絵画文芸部・初の発表会の締めくくり 入門者による「文学フリマ」超入門 1

終わった……。

何かと言いますと、去る2019年11月24日に開催された「第29回文学フリマ東京」の話です。

前回お伝えしたように、ホテル暴風雨長期滞在中の、絵を描き文章も書くみなさんと「絵画文芸部」を結成し、半年ほどの間、原稿を書き、お互いに読み合ってチェックし、カラーイラストも描き、本を作り……と、準備をしてきました。

出来上がった本がこちら、「エブン共和国 幻惑のグルメ読本」

この本を「文学フリマ」に出して、来てくれた人に読んでもらおう! というのが、部の初めての活動として目指したことです。

5人中4人が文学フリマ初参加、それどころか本の即売会の類に出るのも初めてという不慣れぶり。設営するのも大騒ぎでしたが、どうにか時間までに開店させ、「ホテル暴風雨」のことをまったく知らない方にも手に取って買ってもらい、初めてにしては健闘したし楽しかったです。ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました!

ところで、文学フリマって何だ?

と、読みながら思った方もいらっしゃることでしょう。

文学フリマとは、東京だけでなく全国各地で開催されている、「本を作って、作った人が売る」スタイルの、入場無料の展示即売会です。

文学フリマの「場」には一般商業流通には乗らない作品がたくさん集まります。
自費出版の書籍、ホチキスで綴じたコピー誌、手製本の書籍、CDや電子書籍、Tシャツ、豆本、その他……。
本屋さんでも通販でも出会えない、さまざまな形の〈文学〉が一堂に会し、販売・配布されます。(文学フリマ公式サイト「文学フリマとは?」より引用)

本の種類も様々ならば、ジャンルも様々。出店者も、プロもアマチュアも入り乱れ、個人出店もあれば出版社のブースもあり、年齢層もかなり幅広いという多様さも魅力。

「何それ面白そう」「行ってみたい」「出てみたい」と思った方のために、前回の文学フリマで初めてお客として行き、今回初めて出店した超初心者だからこその「文学フリマってこんな感じだった」「今度の時はこうしよう」という素朴で個人的な所感をお伝えします。今回は、「お客さん編」です。

文学フリマに遊びに行くなら

前の日までの準備

(0)事前情報をチェック

Twitterと文学フリマ公式の「webカタログ」が便利です。

Twitterでは、#文学フリマ #文フリ、そして例えば東京ならば #文学フリマ東京 #文フリ東京 などのハッシュタグがよく使われています。これらのハッシュタグで検索して、気になる本があったら本のタイトル、お店の名前、ブース番号を控えておきましょう。

文学フリマwebカタログ はとても情報量が多いですが、キーワード検索などもできます。出店名がうろ覚え、ブース番号を忘れた、などの時に便利です。

当日

(1)歩きやすい靴を履いていこう

今回は出店者が史上最多で1200ブース。会場は広いので一周するだけでかなりの歩行量です。「どの本を買うか決めるにも、先にどんな感じか全体を把握したい」という人はなおさら、何周もすることになります。本を買えば荷物が増えます。足の疲れを少しでも軽減すべし!

(2)袋を持っていこう

買った本を入れる袋は店側で用意しないのが普通です。トートバッグや厚手のしっかりしたエコバッグなど、本を入れられる袋を持って行くべし!

(3)千円札を用意しよう

店側もお釣りは用意していますが限度もありますので、念のため一万円札は出さなくて済むような用意を!

(4)カタログを活用しよう

入り口で出店者一覧や会場地図が載っているカタログ(冊子)を配っています。それをもらって活用した方が効率よく回れます。カタログを見ただけではどんなお店か、どんな本があるのかが十分分かるわけではありません。ですが、見本誌コーナーやブースで見てちょっと気になった本やお店は、地図に印をつけたりメモを書いたりしておくと、一度は通り過ぎても後で戻るのに一目でわかり、売り切れなどで買いそびれてしまっても情報が残るので次の文学フリマで機会を伺ったりできます。

(5)早めにいこう

人気のあるお店の本は早く売り切れてしまいます。ですが、どういうお店が人気なのか、自分の好みの本は早めに行かないと買えないか、などは行ってみないとわからないのも事実。そんなに焦って開場と同時に行くこともないのでは?と思いました。

ですが遅すぎるよりは早い方がいいです。遅いと完売などで撤収してしまうお店も増えます。
また(4)で書いた「印刷カタログ」と呼ばれる冊子は無料で配布されますが、当然ながらなくなると配布終了です。

5時までやっていますが、3時くらいまでには行った方が楽しめます。本が好きな人ならば、朝から行っても1日楽しめること請け合いです。

(6)見本誌コーナーを活用しよう

ブースの並ぶ本会場の他、同じフロアの別の部屋に「見本誌コーナー」があり、机の上に各店の本だけが並べられています。本会場よりは狭いのでゆっくりじっくり本だけを手にとって見ることができます。ここでいいなと思う本を見つけて(そしてカタログの地図に印をつけてメモしたりして)本会場に行くとスムーズ。

とはいえ、見本誌だけでもかなりの数なので全部端から見ていると情報量の多さにクラクラしてくることでしょう。また、各店が出せる見本誌は3冊までですので、本会場には見本誌コーナーにない本もあるというのがポイント。一日中いる人以外は、ざっと見て気になる本をピックアップし、本会場でもう一度見るくらいが適切かと思います。

(7)いざ本会場!

見本誌コーナーになかった本、見たつもりで見落としていた本などが山ほどあること請け合いですので改めて見るべし。ほとんどのお店に閲覧用の見本が置いてあり、他のお客さんをひどく邪魔したり本を荒っぽく扱わない限り立ち読みが嫌がられることはありません。手にとってゆっくり見て、聞いてみたいことがあったら話しかけてみるのもいいと思います。

出店者全体に、ぐいぐい押して営業してくるタイプの人よりも、「見本だけでも見て行ってください」と軽く声をかける程度、または会釈程度の静かな人が多い印象。お客さんの方も、その道のマニアが狩に来たというよりはゆるくて和やかな雰囲気。本を手に取って黙々と読み選びたい人も、本の作り手・売り手と積極的に話して交流したい人もどちらも受容され、歓迎されるので好きなように楽しめます。私は、気になることがあれば自分から話しかけ、向こうから話しかけてくれるお店の人とはお話もしましたが、後半だんだん疲れてくるのでただ本を吟味してエネルギーを節約したい気分になったりもしました。出店側もそれは恐らくわかっているので、気楽に楽しむのがいいと思います。

(8)その他

会場にはお弁当や飲み物を売っているお店も出ていました。「ターリー屋」のカレー弁当やサモサ、「クルミドコーヒー」の水出しコーヒーなどの飲み物で、どちらも美味しかったです。食べるための椅子や机も用意されています(お昼時などはなかなか場所が空かないですが)。

(9)うっかり屋さんのための注意

東京の文学フリマに限った話です。

会場のある東京モノレール「流通センター駅」に行くには、多くの人が浜松町駅からモノレールに乗ることと思います。その時「各駅停車」「空港快速」などの種類によって止まる駅が違うので注意しましょう。私はぼんやりしていて適当に乗ったら、「空港快速」で、「流通センター」を飛ばして羽田空港まで行ってしまいました。みなさまもお気をつけを。

以上、個人的すぎる所感・お客さん編でした。

次は出店者編を書きます!


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