またTwitterでお話しました
みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。
先週のぐっちーさんのエッセイ「妄想生き物紀行 第2回 ガラパゴスゾウガメ 〜世界の子供達をミスリードするポケモンの罪とは」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、今回もお伝えいたします。
先週のエッセイ、そしてポッドキャスト「妄想旅ラジオ」第2回「ガラパゴスゾウガメ」もお聴きになるとよりお楽しみいただける内容です。
変態の地位向上が必要?
先週のエッセイ、何と言っても「変態」が印象的でした。「変態」を辞書で引くとたいてい第一義に「形態が異常であること」とあります。
つまり目に見える形がいつもと違う、変、おかしい、ということですね。第二義と第三義をいわゆる「変わった性癖」と昆虫など生物の「メタモルフォーゼ」が争っている印象でしょうか。
ですが日常で形が異常であることを「変態」とあまり言いません。私はかなりのくせっ毛なのでしばしば朝起きると髪の毛がすごく面白い形になっていますが、これも「今日は髪型が変態している」と言ってもいいのでしょうか。あまり言わないし言ってもわかってもらえない気がします。「変わった性癖」が現代日本では変態の第一義と思えてなりません。
そこへこんなコメントが!
アニメ「ハイスクール奇面組」を再放送して『変態』の地位を上げないとダメですね。
「ゾウさんのすきゃんてぃ」は
「ガラパゴスゾウガメさんのすきゃんてぃ」に変えて、おニャン子クラブが『進化』したAKB48に歌ってもらいましょう。アイドルヲタは世代を替えても変わらない気がしますね。
— 坂の餅 (@korogaru40) July 22, 2020
確かにポケモンの変身をどう呼ぶか会議で「変態」が負けた(※注 ぐっちーさんの脳内会議です)のは、ひとえに「変態」という言葉のイメージが今ひとつよろしくないから。
この案にはぐっちーさんも私も「懐かしい〜」と昭和マインドを大いに刺激されました。坂の餅さん、ありがとうございます! ハイスクール奇面組の再放送で地位が上がるかはさておき、変態の地位向上は大事ですね。懐かしアニメといえば、私の髪型はかなりの再現度で「キャプテン翼」や「クリーミーマミ」に変態いたします。
引き続きポケモン問題を考える
進化か変態か、他に良い呼び方はあるのか?まじめにポケモン問題を考えるコメントもいただきました。
私も、変態や成長・生長が適当な用語だと思います。
その上で、「同一個体のまま進化」が成立するとしたら、例えば、ベニクラゲのように生活環を逆転でき、再発生の際に、ミューテーションが起こるなら、進化と呼べそうな気もします。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) July 22, 2020
ベニクラゲは同一の個体が生き続ける不思議な生き物ですね。この場合、生まれ変わったベニクラゲを逆に「変態」と呼んでいいのかもよく考えるとわかりませんが、何度も再発生して変化したら確かに「進化」と呼べそうです。これと比べるとやはりポケモンは「成長(生長)」が妥当でしょうか。トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】さん、ありがとうございます!
ポケモンからシン・ゴジラへ
またこんな質問も。
グッチーさんに質問です。
シンゴジラも進化ではなく変態する生き物と考えるべきでしょうか?— シャルル大熊 (@charles_okuma) July 22, 2020
確かにポケモンの進化がいかんならシン・ゴジラはどう? と聞いてみたくなりますね。映画の中でも進化とか退化とか、言ってました。ぐっちーさんの回答はこちら。
私もシンゴジラ見ました
あれもまさしく変態と呼ぶべきだと思います
ただ、生物は発生の段階で系統発生を繰り返すと言われていて、ゴジラが成体だとするとカマタ君は発生途中なのかもしれません
完全変態の昆虫も発生の途中で同化能力を獲得したと見ることも可能ではないかと考えています— ぐっちー (@mousou_guccy) July 22, 2020
シン・ゴジラについては、ぐっちーさんはもう少し後の「妄想旅ラジオ」でも独自見解を披露しています。そのうちエッセイにも出てくるかも!? どうぞお楽しみに。シャルル大熊さん、ありがとうございます!
ぐっちー家、教育の成果はいかに
そして私が是非聞いてみたかったのはこちら。エッセイにはない(ラジオに出てくる)エピソードではありますが、ポケモンの「進化」を、これは「進化じゃなくて変態だ」とお子さんたちに教えたというお話がすごく面白かったので、お子さんたちのその後の反応が気になっていたのです。教えた当初はあまり聞き入れられず、ということでしたが、その後新たなリアクションがあったのか、伺ってみました。
(ラジオで登場のエピソードですが、ぐっちーさん @mousou_guccy はお子さんたちにポケモンの進化は本当は変態だと教えられたそう)こういう話は案外長く記憶に残り、 お子さんが学校で進化について習った時に「あ、お父さんが言ってたのそういう意味か」と実感したりするんじゃないかと思うのですが
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) July 21, 2020
ぐっちーさんのお答えは……
ポッドキャストを始めたのが5年前なので上の子はまだ小学生でした
今はもう高校生で、進化について学習しているはずです
自民党の広報でも生物の進化とバージョンアップという意味の進化を混同してしまっているようなので、このコラムを読んで頂きたいですね
子供達は正確に理解していると思いますが— ぐっちー (@mousou_guccy) July 21, 2020
さすが、教育の賜物です。小学生にして「進化」の厳密な意味について考えを促すという英才教育、今後が楽しみですね。
それにしても「進化」という言葉はあまりあちこちで便利使いされて、ちょっと食傷気味です。今こそ「変態」が待たれる時代なのかもしれません。
進化と絶滅とデジタルコンテンツ
当ホテルのもう一人のオーナー、オーナー風こと風木一人(動物大好き)からも質問です。
#ガラパゴスゾウガメ の巨大さと長寿には驚きます。
ガラパゴスにはカメの巨大化を促す特殊な条件があるのでしょうか?
それとも他の土地にも巨大な #リクガメ はいるのでしょうか?#妄想生き物紀行— 風木一人@新作『もういちわ とんでいく』発売中! (@Kazeki_Kazuhito) July 22, 2020
小さな島の中での独自進化というと、どちらかというと小型化するイメージがあるので、私もこれ、不思議だったんですよね……
インド洋の島にもゾウガメがいるようですね
やはり天敵がいないことで大型化が可能だったようです
やはり航海の食料として乱獲されてほとんど絶滅してしまいました
寿命が長いので繁殖にも時間がかかりそうです— ぐっちー (@mousou_guccy) July 25, 2020
なるほど、天敵がいないという要素がそれだけ大きいということですね。
ところで、ゾウガメは本来の生息地から持ち去られたことで絶滅してしまいましたが、「ポケモン」のようなデジタルコンテンツは、生息地からたくさん持ち去られる(よく売れ、よくコピーされ、よくダウンロードされる)ことでむしろ繁栄するのが面白いところです。違法ダウンロードや、安易に真似た類似品が出回る場合は必ずしも「繁栄」でないかもしれませんが、オリジナルコンテンツに強烈な個性と魅力があれば結局繁栄の助けとなり、もしならなくともその設計思想や形質は残るといえます。
ここで改めて、ぐっちーさんの提唱する「ガラケーにポケモンGOを搭載させたVRゲームを開発し、世界から人を呼び込むポケモンツーリズム」について考えると、非常に面白い案ですが、これもまたデジタルコンテンツの一種。面白さをわかってもらえないと人が集まらないけれど、わかってもらえて世界中に似たようなものが広まっては「ガラパゴス化」が保てないというジレンマがそこにあるような気が……どうしたらいいんでしょう。日本の景色風土にこそ似合うガラケーの開発? 梅雨の湿気や夏の猛暑など日本によくある気象条件で現れるポケモン? 教えてぐっちーさん!
今回もぐっちーさんと話そう企画、コメントくださったみなさま、どうもありがとうございました。
最後に、今回の記事タイトルですが、「ガラパゴスゾウガメ」を(スペイン語部分を)直訳すれば「カメゾウガメ」であるという話が結構衝撃的だったのです。琵琶湖レイクに富士山マウンテン、本能寺テンプル。外来語と混ぜすぎて変になる、これもガラパゴス的日本語でしょうか。
次回のエッセイは「ヤンバルクイナ」がテーマです。妄想旅ラジオ第3回「ヤンバルクイナ」 に対応しています。よければ是非ラジオで予習しつつ、どうぞお楽しみに!