X(旧Twitter)でお話しました
みなさまこんにちは。遅まきながら、あけましておめでとうございます。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「ヤドカリ〜ヤドカリ界では住む家がその住人を育てる」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。
先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。
貝の偉大さを知る
シャルル大熊さんから質問です。
子どものころ、ヤドカリのカラが借りものであることを知ったときは驚きました。
大事なことを偶然まかせにしすぎではないかと。
他の生き物のパーツを借りて自分の一部のように使用している例は他にもあるのでしょうか?— シャルル大熊 (@charles_okuma) January 11, 2024
ヤドカリの生態にはかなり驚かされますよね。このインパクトが強すぎたせいか、子供の頃の私は、カタツムリやカメも殻や甲羅から出られるのかと思っていたものです。
他人任せにできる環境が整っていたからそのように進化したのかもしれませんが、その代わり生き方を限定されてしまいました
イソギンチャクを体に付けるキンチャクガニがいますが、虎の威を借る狐ですね— ぐっちー (@mousou_guccy) January 11, 2024
キンチャクガニ、探してみましたが、こちらです。
ハサミの先についている白いポンポンみたいなのがイソギンチャクで、イソギンチャクの刺胞(針)つき触手で敵を威嚇するそうです。食料を集める時にもこのイソギンチャク触手を用いるらしいです。かなり重要な武器兼道具のようなので、ないと困りそうです。環境から独立して生きられる地球生物などいないので程度問題かもしれませんが、「成長も防御力も貝殻任せ」という選択はかなりハイリスクに思えます。
進化には時間がかかるから、よっぽど長い間、貝のカラが豊富な時代が続いているんですね。貝の繫栄、すごい。
— シャルル大熊 (@charles_okuma) January 12, 2024
確かに。「水と安全はタダ」と言われた日本における水と安全くらい当たり前に存在して、ヤドカリも頼り切ってしまったわけです。
これまで生きてきた貝類の貝殻がそのまま残っていたらどのくらいの量になるんでしょうね
— ぐっちー (@mousou_guccy) January 12, 2024
地球はBIGな貝塚、というレベルかもしれません。
堅いカラで身を守るというシンプルな戦略がいかに優秀だったかわかります。他人(ヤドカリ)の身まで守ってるんですから(笑)
— シャルル大熊 (@charles_okuma) January 13, 2024
死後に何かを残したいと思ったら貝に学ぶべきでしょうか。
巻貝も死んだ後にそのような利用のされ方をしているとは思ってもみないでしょう
— ぐっちー (@mousou_guccy) January 13, 2024
貝殻というのはかなり長く残ります。何億年も前の化石にも残っていますし、(いきなり次元は下がりますが)風雨にさらされても少なくとも数十年、形をとどめます(亡き祖母が土壌改良のために庭に置いた貝殻が今も残っています)。いったい、貝の生涯の長さの何倍、姿をとどめるのでしょう? ひとつの生物の体を守るためと考えるとかなりオーバースペックなところが不思議で、今後思いもよらない進化をする可能性が、貝にはあるのかもしれないですね。
シャルル大熊さん、どうもありがとうございます!
嗚呼、借り物の人生
さて、貝殻に限らず、生物としての命を終えても、強度が高かったり(木、骨、角など)エネルギー源として優れていたり(石油、石炭など)という特別な「生命の遺物」が地球にはあるので、それを利用して、利用しまくって生きる生物も出現します。それが私たち人間。今、これらが全部なくなったら……生物としては水と食料があれば生きられるのかもしれませんが、それでもかなりピンチです。さてヤドカリは?
人間は衣服とかスマホとか乗り物とか、必要な機能を外部装置に頼っていてもはや身一つでは何もできないので、ヤドカリのような「借り」タイプ進化生物からは学ぶものが多いと思います……万一殻が失われた時の挙動とか。ヤドカリってそういう時、どうするんですか? 殻がないと死んじゃうんですか?
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) January 11, 2024
貝が急に消滅したら、どうなるんでしょう?
すぐには死なないと思いますが、弱い部分を引きずって移動するので、傷付きやすく外敵がいれば食べられやすいと思います
今の時代にスマートフォン無しで海外旅行に行けというのと同じかもしれません— ぐっちー (@mousou_guccy) January 11, 2024
スマートフォンなしで海外(想像)。
もはや全裸で外出くらいエクストリームに感じられます。
不安でしょうがないですね
ところで、いい大きさの人工的な容器などを近くに置いておいたらヤドカリが殻として使うことはあるんでしょうか?— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) January 12, 2024
ミノムシがミノを作る時にカラフルな紙片を置いておくという実験なら見たことがあるのですが。
沖縄のオカヤドカリと思われるヤドカリはペットボトルの蓋を利用している例があります
居心地は良くないと思いますが、背に腹は変えられなかったのでしょう
海洋プラスティックの環境問題と適当な貝殻が減った多様性の問題が合わさったのかもしれませんhttps://t.co/MuOCqEoEgF— ぐっちー (@mousou_guccy) January 12, 2024
ペットボトルの蓋ですか。
ヤドカリ、案外たくましいです。貝殻なしでも生き残りそうな気がしてきます。それにしても、
すごい! 材質がだいぶ違いますけれど、サイズと形が合えばとりあえずよしとするってことでしょうか。
人家やビルの軒先に巣を作るハトや針金を巣材にするカラスと同じで、人間活動に適応してしまう生物なのですね。せめてもう少しいいもの落ちてないのかと、つい思っちゃいますが(空き瓶とか)……— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) January 13, 2024
居心地も見た目も何だか。きれいな、丸みのある瓶とかの方がいいんじゃないかしらん。
空き瓶は重すぎるかもしれませんね
— ぐっちー (@mousou_guccy) January 13, 2024
そうか重いのか……。確かに、常に着て歩く洋服みたいなものですから、あまり重いのは困ります。他に何かいいものないかなあ、と私は、ぐっちーさんへのお返事も忘れてしばらくヤドカリの変わったヤド探しに熱中したのでした。
うーん、重さがネックかあと、軽くてもっといい殻を求めて検索していたら面白い動画を見つけてしまいました😮 明日の記事に載せます👍
— 斎藤雨梟 SAITO Ukyo (@ukyo_an) January 15, 2024
はい、そして見つけたのがこの動画。
和歌山県にある「すさみ町立エビとカニの水族館」(面白そうな水族館です。行ってみたい!)のYou Tubeチャンネルに、中身スケスケのガラスの殻にお引越ししてもらったヤドカリの映像が。ヤドカリの体ってこうなっているのか。殻が重そうで動きが鈍い印象のあるヤドカリですが、案外、繊細で機敏な動作が多いことにも驚きます。
貝殻が見つからなくてもたくましく生きろ、ヤドカリ!
クリスタルヤドカリにあれこれもの思った結果生まれた今回の絵がこちら。
かっこいい殻を持っているとモテるとか、殻で判断されてしまいがちだとか、借り物人生にはそんなことも起こるのでは、という妄想です。
というわけで今回はこれにて。次回エッセイのテーマは、みんな大好き「ジャイアントパンダ」。妄想旅ラジオ第93回「ジャイアントパンダ」 と関連した内容になります。ラジオの方も、「そうきたか!」というひねりの効いた楽しいお話なのでぜひエッセイの予習がてらどうぞ。それにしても、上野動物園に時々行くのですが、パンダパンダってみんな大騒ぎしすぎじゃない? 他にも魅力的な動物いっぱいいるでしょ? とか言いながら、実際見ると超エキサイトして鼻息が荒くなるあのかわいさはなんでしょう。ぐっちーさんも次回のエッセイでパンダの愛らしさを語りまくる……かどうかはわかりませんが、どうぞお楽しみに。本年も『妄想生き物紀行』をよろしくご愛読ください!