
別訳【夢中問答集】第七十六問 禅宗とそれ以外の宗派の主張の違いは何? 2/4話
昔の師匠は言ったよ。「『達磨大師が中国に来て、人々のために何か特別なことを伝えた』というのは間違いだ。彼は『オマエが必死に求めまわっているも...
東西の古典を、きわめて平易な現代語に訳出する試みです。 意によって大幅に構成を改編し、読みやすくするために潤色を施しています。
室町時代のディアロゴスの軌跡が、七百年後の今に甦る!
時の副将軍である足利直義(尊氏の弟)と鎌倉仏教興隆の立役者である夢窓国師の間で交わされた問答の記録を、読みやすい現代語で再構築してご紹介。
著者:文野潤也
昔の師匠は言ったよ。「『達磨大師が中国に来て、人々のために何か特別なことを伝えた』というのは間違いだ。彼は『オマエが必死に求めまわっているも...
足利直義:「究極の悟りの世界」について、華厳経が主張する「『仏』もいなければ『衆生』もいない」という説は、禅宗が主張する「衆生と仏が分離する...
像法決疑経には「如来は、存在しないし、存在しなかったこともない。生まれなかったし、死んだこともない。直接見ることはできないし、見えなくもない...
足利直義:「修行者の理解度にバラツキがあるから説明の仕方も変わる」、というのはよくわかります。 では、なぜ人々の理解度、というか学習能...
足利直義:なるほど…… ところでテキストを重視する宗派においては「大・小、真実・方便を区別して扱う」のだそうですが、これはなぜでしょう...
足利直義:お、和尚さま、落ち着いてください。ヒートアップし過ぎですよ! 悟れていない人が世界を見たときには縁生、つまりみせかけだけのマ...
「あらゆるものごとの本質」には二種類あってな、この性徳における「識」というヤツこそが「真の心」であって、それ以外の要素は全て「みせかけだけの...
足利直義:悟った人とそうでない人が見ている世界は、いったいどのように異なるのでしょうか? 夢窓国師:禅宗は真実そのものをズバリと提示す...
足利直義:なるほど…… 話は変わりますが、お経には「あらゆるものごとの本質は、みせかけだけのマボロシなのだ!」と書かれたものもあれば、...
禅宗はまさに「教外別伝」じゃ。 だから禅宗における「見性(けんしょう):性を見る」の意味するところは、その他の宗派とはひと味違う。もちろん...