アートディレクター長友啓典さんをお迎えした社長インタビュー、とうとう最終回となりました。大阪、天王寺生まれの長友社長に子どものころのことをうかがいます。
子どものころのことなど
仕事を離れて、子どものころのことをうかがわせてください。
「ぼくの小学生時代って、終戦直後ですよ。焼け跡ばっかりやからね。あのころ何になりたかったかなぁ? ああ、機関車の運転士。
家が天王寺でね、ターミナル駅やから蒸気機関車、ディーゼル、いろんなの入ってくるのを橋の上から見てるのが好きだった。
ニハなんとか、とかあるでしょう? 貨車の名前、記号みたいの覚えたりね。今でいう鉄ちゃん。鉄道のことは何でも好きでよう覚えてた。
車掌さんもなりたかった。全国をただで回れると思ってたから(笑)。大阪人らしい発想やね。
当時はカメラなんて一家に一台あるかないかの時代。兄貴が写真好きでね、押し入れに暗室作ったりしてた。
ぼくは撮るのはそんな凝らなかったけれど、シャッター音はなぜか好きだったですね。カシャっていう。ライカが最高。だから今のデジタルカメラは情けないくらい。
貨車とカシャッ、やね(笑)」
「近くに映画館があったから、映画はしょっちゅう見てました。洋画はほとんどなくて、エノケンなんかの時代。斎藤寅次郎って喜劇の監督がいて好きだったなあ。
今はWOWOWで、小山薫堂さんと「W座からの招待状」いうのやってます。月に5本、仕事で見なあかん思うと大変やけど、小山さんと話のキャッチボールするのはとても楽しいです。毎週日曜、夜9時、ぜひご覧ください」
最後に当インタビュ―恒例の質問です。お好きなホテルを教えてください。
「ミラノのフォーシーズンズ。調度品とか雰囲気が素晴らしい。ファサードから部屋までの動線が、複雑なのにすうーっと行けてしまう。凄いな、と思いました。だいぶ前に行ったのに、いまだに覚えてる。一番感激したホテルです」
Four Seasons Hotel Milano
長友社長、長時間どうもありがとうございました!
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長友 啓典(ながとも けいすけ) アートディレクター
1939年大阪生まれ。61年 桑澤デザイン研究所卒業。同年、日本デザインセンター入社。69年 黒田征太郎とK2設立。講談社出版文化賞【ブックデザイン賞】など各種賞を受賞。2014年絵本「青のない国」(小さい書房)を風木一人氏、松昭教氏共著で出版するなどエディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、雑誌にエッセイを連載など幅広く活動し現在に至る。
デザイン会社K2