コーカリカ 前編(出典:賢愚経)

ある日の雨上がり、仏弟子の一人であるコーカリカが村はずれを歩いていると、とある小屋から雨宿りしていた仏弟子仲間のシャーリプトラとモッガラーナが出てくるのが見えました。

コーカリカが離れたところから様子を見ていると、なんと二人が出てしばらくしてから頬を紅潮させてなにやら興奮冷めやらぬ感じの若い村娘が出てきたではありませんか!

実はシャーリプトラとモッガラーナが小屋に駆け込む前から村娘は雨宿りしていたのですが、ビックリして素早く身を隠したため、二人は同じ小屋に娘がいることに気が付かなかったのです。

しかも娘は二人のあまりのイケメンぶりに見惚れてしまい、脳内でアレコレ妄想して勝手に一人で興奮してしまったという次第だったのですが、そんな事情を知らないコーカリカは前から二人をよく思っていなかったこともあり、「シャーリプトラとモッガラーナは仏弟子のクセに二人して村娘にイタズラしていた!」と教団内に言いふらし始めました。

仲間の仏弟子たちは皆「そういうことを言うもんじゃない」とコーカリカを諌めましたが彼は全く聞く耳をもたず、ますます調子に乗って二人の悪口を言い募ります。

その様子をかつて二人のおかげで悟りを得て天上界に生まれ変わっていた先輩弟子のヴァッガという仙人が見ており、コーカリカの前に降臨すると同じように諌めました。

ところが、コーカリカは聞く耳をもたないばかりか、「よう、ヴァッガさんお久しぶり!オマエさん、「悟りを得た!私はもう二度とこの迷いの世界には戻らない!」とか偉そうなことを言って死んだクセに、なんでまた戻って来ちゃったの?これじゃブッダの教えも怪しいもんだな。(笑)」などとバカにした態度を取るばかり。

すると、コーカリカのからだにニキビのような吹き出物がポツポツとできはじめました。

それでも彼は懲りずにブッダのところに出かけて行き、「シャーリプトラとモッガラーナは村娘にイタズラするようなヤツですよ!」と悪口を言いました。

ブッダはもちろん「そういうことを言うもんじゃない」とたしなめましたが素直に言うことを聞く彼ではなく、三度に渡って悪口を言いました。

彼が悪口を言う度に身体のデキモノは大きくなっていき、遂には大きなヒョウタンほどのサイズになってしまいました。

しかも全身が燃えるように熱くなり、冷まそうとして池に入っても池の水が沸騰してしまうほど。

やがてデキモノが潰れるとコーカリカは即死し、地獄に直行しました。

教団の弟子たちはみなあまりの展開に驚いてブッダに訪ねました。

「コーカリカはブッダに逆らったので地獄行きは納得ですが、我らのリーダーであるシャーリプトラとモッガラーナが悪口を言われるようなことになったのは何故なのでしょうか?あなたはいつも「全てのことには原因がある」とおっしゃっていますが、二人のようなエース級の弟子にもこんなひどい目に合わなければならないような悪因縁があるのですか?」

ブッダは答えました。

「もちろんだとも。今は聖人の域に達している二人だが、前世においては彼らもコーカリカと同じように修行者の悪口を言ったことがあり、その業の報いがまだ終わっていないというわけだ。

―――――つづく