小さきものの香り

こんにちは。造園係のアルブルです。

今日は、庭園内のスタッフ休憩室に飾ろうと思って持ってきたものがあるんですよ、ふふふふふ……あれ?誰か来たみたいですね。

ウオー:「お疲れ〜」

アルブル:「おや、ウオーさんでしたか、お疲れ様です」

ウオー:「あれ?アルブルくん、何その手に持ってる小さいの?」

アルブル:「よくぞ聞いてくださいました、マンネンジュの花びらで、作ったんですよ!じゃーん!!」

小さきものの香り1illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

小さきものの香り1illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

ウオー:「うわあ、小さな船だね。船も帆も花びらで作ったのか、すごいねえ。しかもいい香りだし」

アルブル:「前から気になってることがあるんですよ」

ウオー:「えっ、何?」

アルブル:「香りっていうのは、とても小さな匂い物質の粒子が鼻の粘膜に付着した時に感じるっていう話じゃないですか」

ウオー:「うん、聞いたことあるねえ、そんな話」

アルブル:「でも、僕らにとって小さな粒子でも、もっと小さな小さな人たちにとっては、匂いって、大きなボールが飛んでくるみたいなものなんでしょうか?」

ウオー:「さすがミニチュア好き、小さなもののことばっかり考えてるんだねえ。小型種族の人にでも聞いてみないとわからないけど、どうなのかな」

アルブル:「ウオーさん、一寸法師さんとお知り合いでしたよね。今度聞いてみてくださいよ」

ウオー:「いいけど、あの人も大きくなっちゃってから随分経ってるから、わかるかなあ?ねえそれよりこの船、よく見ると小さなアルブルくんみたいな人が乗ってるし、花も咲いてるんだね。よくできてるなあ」

アルブル:「はい、その小さな花もマンネンジュの花びらで作ったんです」

ウオー:「へえ〜」

アルブル:「花芯のところが苦労しましたが、総支配人におみやげにいただいた、ミニコンパスのおかげでうまくできました」

ウオー:「ミニコンパス?方角がわかると花がうまくできるの?」

アルブル:「そのコンパスじゃなくて、円を描く方のですよ。とても小さい上に、鉛筆にもカッターにも付け替えられて、小さな円をくり抜ける優れものなんです」

ウオー:「便利なものがあるんだね。ミニチュア好きのアルブルくんにぴったりのおみやげだねえ」

アルブル:「はい、しかも、ミニコンパスだけでなく、ミニミニコンパスまでいただいたんですよ!」

ウオー:「えっ?」

小さきものの香り2 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

小さきものの香り2 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

アルブル:「ミニチュアの人形に持たせると普通のコンパスくらいのサイズに見えるのがミニコンパスで、ミニコンパスくらいのサイズに見えるのがミニミニコンパスです」

ウオー:「ん!?すごく混乱してきたよ。つまり、『ミニチュア作りのためにミニコンパスを使っているアルブルくんのミニチュア』みたいなことになるの?」

アルブル:「その通りです!」

ウオー:「総支配人、休暇中は小型種族の国にでも行ってきたのかな?」

アルブル:「いいですねえ、一度行ってみたいです」


総支配人テンペストさんがどこで休暇を過ごしたのかは謎に包まれていますが、小型種族の国にも滞在したのかもしれません。

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