フナ七変化 食・鑑賞・妄想 ぐっちーさんと話そう<44>

フナ七変化 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

Twitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「フナ〜大量に釣れたフナをどうやって保存するか夫婦喧嘩した結果、文化が生まれた。」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

フナ減少・手間と暇・海水魚・冷蔵技術 この四つの共通点とは

エッセイで取り上げられていた鮒寿司。私は鮒寿司を食べたことがないので、食べたことのある方にお話を聞きたいものだと思っていたところ、ポチ子さんからコメントいただきました。

琵琶湖周辺で売られているのか〜(そして高いのか!) ポチ子さんのおっしゃる通り、フナが少ない、作るのが大変、では当然ですね。

で、美味しいんだな(そこが大事)、フムフム。酸味と旨味、発酵風味が強そうな感じです(味を想像中)

もうひとつ気になることがあったのでした。鮒寿司などのなれ鮨が酢飯で作った現代のいわゆる「お寿司」の先祖であるという話なのですが、子孫はどれほど変化しているものか?

やはり長期発酵の味をインスタントに再現できるものではないのですね。それで現在のお寿司が生まれたなら良しとしますが、鮒寿司系も(とりあえず私が食べるまでは)残って欲しい文化です。

風オーナーからも家庭での鮒寿司文化衰退を惜しむコメントが。

口から内臓を出すって、そこだけ見ても大変そうです。それ用の特別な道具でもあったんでしょうか。しかも各家庭に? その方法にたどり着くまでのトライ&エラーも想像すると何というか……匂い立つ大変さ。

しかしニゴロブナではなくヘラブナで鮒寿司はできないのか、ヘラブナを食べないのはなぜなのか、も気になります。聞いてみます。

うーむ、やはりヘラブナはそんなに美味しくないということか。

鮒寿司という保存食が衰退する理由は「フナが減った」「作るのに手間がかかる」だけではなく「海水魚の方が美味しい」「保存食にしなくても冷蔵・冷凍すればよい」などがありそうです。敵は目に見えるよく似たライバルとは限らないという好例ですね。

(「鮒味噌」は後ほど登場します)

ポチ子さん、風オーナー、ありがとうございます!

フナ七変化(食文化編)

「鮒寿司」の感想求む!のぐっちーさんのツイートには、zuno/UdonAngya さんからこんな情報も寄せられました。

鮒味噌? しかも鮒と味噌ではなく鮒と大豆を煮込む?(その後、発酵させるの?)

高齢者に人気?

いろいろ妄想が膨らんでしまいます。

さすが、ポチ子さんはご存知でした。モロコというのがわからなかったのですが、こちらももとは琵琶湖の固有種である淡水魚のようです。へぇ〜!

鯛味噌!? これまた知らない美味しそうな食べ物が登場しました。スーパーで売ってたっけな……今度見てみよう。

鯛味噌はペーストで鮒味噌はつぶつぶ。鮒味噌にはフナがいる(ということは鯛味噌にタイはいないのか)。全然違うものだったらしい!

おー、これが鮒味噌! レシピまで載っています。フナがあれば作れるというわけか。そしてリンク先の農林水産省のサイトには「長時間煮こむなど手間がかかるので家庭でつくることは減ってきているが、冬の味覚として食したいというニーズは高く、冬になるとスーパーマーケットなどで手軽に購入できる。」とあります。今も人気のある料理なのですね。

新たな情報が! 早速行ってみましたが、詳しくて読み応えのある記事でした。

こちらの本を参考にして作ったとあります。レシピが本にもなっているんですね。

上記記事からのまた引きですが、飯田辰彦著「あっぱれ! 日本のスローフード」の鮒味噌レシピは「いざこの料理を作ろうとした場合、相当の覚悟がいる」の一文から始まるとのこと。やっぱりね。でも覚悟の料理だけあって美味しそうです。赤味噌と大豆でじっくり煮詰めたためか臭みがなく、フナ独特の味わいを残した滋味のある料理だそうです。

手に汗握る展開でしたね。

実はリンク先の「デイリーポータルZ」の玉置標本さんの記事は以前から他のものも何度か読んでいます。「狩猟採集&料理」系の記事がとても面白くて好きです。鮒味噌の記事の最後には、「鮒味噌はマロングラッセを上手に作るくらい大変な料理」だとか「作るのが大変だけど、七面鳥の丸焼きにも負けない達成感が感じられた」だとか書いてあります。とにかく色々作られている玉置さん認定・マロングラッセや七面鳥丸焼きと並ぶ料理だそうです!甘いけれど日本酒によく合うそうですよ。我こそはという方ぜひチャレンジを。

鮒味噌作ったことがない理由が明らかに。ちょっと意外でした。鮒寿司は楽しみですね。

みなさま、「鮒寿司漬けました」は、妄想旅ラジオのオープニングイメージで脳内再生してください。

そしてポチ子さんとのその後のやりとりで明らかになったのが……

塩辛いものが苦手ということ。実は私もそうなので大いに親近感が湧きました。ポチ子さんのお住いの名古屋は赤味噌の本場、味は濃いめが好まれると聞いていますが、そんな中で味の好みがちょっと独特ゆえ美味しいお料理を研究されるようになったのかな〜と妄想。違うって素晴らしいですね。

zuno/UdonAngyaさん、ポチ子さん、ありがとうございます!

フナ七変化(形態編)

さて、フナは食べる魚というだけでなく観賞魚である「金魚」の先祖でもあります。

金魚といえば、前から気になっていたことをぐっちーさんに聞いてみました。

これ、不思議じゃないでしょうか?

犬種による違いは実に大きく、ゴールデンレトリバーとチワワなんて、ぱっと見同じ種とはまったく思えません。一方猫の方は、ちょっと姿が違っても猫は猫というか、何なら家猫とヤマネコ(など他の小型ネコ科)だってかなり似ています。大型ネコ科すら、大きさ以外は共通点が多いですよね。この違いって?

金魚はハッキリと世代間隔が短いぶん変化はしやすそうですね。世代間隔だけでなく、遺伝子的な許容範囲の違いもあるのかどうかは謎なんでしょうか。

トリフィドさんからもコメントをいただきました。

染色体の数! 思いつきもしませんでしたが、種によって大きなバラつきがあり、しかも生物としての複雑さとは無関係と言われる要素です。そこにまだ知られざる秘密があっても不思議ではないですね。

この動画(実はまだ途中ですが)すごく面白そう。興味ある分野なので、こんな講演がyoutubeで見られるなんて嬉しい限りです。

これもまた数年後には教科書が書き換わっているようなトピックなのかもしれないですね。ウォッチしがいがあるというもの。

トリフィドさん、どうもありがとうございます!

ページトップの絵ですが、フナについて調べて何枚もの写真を見るうちにフナがとてもきれいな魚だと気づきました。いわゆるふつうの「魚」という姿をした地味な魚だと思っていたのですが、フナを観賞魚として飼いたくなった人がいたから金魚が生まれたわけで、それも納得の魅力があるなと感じました。そんなフナの七変化イメージの絵です。

そのままの銀色でも、カラフルにしてもかわいいフナ。お寿司と金魚の祖先、偉大な魚です。

では今回はこれにて。

次回のエッセイのテーマは「タヌキ」です。タヌキが実は海外では珍獣、ということを初めて知ったのは妄想旅ラジオ第45回「タヌキ」ででした。懐かしい〜という方もまだ聴いたことがない方も、ぜひ聴いて予習してみてください。次回もどうぞお楽しみに!

ご意見・ご感想・ぐっちーさんへのメッセージは、こちらのコンタクトフォームからお待ちしております。

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