ぐっちーさんと話そう<16> 寝ている間に海に還る

パキケトゥスとシカの会話 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

12月28日、こんな場面があったかも……(詳しくは本編を!) illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

Twitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「妄想生き物紀行 第16回 シカ〜生物学革命の真っただ中で、古典的なエゾシカの食物連鎖を叫ぶ」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、今回もお伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただき、そしてポッドキャスト「妄想旅ラジオ」第16回「シカ」もお聴きになるとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

もしも千葉県と栃木県が合併したら!?

今回のエッセイの冒頭でさっそくびっくりしたのは、「シカは偶蹄目」という知識がもう古いということ、そして新しい分類が「鯨偶蹄目」という、なんじゃそりゃ!? とあからさまに謎めいた名称だということでした。同じように感じた方も多かったはず。そこでお聞きしてみました。

前回のマンボウの時も分類上のニューウェーブの真っ只中にいるんだなと実感したものですが、もはやこんなの、日常茶飯事だったりするのか。だったらびっくりですが。

ですよね〜、鯨偶蹄目って!

つくづく学生の時に教科書にあった知識がどんどん古くなる時代って面白いです。進んで得ようとする人だけが、そして得ようとしさえすれば誰もが現実の手触りを知れて、得ようとしない人はむしろバーチャルな世界に生き続けているような感じがたまらないです。

現実といえば、ぐっちーさんは通勤中によくシカと出会うと以前ラジオで聴いたのですが……?

やはり今もシカと出会う日々、路面が凍ってツルツルの今はシカも人間もお互い、交通事故に最も注意を払うべき季節なのですね。

エッセイのページの冒頭に載せた、この写真ですね。

これは春の始め頃か、まだ道に氷が残っています。シカ、存在感ありますね。

「駆除」は害虫・外来種の魚・ネズミなどでもかなり何かを思わされる行為ですが、シカとなるとますます生々しく感じられます。「妄想旅ラジオ」のリスナーはみなさんご存知と思いますが、人間と他種生物の最適な共存とは何か、という答えの出にくい問いはぐっちーさんの大きな関心事。シカなど自然を身近に感じることでそれらが現実の手触りを失うことなくいつも頭にあるんだろうなと感じ入ったのでした。

寝ている間に鯨偶蹄目

シャルル大熊さんからご質問いただきました。

それ、不思議ですよね。シカとクジラが近いと言われてもにわかには信じられません。

5000万年が長いんだか短いんだかわからなくなってきます。

たしかに、人類の進化のスピードを考えれば、それくらいは行ける! かも?

だってこれですよ。

パキケトゥス復元図 

パキケトゥス復元図 by Nobu Tamura

私もちょっと調べた(といっても例によって検索ですが)ところ、 この「パキケトゥス」は5300万年前ほどに生息していた、最古の原始的クジラ類だそうです(Wikipediaより)。

大きさはオオカミくらいで、水陸両域にいたけれどどちらかというと陸上生活に適していたとのこと。見るからにそうです。頭が大きくて首が太い犬みたいです。目の位置が高かったので体の大部分が水に浸かっていても周囲を視認できたということですが、うーん、5000万年あったとはいえこうなるとは……

仕事納めと聞いて上の画像二枚を見比べると、やれやれ一仕事終わった、海行こう、海! みたいに見えてきませんか。

というようなわけで描いたのがこのページの冒頭の絵です。

パキケトゥスとシカの会話 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

改めて載せますが、これです。パキケトゥスとシカの会話 illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

クジラの先祖がシカの先祖を海に誘ったがシカの先祖は断ったの図、であります。シカの先祖じゃなくてシカじゃないかと怒られそうですが、共通の先祖を持つ近い種なのだから当然といえば当然ながら、真面目にシカの先祖を描くとクジラの先祖と大して姿が変わらず限りなく意味不明な絵になりそうだったもので……ほかにもあれこれおかしなところのあるフィクションということでひとつ、よろしくお願いします。いや〜、シカがあの時海に行っていたらと思うと。

人類が自滅することなくこの先数千万年の進化をしたならば、子孫はどんな姿になっているのでしょうか? タコとワシを足して100倍したような?それとも……

分類学、という概念がまだあるならば、それも面変わりしていることでしょう。人間は霊長目と思われていたがむしろ昆虫に近かった、と判明しているかもしれません。

シャルル大熊さん、ありがとうございます!

人類の未来に思いを馳せつつ、今回はこの辺で。

次回のエッセイは可愛い可愛い森のアイドル「オコジョ」がテーマです。どうぞお楽しみに!妄想旅ラジオ第17回「オコジョ」も、オコジョの生態のみならず、オコジョと紋章の知られざる深い関係、唐揚げで世界平和、など楽しさ満載の回ですのでぜひ予習がてらお聴きください。

ご意見・ご感想・ぐっちーさんへのメッセージは、こちらのコンタクトフォームからお待ちしております。

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