絵画文芸部・初の発表会の締めくくり 入門者による「文学フリマ」超入門 2

みなさまこんにちは。ホテル暴風雨・雨オーナーこと斎藤雨梟です。前回は、

真っ白に燃え尽きた? 雨オーナーによる文学フリマ東京レポート&行ってみたい・出店してみたい人に少しくらい役に立つかもしれない話

半年ほど前に始めた部活「絵画文芸部」の初の成果発表・文学フリマで真っ白に燃え尽きた話と、文学フリマ初心者による素朴な所感&文学フリマって何? という方への超入門・お客さん編を書きました。

今回は文学フリマ超入門・出店編です。

期間限定小規模出版社&一日本屋さん

前回もお伝えした通り文学フリマとは、「文学」と信じる何かを作者自身が手売りするイベント。「同人誌即売会」の一種で、有名な「コミケ」の文学版のようなイベントです。(いわゆる「同人誌」以外に商業出版された本やCDなども販売できる点など、文学フリマならではの個性はあります)

こういうイベントに行ってみると、面白い本を探して買って読むのもとても楽しいけれど、自分が出店側になるのも楽しいのでは? と感じる人も多いでしょう。私もそうでした。

出店する側から見ると文学フリマは、作家になり、期間限定の小規模な出版社になり、一日限定の本屋さんになれるイベントです。それは是非出てみたいけれどできるかな? まず何をすればいい? と考え始めた時に必要な情報は、文学フリマ公式「出店のご案内」に詳しく書いてありますが、ここにはない超初心者向けの情報を今日は書きます。

文学フリマに出店するなら

(0) どの文学フリマに出るか決めて申し込もう 旅がてらも面白そう

公式ページによると、文学フリマ出店理由のアンケート結果の中に、「開催場所」と関連の深いものが三つありました。

*観光を兼ねて

*帰省を兼ねて

*近所だから、近くだから

というものです。私は東京在住なので、「東京で開催されるから」という理由も大きく、いきなり遠征するのはハードルが高かったと思います。ですが、出店のあれこれが初めてなのはどこへ行っても同じこと。そして、文学フリマはメインの売り物である「本」以外にそれほど荷物が要らないのも特徴です。看板・ポスター・什器などに凝りまくらなくても最低限本があればお店はできるので、「観光旅行がてら、見るだけでなくイベントに出よう」というテンションでも参加できるな、と後で思いました。

ちなみに2020年の文学フリマ開催地は京都、広島、前橋、東京、岩手、札幌、福岡 が決定しています。

こちらの文学フリマエントリーページからまずはユーザー登録した後、「マイページ」から申し込めます。

代表者の住所氏名、出店名やお店の紹介、出店ジャンルやブース数を選んで申し込みます。申し込み完了後、知り合いのお店などと「隣接配置」を希望申請することもできます。

参加費は開催地ごとに違いますが、1ブース(長机の半分)、椅子1脚で4000円〜6000円で、椅子は1ブース最大2脚、ブースは一つのお店で2ブースまで申し込めます。机と椅子以外のものは自分で持ち込みます。参加費以外には、本が売れた場合の手数料などはかかりません。

(1)本の部数について

どれくらいの部数の本を持っていけばいいか、は悩むところです。「何部刷るか」は印刷所を選ぶときにも大事です。数多いブースが並ぶイベントなので、いきなり飛ぶように売れるというわけにはいきません。友達が100人来てくれて全員買ってくれそうという場合以外、「初出店ならば一種類の本を20部も持っていけば十分」と聞き、実際行ってみてまあそんなものかなと思いました。宣伝方法(事前宣伝を徹底したり、店構えを目立たせる)や本の内容(広く好まれるものか、マニアックなものか)、価格などにもよります。「完売」の方が気分がいいか、欲しい人がいるのに在庫なしは申し訳ないと思うかも考え方次第。売れ残っても次回以降出店し続けるならまたチャンスがありますが、自宅の収納スペースの余裕なども重要ですし正解はありません。20部前後を目安に、よく考えるべし!

(2)本を作ろう その1 原稿を書いた後、手作りか印刷屋さんに頼むか?

これが一番大事なところで、発表したいものがあるから参加するのではないでしょうか。

もちろん「参加したいから何か作ろう!」もありです。その中間といいますか、「発表したいものはある」でも「本などの形になっていない」という人や、我々絵画文芸部のように「これから作る予定だが発表する場所として文学フリマはどうかな?」と検討している人も多いのではないでしょうか。

まずは原稿を書く。ここはクリアしたとして、次の「本作り」についてです。

すでに本がある人以外、「本をどう作ろう」は大きな課題です。コミック系のイベントと違うところは、漫画を描く人は表紙なども自分で手がけて「こんな本にしたい」というイメージが比較的明確にあるのに比べ、文章を書こうという人は「原稿書くのはいいけど、本を作るって何をどうすれば?」に困難を感じる点ではないか、と私は勝手に予想します(私自身、絵は描きますがデザインは苦手分野でハードルが高かったです)。

方法として、印刷屋さんに頼むか頼まないかで二つに大きく分けられます。

印刷に出さない方法には、対極的な二つの傾向があるかと思います。

一つは「本の中身が大事。体裁は問わない。大量には作らないし、費用もむやみにかけたくない、自分でやりたい」というケースで、ワープロソフトなどで書いた原稿をプリントアウトして、コピーして、ホッチキスや、ノリと製本テープで閉じるという古式ゆかしい手段があります。何だかんだと自分の手元で微調整がきくというメリットがあり、良い方法だと思います。

もう一つは「手製本で、大量生産不可能なこだわりの美本を作りたい」というケース。布張りにするとか、手書き原稿やプリントした写真や版画を直接綴じるだとか、自分の技術とアイディアで一点もののこだわりの本、本屋さんにはない本(物理的な意味で)を作りたい、という人にとって「文学フリマ」は良い発表の場です。

文学フリマ会場にはどちらの系統の本もありました。コピー本というのも作り手の個性が出るものですし、手製本の中には可愛い「豆本」などもあり、見ていてとても楽しいです。

とはいえ、文学フリマの出ているのは印刷屋さんの作った本が大半。上記の二系統の中間に分類できるあらゆる本があります。

「小部数だしコピーして綴じようかな?」と考えている場合でも、ページ数によってかなり手間がかかり、コピー代も高額になります。今は小部数でもオンデマンド印刷でかなりきれいに、安く印刷してくれるところがあるので、調べて費用と手間を比較してみることをお勧めします。印刷屋さんに入稿するのに特別な知識が必要では? と心配な方も多いでしょうが、ワープロソフト「word」や「一太郎」で作って入稿できるところや、好きなソフトで作って「pdf」というファイル形式にして入稿できるところも多いです。

一方、「本としての体裁にこだわりたい」という場合も、自分で印刷のデータを作ればデザインの点では思い通りの本になりますし、素材や製本の方法も、表紙や本文の紙を選ぶ、箔押しなどの特殊加工をする、遊び紙を入れる、などのオプションを数多く用意している印刷所もあります。

でも初めてだとどこにどう頼んでいいかというのが悩みどころ。次項目ではそのことを。

(3)本を作ろう その2 印刷するとして、印刷所探し

あえて具体的な会社名などは出しません。自分の用途にあった印刷会社をどう探すか? を経験に基づいて書きます。

文学フリマに行く

どこの印刷屋さんに頼んだら良さそうか、確実に知る方法は「文学フリマ」に行ってみて、手に取ったり気に入って買った本の印刷所を調べることです。本の奥付に「印刷:〇〇印刷」と明記してある本も多いです。書いていなくても、きれいな本だなあと思ったら売っている人に聞いてみれば答えてもらえるでしょう。

また、文学フリマなどの本の即売会に行くと、印刷会社もブースを構えていたり、スポンサーになっていたり、チラシを配っていたりしますので、それも大いに参考になります。

検索して探す

文学フリマに出店するならば一度はお客さんとして行ってみるのがおすすめですが、直近のチャンスにすかさず出したい、行ったことはあるが印刷情報とか注意していなかったし買った本にも書いていなかった、という場合、ネット検索も頼りになります。目的に応じて検索しましょう。

初心者でデザインに自信がない、ワープロソフトは使えるけれど Illustrator や In design は無理、という場合

「同人誌印刷 小説 word入稿」などのキーワードで

とにかく安くあげたければ「安い」を追加

自分でデザインしなくてもテンプレートを用意してくれるなどのサービスを探したいなら「初心者」「簡単」を追加

ちなみに文字中心の本の場合「小説」という検索ワードで適したプランが探しやすいようです。(内容が詩歌やノンフィクション、評論だとしても)

本の仕様や納期、料金はホームページを見れば書いてあります(納期がタイトなほど料金が高くなるのが普通です。なるべく早めに調べ、早めの入稿を!)。紙の種類など書いてあってもピンとこなければ、見本を送ってくれるところもあります。

「小説本にオススメ」「同人誌にオススメ」印刷所のまとめサイトや、実際本を作ってみた個人のブログでのレビューも数多いので参考になります。

むしろ絵が中心でページ数が少ないという場合、フォトブックという方法もある

我々「絵画文芸部」の本は、イラストレーター兼デザイナーの松沢タカコさんという心強いメンバーがいたため、デザインは松沢さんにお願いしました。ズルイぞ! という声が飛んで来そうですが、いや〜「絵画文芸部」をはじめた時は、デザイン誰もやらない場合自分でやるしかないと思っていたのです、助かった。おかげで本当に素晴らしい装幀の本に仕上がりました。

自慢はさておき、1グループにひとり松沢さんがいるというわけでもないから困ります。私自身も、個人で作った本も出し、こちらはやむなく自分でデザインです。こちらの2冊。

こちらは、直感的に作業できた方がまだマシになるだろうと考え、「フォトブック」のサービスを利用しました。本来自分で撮った写真を本の形にしてくれるサービスで、表紙のデザインやタイトルの入る場所、タイトルの文字数などに制限がある場合も多いです。画質や紙質にこだわったものから、手軽で安価なものまでたくさんのサービスがあります。「こだわりの写真集を作りたい」場合以外、安価なものでもかなりきれいで満足できるかと思います。上の2冊もそれぞれ違ったリーズナブルなプランのものですが、デザインはさておき印刷には概ね満足しています。

私の利用したところはいずれも、jpeg形式の画像であれば何でも入稿できるので、画像ソフトで文字も含めてページごとにjpeg画像として保存してそれを使いました。本文のレイアウトは、1ページにいくつかの写真を入れるか、1ページ全部を使って1枚入れるかを選べました。全て「1ページ1枚」を選択し、そこに自分で好きなように作った画像を1枚ずつ配置しました。

フォトブックのサービスはいわゆる「本の印刷」と違い、はじめから少部数、初心者向けを前提としているので、ブラウザでプレビューしながら入稿できたり、スマートフォンのアプリで入稿できたりするのも特徴です。文字だけの本にはまったく向いていませんが、旅行記やレシピ集を作るのに利用する人は多いようです。絵本やイラストと文章の本などを作りたい場合、検討する価値があります。

「フォトブック イラスト集」や「フォトブック 文字の本」 「フォトブック ソフトカバー」などで探しました。

(4)宣伝しよう

文学フリマの情報収集はTwitterでしている人が多いようです。Twitterで#文学フリマ などのハッシュタグをつけて宣伝したり、「マイページ」から編集できる「webカタログ」に本の情報を書いたり、ブログに書いたりしてなるべく事前に宣伝すべし!ブース番号がわからないと広い会場でお店にたどり着けないので、自分の店名とブース番号も明記して宣伝しましょう。

(5)当日の設営など

10時搬入開始、11時一般開場ですが、10時前に行くとすでに出店者の長蛇の列ができていました。どうせ10時までは入れないのになぜ早く行って並ぶのか? それは10時に扉を開けるけれど中に入るのは列に並んだ順だからです。設営・準備に時間がかかりそうな人は、早めに行って並んだ方がいいです。

机のスペースは「第29回文学フリマ東京」の場合90センチかける45センチ。会議用などの長机の半分で、そのまま使うもよし、上に布などを敷くのもよし。けっこう小さなスペースですので、本がたくさんある場合、レイアウトをしっかり考えて行った方が良いです(考えて行っても、現地で四苦八苦しました)

こんな感じのお店になりました:

初めての参加で本が新刊一冊だけという場合、その本を目立たせる工夫を。
見本をイーゼルなどで立てておく、キャッチコピーなどを書いたパネルを作って置く、など立体的なレイアウトは効果的だと思います。

盲点だったのは、せっかくブース番号と店名で宣伝したというのに、お店にそれを何も書いていなかったことです。後からA4の紙に書き、机の前に貼りました。特に店名、それにブース番号を知らせるサインはどこかに置いた方が良いと思います。

本以外に本やお店の紹介や名刺など、配布物もあると立ち寄って手にとってもらいやすいようで、次回はチラシかフリーペーパーを用意したいです。

事前の準備で大事なものとしては十分なお釣り銭! また、特にグループで参加したり複数本がある場合、どれが何冊売れたかの売上管理も必要です(私たちは、本にタイトルと価格を書いた細長い紙を挟み、売れた場合それを回収するという方法をとりました)

設営に慣れず、人数が多かったのでお隣のブースの前に立ってしまったりはみ出したりしがちだったのは反省点です。ご近所のブースの皆さん、すみませんでした……。

設営が終わって開場した後も、ブースが狭く足元における荷物にも限りがあるので、手荷物をなるべくコンパクトにした方がいいです。私は大きめのリュックに本を詰め込んで背負って行きましたが、リュックは不定形で足元に置くと安定しません。在庫などを足元に整理して置いておくことを考えると、段ボール箱に詰めてカートで持って行く方が賢かったかも? と後で思いました。

(6)細かな注意点

雨が降っても傘は自分で持っていなくてはいけません。濡れた傘と本の相性は最悪。大きなビニール袋を持っていき、濡れた傘を閉じ込めて足元に置いておくと良いと思います。

昼食は「文学フリマ東京」の場合、至近の駅前に立ち食いそば店、同じビルにコンビニとコーヒー店、同じフロアに飲食店街(ただし日曜だったせいか空いているのは1店のみ)、会場内でカレー弁当の販売(美味しくボリューム満点)などがありました。ブースでお店番をしながら食べている人も多く、お店の混雑を考えるとそれが良い方法かもしれません(手を拭くウェットティッシュはあると便利)。

あと、お客さん編にも書きましたが再三、「文学フリマ東京」の場合、浜松町から「流通センター」に止まらない快速などに乗らないようにくれぐれも注意です……

以上、「文学フリマ」初出店の素朴すぎる所感その2でした。

本を作る時やお店の設営や準備などの事務的なことを主に書きました。当日の来場者や他のお店の人との交流などももちろん文学フリマの楽しみですが、それはどのみち行ってみないとわからないことなので省略。ぜひぜひ、お客さんとして、出店者として、行ってみてください。ここまでおつきあい、ありがとうございます。ぜひ今度は、文学フリマでお会いしましょう!


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