろ、私というミラクルフラッシュ・ボーイをこの世界に出現させたのですから!」

ことの次第に感動したインドラは、素晴らしい香りのする天衣をこの女性にプレゼントしたのでした。

一行が借り住まいしていたジュータ林(祇園精舎)に戻って一服していると、コーサラ国の王がブッダを訪ねてやってきました。
ミラクルフラッシュ・ボーイ出現騒動を耳にして、多勢の兵士たちとともに事情聴取に来たのです。

王はミラクルフラッシュ・ボーイを見ると感嘆の声をあげました。
「こ、これは凄い! まさに全身が光り輝いているようだ!
・・・こんな素晴らしい才能を持った子が、なんでまた捨て子などという運命を背負ってしまったのだろうか?」

ブッダは答えました。

「ああ、それか。
今から四千億年ほど昔、この世で一番最初の仏であるビバシ仏の元に、二人の弟子がいた。
一人は、あまり欲のない性格で、ひとりでいるのが好きだった。
もう一人は、繁華街に出入りしたり流行を追ったりするのが大好きだった。
で、そのことについて片方が説教したところ、もう片方は気を悪くして、こう言って罵ったのだ。
「なんだと、こら!? オマエみたいな捨て子にそんなことを言われる筋合いはないね!」
それからというもの、彼は生まれ変わるたびに捨てられる運命となってしまったというわけだ。
しかし、あれからもう四千億年、その報いもついに終わる時がきた。
終わった今の彼を見てみろ。まばゆいばかりだろう?
彼は既に、六十四億人分の仏に匹敵する能力を持っているのだよ。」

恐れ入ってひれ伏す王を尻目に、ブッダはアーナンダに話しかけました。

「おい、アーナンダ、オマエ、こいつが地上百m以上に飛び上がったり、閃光を放ったりしたのを見たよな?」

アーナンダ:「はい、見ました! 私は確かにそれを見ましたとも! しかし、こんな奇跡のようなことがあるんですねぇ…」

ブッダ:「オマエ、この際だから今までの経緯を記録しておきなさい。」

アーナンダ:「はい、もうバッチリ記憶されていますよ!
ところで今回の事件にはいったいどのようなタイトルをつけましょうか?」

ブッダ:「そうだなぁ。
「不思議な光を放つ少年の物語」とでもしておこうか。」

アーナンダ:「合点、承知です!」

<不思議光菩薩所説経 完>