
心を紡いで言葉にすれば 第14回:違いの分かる男
大日向峰歩 作・エッセイ『心を紡いで言葉にすれば』第14回。親の介護における、息子と娘の現状認識の違いや格差について、家父長制と正常性バイアスから考察してみます。
大日向峰歩 作・エッセイ『心を紡いで言葉にすれば』第14回。親の介護における、息子と娘の現状認識の違いや格差について、家父長制と正常性バイアスから考察してみます。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第七話。認知症になった「私」のその後について、先へ先へと進む姉と立ち止まったまま動こうとしない弟。親の老いという面倒に直面した時、逃げようとするきょうだいは障壁だ。だが、結局逃げるくせに中途半端に手を出すきょうだいは害悪だ。母の介護をめぐる、姉と弟の攻防は果たして決着するのでしょうか。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第六話。現実を理解せず退院をせがむ「私」と面倒だからと後先考えず退院させる弟。ままならない介護は続きます。きょうだいが同じ方向を向いてさえいれば、まだましなのかもしれない。親の認知症を受け止め前に進もうとする姉と、その事実を拒否し、親の役を下ろそうとさせない弟の攻防は続きます。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第五話。たとえ骨折の理由や事実を覚えていなくても、痛みがあれば、その身に何かが起こっていると推測する。そう思う「わたし」の考えは認知症の「私」には通用しない。介護は、相手が自分と違うということを知ること、そして男きょうだいの的外れな関与を止めることで、初めてうまくいくのかもしれません。
大日向峰歩 作・エッセイ『心を紡いで言葉にすれば』第13回。間もなく迎える新年。お正月といえばの「だるま落とし」から連想される人間の欲求を階層性を説明し、料理におけるゴボウのように、縁の下の力持ち的な存在の尊さを考えます。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第四話。介護において、ただ親のためだけではなく、親と子の双方にとって最も良い方法を模索する子。自身を最優先しない子に抵抗する親。そしてノイズを出す親戚。こうしたことは、何が正解なのかわからないまま、無理に正解を出そうとする、初期の介護あるあるなのかもしれません。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第三話。認知症の物盗られ妄想に困惑する「わたし」。呆けてしまった「私」の生活の質と安全を守るためには? 幼少期の「わたし」と「私」の関係性が少しずつ明らかになる中、「わたし」は模索します。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第二話。「私」にとっての大切なもの ― 通帳紛失騒動。もはや日常と化したそのやりとりも、その対処の仕方も、遠距離介護ではままならないことばかり。「わたし」の困惑と「私」の苛立ちは、澱のように、お互いの心にたまっていきます。
大日向峰歩 作・小説『刺繍』第一話。濃い霧が立ち込める記憶の森を彷徨う「私」と、認知症の母の介護というトンネルの入り口に立つ「わたし」。このトンネルを潜り終えた時、何かが起こる!? 私とわたし。一人称の二人が交差する母娘の物語が始まります。
大日向峰歩 作・エッセイ『心を紡いで言葉にすれば』第12回。人のこころに根付く攻撃への衝動とその対処方法としての鍵付き日記の有効活用法を精神分析学的に解説するとともに、人間の記憶と存在の不確かさを考えます。