金歯と田中さんとシーラカンス ぐっちーさんと話そう<98>

シーラカンスの時間感覚 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

X(旧Twitter)でお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「シーラカンス〜生きた化石に取り憑かれる」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、どうぞよろしくお願いします

記憶の化石、出土せず

ホテル暴風雨風オーナーからの質問です。

シーラカンスの綴りなんて考えたこともなかったです。「コエラカンス」的綴りとともに試験の内容はぐっちーさんの心にしっかりと刻まれたのでしょうか。

ぜんぜん刻まれてなかった。
辛い記憶が残らないタイプ、ならばそれは良いことなのでしょう。今は取り憑かれてシーラカンスの綴りもわかるしいろいろ詳しくなったことだし、試験の内容なんか要らない記憶ですね。風オーナー、どうもありがとうございます!

目からウロコ! 化石にならないと生きた化石になれません

続いて、シャルル大熊さんからの質問です。

それ、ちょっと気になってました。「デボン紀には存在した」とかすごいことが書いてあるのに、なぜ?

!!

なるほどそういうことでしたか。生きた化石と言われるには、先祖の化石がしっかり残ってないといけないのですね。言われてみると納得ですが、「起源の古さ」と「骨の硬さ」なんて全然関係なさそうなので、発想が結び付かなかったです。

サメの骨は儚い。まるで大学院入試の記憶のように……

「恐竜の復元図の色はてきとう」と聞いた時のショックと似ています。サメの先祖、どういう姿だったかあまりわからないということですね。
貴重な気づきでした。シャルル大熊さん、どうもありがとうございます!

田中族の繁栄

ふわゆさんからコメントいただきました!

えっ、田中さんですら淘汰されてしまう? そんな勝者総取り現象が起こると言われているのですね。小選挙区みたいな話だなあ。

田中族の中でしか婚姻してはならぬという厳しい掟のある村に、ある日佐藤族の若者が迷い込み……ロミオとジュエットみたいな悲しいロマンスが生まれそうですが田中姓存続のためならばやむなしか?

金歯にネームって

金歯だけ残っても何だかわからなそうですから、骨も自分の歯も丈夫にしとかないと! って、あれ……?

そうですよ、単なる化石になっちゃったら名前消滅ですよ! 金歯……そこはこだわるんですか?

名前が消滅しないように死守しつつ他の一族よりも長く、もはや別種に進化するところまで生き残れば、あるいは。

「諦めたらそこで試合終了」もその通りですが、試合がどうあれ「最後までそこに残ってた人が勝ち」ですよね。

しかし夫婦別姓反対派の人たちも、日本人の姓のほとんどが消滅し、単一化することは良しとしないんじゃないでしょうか。
この先いろいろな論争が起こるんでしょうねえ〜。面白いや(無責任)。

自分の好きな名前を選べると、その時々の流行に左右されたり、かっこいい姓に人気が集まったりしないでしょうか。キラキラサーネーム現象。佐藤さんも田中さんも斎藤さんもキラキラ味は薄めなのでちょっと不利そう。

問答無用で名前が存続するプランが出ました!

皇室典範を変えようという新しい方向からのムーブメントがくるか

天皇陛下もお困りになられましょう

「渡邉」さんと「渡邊」さんをいまだに書き分けられません。すみません。いい覚え方、ないでしょうか?

斎藤は当事者だけに少しは詳しいです。「西塔」さんとか「佐井藤」さんとかもいてなかなかフクザツな世界です。

「斉藤」さんとすぐ間違われるのは「斎藤」あるあるですが、そんな「斎藤」さん向けtipsを披露します。「国家斉唱の斉じゃなくて書斎の斎」だの「中が示すという字の斎」だのと何度も何度も言っても覚えてくれない人にも「心斎橋の斎です」と言うと通りがいいです。ただし相手が関西の人の場合限定です。

天皇陛下から離れろ。それはさておき多奈加亭ってケーキ屋さんありますね。始めたのは田中さんかしら多奈加さんかしら意外と佐藤さんかしら。

そもそもこんなに多種類の名前があるってことが面白いなあと改めて感じました。明治のはじめ、万人に苗字が許されて色々な名前が誕生したおかげでしょうか。佐藤さんも田中さんも斎藤さんも、当時はキラキラしてたからこんなに多いのかもしれません。とするとやはり、今後の日本文化の魅力を保つためには「好きな名前名乗っていい」作戦は好手ではないでしょうか。

ふわゆさん、どうもありがとうございます!!

今回のタイトル絵ですが、ぐっちーさんおすすめのYouTube動画「“生きた化石” シーラカンス | ナショジオ」を見た感動を素直に絵にしました。標本や写真だと、平べったく骨が癒合したような尾ビレの特異さはわかるものの、手足のような太い腹ビレ・背ビレの「ふつうの魚と違う」と言われる特徴は今ひとつわかりにくいです。が、動いているとわかる! 神秘的な姿に取り憑かれ注意。

シーラカンスの時間感覚を妄想しました。生きた化石といえども一個体がずっと生きているわけではないだろう、と突っ込まれるのは承知ですが、シーラカンス、個体としてもかなり長命だそうです。100年くらい生きるとか。

というわけで今回はこれにて。

次回のテーマは「ジャッカル」です。妄想旅ラジオ第99回「ジャッカル」と関連した内容になります。ここで大事なお知らせです。約4年間ご愛読いただいた「妄想生き物紀行」ですが、100回目をもっていったん終了といたします。エッセイもXでぐっちーさんとお話しよう企画もあと残すところ2回となります。みなさま、ぜひエッセイを読んで、ぐっちーさんとお話しましょう! ジャッカルは知っているようなよく知らないような微妙な立ち位置の生き物ではないでしょうか。ラジオのほうも、エッセイの予習がてらぜひ、初めての方もヘビーリスナーの方も、聴いてみてください! 次回もどうぞお楽しみに。

ホテル暴風雨にはたくさんの連載があります。小説・エッセイ・詩・映画評など。ぜひ一度ご覧ください。<連載のご案内>