ヤドカリに学ぶ借り物人生 ぐっちーさんと話そう<92>

結局怒るヤドカリ illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

X(旧Twitter)でお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。遅まきながら、あけましておめでとうございます。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「ヤドカリ〜ヤドカリ界では住む家がその住人を育てる」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、どうぞよろしくお願いします

貝の偉大さを知る

シャルル大熊さんから質問です。

ヤドカリの生態にはかなり驚かされますよね。このインパクトが強すぎたせいか、子供の頃の私は、カタツムリやカメも殻や甲羅から出られるのかと思っていたものです。

キンチャクガニ、探してみましたが、こちらです。

ハサミの先についている白いポンポンみたいなのがイソギンチャクで、イソギンチャクの刺胞(針)つき触手で敵を威嚇するそうです。食料を集める時にもこのイソギンチャク触手を用いるらしいです。かなり重要な武器兼道具のようなので、ないと困りそうです。環境から独立して生きられる地球生物などいないので程度問題かもしれませんが、「成長も防御力も貝殻任せ」という選択はかなりハイリスクに思えます。

確かに。「水と安全はタダ」と言われた日本における水と安全くらい当たり前に存在して、ヤドカリも頼り切ってしまったわけです。

地球はBIGな貝塚、というレベルかもしれません。

死後に何かを残したいと思ったら貝に学ぶべきでしょうか。

貝殻というのはかなり長く残ります。何億年も前の化石にも残っていますし、(いきなり次元は下がりますが)風雨にさらされても少なくとも数十年、形をとどめます(亡き祖母が土壌改良のために庭に置いた貝殻が今も残っています)。いったい、貝の生涯の長さの何倍、姿をとどめるのでしょう? ひとつの生物の体を守るためと考えるとかなりオーバースペックなところが不思議で、今後思いもよらない進化をする可能性が、貝にはあるのかもしれないですね。

シャルル大熊さん、どうもありがとうございます!

嗚呼、借り物の人生

さて、貝殻に限らず、生物としての命を終えても、強度が高かったり(木、骨、角など)エネルギー源として優れていたり(石油、石炭など)という特別な「生命の遺物」が地球にはあるので、それを利用して、利用しまくって生きる生物も出現します。それが私たち人間。今、これらが全部なくなったら……生物としては水と食料があれば生きられるのかもしれませんが、それでもかなりピンチです。さてヤドカリは?

貝が急に消滅したら、どうなるんでしょう?

スマートフォンなしで海外(想像)。

もはや全裸で外出くらいエクストリームに感じられます。

ミノムシがミノを作る時にカラフルな紙片を置いておくという実験なら見たことがあるのですが。

ペットボトルの蓋ですか。
ヤドカリ、案外たくましいです。貝殻なしでも生き残りそうな気がしてきます。それにしても、

居心地も見た目も何だか。きれいな、丸みのある瓶とかの方がいいんじゃないかしらん。

そうか重いのか……。確かに、常に着て歩く洋服みたいなものですから、あまり重いのは困ります。他に何かいいものないかなあ、と私は、ぐっちーさんへのお返事も忘れてしばらくヤドカリの変わったヤド探しに熱中したのでした。

はい、そして見つけたのがこの動画。

中身丸見え!透明ヤドカリ – Hermit crabs in glass shells –

和歌山県にある「すさみ町立エビとカニの水族館」(面白そうな水族館です。行ってみたい!)のYou Tubeチャンネルに、中身スケスケのガラスの殻にお引越ししてもらったヤドカリの映像が。ヤドカリの体ってこうなっているのか。殻が重そうで動きが鈍い印象のあるヤドカリですが、案外、繊細で機敏な動作が多いことにも驚きます。
貝殻が見つからなくてもたくましく生きろ、ヤドカリ!

クリスタルヤドカリにあれこれもの思った結果生まれた今回の絵がこちら。

かっこいい殻を持っているとモテるとか、殻で判断されてしまいがちだとか、借り物人生にはそんなことも起こるのでは、という妄想です。

というわけで今回はこれにて。次回エッセイのテーマは、みんな大好き「ジャイアントパンダ」。妄想旅ラジオ第93回「ジャイアントパンダ」 と関連した内容になります。ラジオの方も、「そうきたか!」というひねりの効いた楽しいお話なのでぜひエッセイの予習がてらどうぞ。それにしても、上野動物園に時々行くのですが、パンダパンダってみんな大騒ぎしすぎじゃない? 他にも魅力的な動物いっぱいいるでしょ? とか言いながら、実際見ると超エキサイトして鼻息が荒くなるあのかわいさはなんでしょう。ぐっちーさんも次回のエッセイでパンダの愛らしさを語りまくる……かどうかはわかりませんが、どうぞお楽しみに。本年も『妄想生き物紀行』をよろしくご愛読ください!

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