深海をゆく、孤深のひと

ウルミ

こんにちは。フロントのウルミです。私は、趣味と言ってもお散歩するくらいなので、他の皆さんと比べるとちょっと地味かもしれません。以前は歩いているうちにどんどん高いところへ行きたくなって、趣味は「登山」ということにしていました。でも、近頃海中階にお泊りのお客様が噂でお聞きになった通り、当ホテルは特殊な地理条件のもとにあるもので、近くに山がないことも多いのです。それでいつからか、お散歩も陸の上を歩くより、海に潜る海中散歩をするようになりました。

登山もそうですが、遠くに行くにはそれなりの装備が必要です。海中の場合も、素潜りではすぐに限界が来てしまいました。それでスキューバダイビングを始めたのですが、もっと深く潜りたくなってきて、最近は潜水艇を造ろうと思っています。といっても、潜水艇の造り方なんてもちろん全然わからないので、チヨさんや、ツボミさん、ハナさんにいろいろ教えてもらいながら設計しているところです。

「深海をゆく、孤深のひと」illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

「深海をゆく、孤深のひと」illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

深海に潜ってマッコウクジラさんやダイオウイカさんに会えるといいなあと、とっても楽しみです。ホテルの海中階の最深部もけっこう深いのですが、潜水艇で自由に動き回ってみたいですからね。

そんなことを話していたら、ベルのメアオさんやメグロさんが「『海底二万マイル』だ、『孤高の人』だ、かっこいい!」と言い出して話が盛り上がりました。『孤高の人』は海底の話ではなくて、単独行のスタイルを好んだ登山家のお話だそうですね。聞いていた同じフロントのメエサクさんが「海底だから孤高じゃなくて孤低の人では」とぼそっと言ったんです。始めは「湖底?何!?」と意味がわかりませんでした。メエサクさんはとても口数が少なく物静かなんですが、狙い澄ましたようによくわからないことを言うので、実はみんなひそかに楽しみにしているんですよ。みなさまもぜひ、注目してみてくださいね。目立つのが嫌いなので、注目しているのがばれると何も言わなくなってしまうので、なるべくさりげなくお願いしますね!

その後、メアオさんが「『孤低』より『孤深』のほうがかっこいいよ」と言ったのにみんな納得していました。みなさまはどう思われますか?私は、「孤低」でも「孤深」でも……どっちでもいいですね。実は、思いついた時に散歩に出てしまうだけで、一人で行くことにこだわりはないのですが、二人以上乗れる潜水艇を自分で造るのは大変そうなのでやっぱり単独行でしょうか。でもホテルとしては、「遊覧潜水艇」を造る計画が最近持ち上がっているみたいなので、どうぞお楽しみに!私もとても楽しみです。ウルミでした。


前回に引き続き、おまけの読書ガイド(Amaozonへリンクします)

ウルミさんのような深海ガール、もちろん深海ボーイも必携
「海底二万里〈上〉」 「海底二万里〈下〉」 (ジュール・ヴェルヌ著 村松潔訳)
いろいろなバージョンがある中、新潮文庫版をご紹介したのは、上下巻の表紙をつなげると一枚の絵になっているのが面白いからです。

ちなみにこの潜水艦「ノーチラス号」のノーチラスとはオウムガイのことだそうです。

登山家、加藤文太郎をモデルに書かれた
「孤高の人〈上〉」「孤高の人〈下〉」  (新田次郎著)
こちらの上下巻は、同じ山の夏の姿と冬の姿がそれぞれ表紙になっています。ご興味ある方はご覧あれ!


海中階のお客様が聞いた怪しい噂、そしてウルミさんとの初対面はこちらをご覧ください

episode 5「或る男(1)」
何やらまた謎めいた客人が、はるばる遠くからやってきたようです。彼の来訪の目的は!?そして通された部屋には何か因縁が?

「ホテル暴風雨の日々」次回もどうぞお楽しみに!暴風雨ロゴ黒*背景白

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