
別訳【夢中問答集】第七十一問 全てのものごとの本質は、みせかけ? それとも実在?
足利直義:なるほど…… 話は変わりますが、お経には「あらゆるものごとの本質は、みせかけだけのマボロシなのだ!」と書かれたものもあれば、...
東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。 意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
室町時代のディアロゴスの軌跡が、七百年後の今に甦る!
時の副将軍である足利直義(尊氏の弟)と鎌倉仏教興隆の立役者である夢窓国師の間で交わされた問答の記録を、読みやすい現代語で再構築してご紹介。
著者:文野潤也
足利直義:なるほど…… 話は変わりますが、お経には「あらゆるものごとの本質は、みせかけだけのマボロシなのだ!」と書かれたものもあれば、...
禅宗はまさに「教外別伝」じゃ。 だから禅宗における「見性(けんしょう):性を見る」の意味するところは、その他の宗派とはひと味違う。もちろん...
足利直義:なるほど、そういうもんなんですかね…… ところで和尚、よく「インドからやってきた達磨大師は、文字・言語を使って教えを示すこと...
まぁ、「初めから『真の心』に目覚めるのはなかなか難しいというのであれば、まずはカンチガイでもいいから自分が『心』だと信じるものをとことん追い...
足利直義:菩薩の化身である孔子や老子などの古代中国の聖人たちもまた、世間ずれしてひん曲がってしまった「知覚・考慮・分別するハタラキ」をまっす...
そしてブッダはアーナンダにこう言った。 「遥かな昔から今まで、生きとし生けるものが漠然と輪廻転生の渦に巻き込まれ続けてきたのは、真の心...
足利直義:曲がってしまったものをぐいっと押せばまっすぐに戻るように、出来の悪い連中の曲がった根性もグリグリ押しまくってまっすぐにすれば「仏の...
足利直義:なるほど…… しかし、もし「心」がそのようなものなら、妄想の産物である「いつわりの心」ではない「真の心」を探し求めるということ自体...
この「心」というヤツは実に不思議なもんでな、全宇宙に充満しているからといって広いわけではなく、微細な粒子の中にあるからといって小さいわけでも...
今どきの学者の中にも「神我の見」に陥る者がある。 円覚経には「それは例えば水晶玉が周囲の色を映しているのを見て、水晶玉に色がついている...