このエピソードに関し、雪竇和尚は次のようなポエムを詠みました。
「気ままなジイサンには申し訳ないが、ここはひとつドーンとやってみようじゃないか!
ところで、優秀な参謀殿や勇敢な将軍様はどこにおられるのかな?・・・
余計なことさえしなければ、きれいサッパリそよ風が吹く。
気ままなジイサン、今日もゴキゲン。」
冒頭のエピソードでは「立てる」「立てない」の二軸があったハズですが、どうやらここでは片方を捨てることで逆にバランスを取ろうとしたようですね。
彼は「ドーンとやってみようじゃないか!」と言ったり、棒を振りかざして「国家の興亡と運命を共にするヤツがおるなら出てこいや!!」と言ったりしていますが、これはつまり、「オマエらの中に参謀殿や将軍様が務まるヤツはおらんのかいな?」と煽っているんですよね。
なんともまぁ、人をくった話ではありませんか。(苦笑)
しかし、言わせていただくなら、いくらここで「出てこいや!」などと吼えてみたって実際のところこの広大な大地にはもとから人影ひとつありゃしないのですから、当然にして誰かと出会うハズなどないのです。
それじゃあまりにも孤独で寂し過ぎるんじゃないか、ですって?
もしもこの「広大な大地」で「誰か」と出会うようなことがあったら、私なら直ちに穴を掘って埋めちまいますな。(笑)
雪竇和尚も「きれいサッパリそよ風が吹く」なんてキザなこと言っちゃってますが、無数に溜まった地上の塵は、いったいどうするつもりなんでしょうね?・・・
<塵ひとつ 完>
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