将棋ストーリー「王の腹から銀を打て」第29回 by 風木一人
夏休みには学校がない。当たり前だ。しかし、だからといって将棋ばかりやっていられるかといえば、そんなことはない。 みんなそれぞれ用がある。ト...
心しか泊まれないホテルへようこそ
夏休みには学校がない。当たり前だ。しかし、だからといって将棋ばかりやっていられるかといえば、そんなことはない。 みんなそれぞれ用がある。ト...
一学期が終わった。アサ子の成績は少し落ちた。落ちたといっても悪くはない。トモアキやジュンが持って帰ったなら、家でパーティーが開かれるくらいの...
梅雨に入ってからはジュンが将棋をできる日曜日が多い。ジュンがいるときといないときでは明らかに少しふんいきが違う。 将棋にカントクはいないよ...
昼食のあと、アサ子は部屋にひっこんで机に向かった。勉強するのではなく、ほおづえをついて窓の外の雨を見た。 一時から西公民館で同好会があるの...
梅雨入りして二週間がすぎた。いよいよ本番だぞとばかり、雨の日が続いている。 このところアサ子はゆううつだった。雨のせいではない。思うように...
ノートには「手合い割り表」と書いてある。 1級差 先 2級差 香落ち 3級差 角落ち 4級差 飛車落ち 5級差 飛車香...
トモアキたちは学校での将棋クラブ、西公民館での将棋同好会と区別して、カズオのうちで集まるのを将棋研究会と呼ぶことにした。将棋のプロ棋士が何人...
「ちゃんとした手にはぜんぶ意味があるんだよ。ねらいと言ってもいい。敵のコマをとろうとか、自分のコマがとられないようにしようとか、ね。 おた...
お願いします、と礼をして、また将棋を指した。組み合わせは同じ、トモアキ対カズオ、アサ子対トオルだ。 初心者はあまり考えないのでそれほど時間...
それからシュウイチは将棋を指すときに守らなきゃいけないものが二つあるという話をした。 ルールとマナーだ。 「ルールを守る。これは当た...