第184話 「ため息 3 etudes de concert」ネタバレ解説

アックス第165号(青林工藝舎)に、私の漫画「ため息 3 etudes de concert」が載りました!令和7年7月に連続7回目の掲載をお知らせができるという奇跡的なラッキーに浮かれつつ、今回もネタバレ解説をお届けします。

この作品は、リスト作曲「演奏会のための3つの練習曲 ため息」をイメージしながら描きました。

去年、久しぶりにアックス159号に載った「Nocturne Op.9 No.2」は、この世のおじいさんとあの世のおばあさんがピアノを介して再会する、ピアノが仏壇のような役割を担う物語でした。

20年ぶりにアックスに漫画が載りました!もう嬉しすぎて、自分で作品解説しちゃいます。最新号アックス159号、どうぞよろしくお願いします。

今回もピアノ仏壇シリーズですが、今度はこの世のおばあさんが、あの世のおじいさんと繋がる話です。

たとえば、おばあさんのため息がおじいさんの雲になり……

涙が雨になり……

おばあさんが眠るとおじいさんも眠くなり……

さらにおじいさんはイビキをかき……

突然ですが

catch some Z’s

これはなんと訳すでしょう?

直訳すると「いくつかのゼットを捕まえろ」ですが、正解は「少し寝る」だそうです。

昔から、蝶は故人の魂を運ぶと信じられています。

つまり、眠ると故人の魂が宿る蝶を捕まえることご出来る!!……なんて、こじつけてみたりして。

このページに記されている文字は、「ため息」の楽譜に記された音楽用語で、このような意味です。

armonioso 協和的に

poco a poco 少しずつ

rallentand だんだん遅く

piulento より遅く

おばあさんがゆっくりと目覚めて、夢の余韻と現実の狭間を彷徨っている感じが伝わると良いなぁ……

アックス第165号は大越孝太郎先生の「天国に結ぶ戀 新装版」発売記念特集です。新装版は加筆修正増ページもございます。二冊合わせてぜひご堪能ください。

自費出版物やアーティストの限定グッズなどを紹介ています
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(津川聡子 作)


*編集後記*   by ホテル暴風雨オーナー雨こと 斎藤雨梟

津川聡子作「やっとこ!サトコ なう」「第184話 「ため息 3 etudes de concert」ネタバレ解説」いかがでしたでしょうか。「演奏会のための3つの練習曲 ため息」、私は中盤の盛り上がりよりも出だしのところが、妙にノスタルジックでうっかり涙が出そうになることがあるけれど何だろう? と思ったことがあるのですが、この漫画で謎が解けました。あの気だるく懐かしい霧のような部分こそがおばあさんのため息のはじまりだったのですね。リスト先生の隠した物語は、サトコさんの漫画に描かれるのを待っていたに違いありません。昼寝のZZZも蝶になる素敵な世界「アックス第165号」発売中、みなさまぜひ書店へ!

「やっとこ! サトコ なう」へのご感想・作者へのメッセージは、こちらからどしどしお待ちしております。次回もどうぞお楽しみに♪

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