ブッダの話は続きます。
「食べることが大好きでハードな運動に悦びを感じる人の前世は、馬だ。
暑さ寒さに強いが記憶力がイマイチな人の前世は、牛だ。
地声がデカくて人気者だがやっていいことと悪いことの区別がついていない人の前世は、ロバだ。
肉が大好きで大胆な性格の人の前世は、ライオンだ。
ギョロ目で広い場所が好きで嫉妬深い人の前世は、トラだ。
目が小さくてじっとしていることが苦手な人の前世は、鳥だ。
体力が有り余っているが家族を顧みない人の前世は、狼だ。
オシャレに全く興味がなくて目つきが悪く怒りっぽい人の前世は、犬だ。
スケベでオシャベリな人の前世は、オウムだ。
身体が小さくてスケベで落ち着きのない人の前世は、スズメだ。
怒りっぽくて理屈が通じず暴言ばかり吐く人の前世は、サソリだ。
昼は一人で引き篭もって間食が多く夜更かしな人の前世は、タヌキだ。
守銭奴の上に盗みが好きな人の前世は、ネズミだ。
また、怒ってばかりいた人は、ヘビやライオン、狼の類に生まれ変わる。
ものの道理を理解しようとしなかった人は、ゾウや牛、ヒツジの類に生まれ変わる。
驕り高ぶった性格の人は、ラクダやロバの類に生まれ変わるのだ!」
ブッダの説明を聞いていたアーナンダが口を開きました。
「なるほどです。良くも悪くも人々の有様がそれぞれに異なるのは、本人の行いの報いであるということですね?
先生、現世や来世の状況を悪化させる行為につき、次の十通りに分類してみたのでご確認くださいませ。
- 生き物を殺したりイジメたりすること(殺生)
- 人のものを盗むこと(偸盗)
- 性的で恥知らずな行為をすること(邪淫)
- 人を騙すこと(妄語)
- 人を中傷すること(両舌)
- 汚い言葉を使うこと(悪口)
- 口先だけのデマカセを言うこと(綺語)
- 地位や名誉、人・モノ・カネに執着すること(貪欲)
- 自分勝手に怒りまくること(瞋恚)
- ものごとを素直な気持ちで受け取らないこと(邪見)・・・」
アーナンダがここまで話したとき、大勢の聴衆の中から声があがりました。
「いやいや、それらはどれもこれも程度の差異こそあれ誰しもがやっていることじゃないか!しかも、よほど注意しても全て完璧に断つことは難しいことばかりだ!なのに、どれかひとつにでも「該当したら地獄行き」だなどと言われてしまうと、我ら一般人はもう身動きが取れなくなってしまう・・・ いったいどうしたらよいのだ!?」
―――――つづく
☆ ☆ ☆ ☆
電子書籍化 第2弾!『超訳文庫 無門関 Kindle版』(定価280円)が発売されました。公案集の代名詞ともいうべき名作を超読みやすい現代語訳で。専用端末の他、スマホやパソコンでもお読みいただけます。
第1弾の『超訳文庫アングリマーラ Kindle版』(定価250円)も好評発売中です。<アングリマーラ第1話へ>