Twitterでお話しました
みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。
今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「タヌキ〜日本で最も穏やかな生活を送るタヌキについて、日本で最も高貴な研究が行われた。」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。
先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。
タヌキはお好き? イヌはどう? エキノコックスの好みの謎
快適なすみかを得て高貴な研究の題材となっているタヌキがいる一方、毛皮取りのために連れてこられて逃げ出した流浪のタヌキ、エキノコックスに好かれたおかげで人間から警戒されまくるタヌキなど、受難のタヌキたちもいます。人生いろいろタヌキもいろいろ。
トリフィドさんからコメントいただきました。
東ヨーロッパでのタヌキの食性変化のお話、面白いです(というかタヌキの苦労が忍ばれます)。
北海道のエキノコックスは、元は大陸から持ち込まれたとのこと。食性の変わったタヌキが、そのせいでエキノコックスの好適な宿主化し、日本へも再移入・・・してしまわないか心配です。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 15, 2022
そうですよね。故郷を離れ、食べ慣れた木の実や昆虫のいない東ヨーロッパの冬、野ネズミなどを獲って食べてエキノコックス感染、もし日本に逃げ帰れてもエキノコックスゆえに人に嫌われる……過酷すぎて同情するに余りある話ですが、エキノコックスは人間にとっても脅威なので人の心配もしないといけません。
すでに愛知の野犬からエキノコックスが見つかっていますし、将来タヌキからも見つかる可能性がありますね
昆虫と果実が食べられる環境をなんとか維持したいですね寄生虫エキノコックス、本州で感染拡大の兆し: 日本経済新聞 https://t.co/vkj112bx1r
— ぐっちー (@mousou_guccy) March 15, 2022
野生のタヌキが本来の食性を変えずに済めば一応安心、なのでしょうか。エキノコックスのことをよく知らずに怖がっていても仕方がないので、正確な情報が今後ますます求められそうです。かく言う私もエキノコックス→北海道のキツネに注意 くらいのイメージしかありません。
タヌキも感染するけど、発育が悪いらしく(非好適宿主)
終宿主になりうる動物
キツネ、イヌ:好適宿主
タヌキ、ネコ:非好適宿主食性的には「キツネ、ネコ」「タヌキ、イヌ」のグループだと思うのですが、エキノコックスへの好適・非好適は違っていて、どういうメカニズムなのか興味深いです。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 15, 2022
えっ!
そうなのか……
タヌキはエキノコックスにすごく好かれるわけではないと。しかし人間の長年の相棒であるイヌに感染するとなると、本州で感染拡大したら相当深刻な問題となりそうです。
本州でも増えていることをまず知らなかったですが、エキノコックス好適/非好適宿主の区分にも驚きました。食べ物だけではないのですね。あと、犬が感染した野ネズミを食べると感染するが、直接虫卵を食べても感染しないという話にもビックリ!どういう仕組み!? https://t.co/GfyqbUghY4
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 15, 2022
はい、どういうこっちゃとにわかに興味がわき、検索してみたところ、犬のエキノコックス症に関して注意を呼びかける記事が愛知県のホームページに見つかりました。
上記リンクに情報がありますが、同じ愛知県のサイトの別記事も含め、「エキノコックス」「イヌ」についてちょっとまとめますと、
*エキノコックスに感染したキツネや犬の糞便により汚染された食物・水などを、人が偶発的に飲み込むことにより感染
*感染してから10年前後で発症、肝臓や肺に寄生し、肝不全などの障害を引き起こすことがあるが、人から人への感染はない
犬への脅威:
*犬が虫卵を直接口に入れても感染せず、感染した野ネズミを食べることで感染する
*感染しても駆虫剤で駆除できる
野ネズミがエキノコックスの中間宿主、イヌ(やキツネ)が終宿主ということです。適切に予防すれば大丈夫なのですが、その予防方法は
- 野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと。
- 野犬や野生動物にはむやみに触れないこと。触れた場合は、よく手を洗うこと。
- 衣服や靴についた泥はよく落とすこと。
- 沢や川の生水は飲まないこと。
- 山菜や野菜、果物等はよく洗ってから食べること。
- 犬の放し飼いをしないこと。犬の糞便は適切に処理すること。
最後の「犬の放し飼いをしない」というのがポイントで、うっかり野ネズミを食べてしまったりしないよう、愛犬の感染を予防する必要があるそうです。
タヌキでなく、苦手な人の多い寄生虫の話になってゴメンナサイ🙇♀️という感じですが…
宿主側の不思議と、寄生する側の不思議と、ダブルで不思議ですね。これもまた、生物学のホットな話題のようです。
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 15, 2022
私は興味があるので思い切り食いついてしまいましたが、苦手な方ごめんなさい。でも感染しないようみなさん気をつけて!
宿主といえば一般的にもウイルスがホットですしね。ウイルスは一般向け書籍の数が少ないのですぐ読めちゃって渇望感がすごかったですが、増えてきてるのかな? なぜコウモリがあんなにウイルスに愛されてる(かに見える)のかとか、何もしない(かに見える)ウイルスの多さとか、不思議です🧐
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 16, 2022
ウイルス・菌類が面白いとは以前から思っていましたが、やっぱり寄生虫も面白い……。
トリフィドさん、どうもありがとうございます!
タヌキ、進化中
ふわゆさんからは、タヌキの目撃情報(動画)いただきました。
2年前の正月、田舎へ帰省した時に「あけましておめでとう〜」って感じで門からタヌキが入ってきました😆田舎ですが家の近くで見かけるのは珍しく、いかにも体調が悪そうなので、もしかしてエキノコックスなどに感染しているのかも。捕食が出来ずに里へ降りてきて、猫のエサでも狙っているのか? pic.twitter.com/v5bC7SfHYz
— ふわゆ (@100kero1) March 16, 2022
妙に慣れた様子ですよね。昔の人もこういう姿を見て化かされてしまったのでしょうか。
ふつうに門から入ってきている😆
冬は食べ物が少ないのと、やっぱり体調が悪いのでしょうね。人里は危険も多いと思いますが食料入手が簡単なんでしょうか🤔— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 16, 2022
「わ〜タヌキ来た〜!」とテンションが上がり…つい、カワイイ〜と思ってしまうのですが。やはり野生動物は山で暮らすのが さだめ。
愛護ではなく、保護の観点で考えないとダメですね。— ふわゆ (@100kero1) March 16, 2022
人に慣れていますね
人工物も食べているようなのでゴミをあさっているかもしれません
誘き寄せないような対策が必要かと思います— ぐっちー (@mousou_guccy) March 16, 2022
そうですね。珍しいだけに、餌付けされてるのかも知れません。
野生動物は山へ返すように、意識付けなければいけませんね。— ふわゆ (@100kero1) March 16, 2022
タヌキは珍しいとはいえわりと人里近くで暮らしてきた生き物です。ヒト側の対応も千差万別、統一はされていません。タヌキとヒト、お互い快適に共生するにはまだ課題が多いですね。
ところでこの動画のタヌキは恐らくホンドタヌキ。北海道にいるのはエゾタヌキ。亜種ですが、この二種に、素人が目で見てわかるくらいの違いはあるのでしょうか? これは北海道在住のぐっちーさんに聞いてみないと。
ぐっちーさん @mousou_guccy 、北海道でもタヌキを見かけるとのこと、それはもちろんエゾタヌキですよね。ホンドタヌキよりハッキリと大きいんでしょうか? 私が近所で見たタヌキは小さめの猫くらいという印象で、タヌキ意外と小さいなと思ったのを覚えています。
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 15, 2022
見かけると言っても道路によく飛び出してきて、轢かれているタヌキが近年多くなってきています
ただ、シンガポール動物園で見たタヌキは少し小さく感じたので、もしかしたら本州よりも大きいのかもしれないですね— ぐっちー (@mousou_guccy) March 15, 2022
交通事故の犠牲に! 人里に慣れているタヌキが多いとはいえ、車のスピードになかなか慣れるものではないのか。タヌキ用の信号つけるわけにもいかず、こういう事故は防ぎたいけれど防ぐのは大変です。車にタヌキセンサーとかつけたらいいんでしょうか。
そうなんですね。大きさが主に違う亜種というのが、体長の目安なんかはよく書いてありますが、見てはっきりわかるようなものなのか気になっていたんです。進化の途中には大きさのバラツキ具合も変化しそうですね。
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 15, 2022
そうだ、エゾタヌキの大きさの話でした。ベルクマンの法則に従い「ヒグマ」と「ツキノワグマ」なんかかなり大きさが違います。タヌキも進化中で今後サイズが変わるとしたら、エゾタヌキが巨大化するのかホンドタヌキが小型化するのか、興味の尽きないところです。
ふわゆさん、ありがとうございます!
皇居のタヌキ研究
さて、天皇陛下(当時の)が調査のためタヌキのフンなどを調べるなどして論文を発表、と聞いても、「どのくらいご自分でされるのか」というところに興味が湧くのは人情というものですが、
手ずから採取し、顕微鏡で分析なさったとのこと
天皇陛下が論文を発表 テーマは「皇居のタヌキ」(16/10/07) ANNhttps://t.co/eOi1EJ6Qru
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 15, 2022
手ずから!
自らの手で!
しかも五年間毎週ですよ
最近の研究は短期で結果が出る事が好まれますが、長期間の調査が信頼性をグッと増しますね— ぐっちー (@mousou_guccy) March 15, 2022
5年間毎週!
そういえば科博の展示で…と、撮ってた写真を見返したら、「ご自身で」とキャプションがついていました。
天皇陛下御即位三十年記念展示
企画展「天皇陛下の御研究と皇居の生きものたち」
2019年2~3月https://t.co/5VjYxxIIjG pic.twitter.com/JnbTm2gFXV— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 15, 2022
これがその写真!
思わず「!」連発です。根気強く研究している研究者はたくさんいるしそれが普通、なのでしょう。ですが、天皇陛下も、そして他の研究者の方も、一日中タヌキのフン集めて顕微鏡を覗いていられる時間があるわけじゃないですから、すごいことだと思います。学術研究が何の上に成り立っているのか、あれこれ考えさせられる写真。
5年間毎週とは……根気のいるお仕事です。都内で原生林が残るのは吹上御所と目黒自然教育園のみと聞いたことがあります。本当に貴重な調査ですね。この展示でのタヌキ(以外でも)の情報で、特に印象的だったものはありますか?
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 15, 2022
タヌキ以外では、ご専門のキマダラハゼ関係の展示でしょうか。スケッチもありましたし、論文の著者名が、Princeの頃のものも。 pic.twitter.com/tICn73jai8
— トリフィド【いさましいちびの博物愛好家】 (@tri_triffid) March 16, 2022
ハゼの標本やスケッチの展示も! そういえばご専門はタヌキではなくハゼなのでした。
昨年も新種を発見、というニュースがありましたし、長年熱心に研究されているのですね😃 皇室の方が学術研究をされる伝統も面白いですよね。
— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 16, 2022
日本にいると「そういうもんか」と思いがちですが、王族が学術研究をするというのは、(日本だけかは不明なものの)わりとレアなようです。
タヌキに限らず、都内なのに原生林が残る皇居の生物生態は多くの研究者が興味を持つところでしょうが、学術的な意義や個人の熱意だけで調査が可能になるわけではないもよう。先日、愛子内親王が「動物が好きで皇居の生き物に関心がある」と会見で発言されたそうで、そこに希望を見出した研究者も多いのでは。
トリフィドさん、もう一度、ありがとうございます!
たぬきケーキを食べてみたい
さて、果報は寝て待てと申しますが、ぐっちーさんからステキな情報が。
タヌキケーキについては触れませんでしたが、人気再燃のようです#ホテル暴風雨
昭和に流行「たぬきケーキ」、SNS映えで人気再燃…小中学校の卒業祝いに(読売新聞オンライン)#Yahooニュースhttps://t.co/7X02zytkqS
— ぐっちー (@mousou_guccy) March 16, 2022
おおっ!
#タヌキ がテーマの今週の #妄想生き物紀行、編集後記にしれっと Twitter で #たぬきケーキ についてもお話しましょう! と書いたのでしたが、人気再燃とは(実はたぬきケーキ食べたことがないので興味津々なのです)。
昭和感満載なかわいさ。 https://t.co/ay1qP8ASE6— SAITO Ukyo (@ukyo_an) March 17, 2022
そうなんです。先週のエッセイの最後をよ〜く読み直していただくとわかる通り、「たぬきケーキについて などなどお話しましょう」と、本文にたぬきケーキの記述は皆無だったにも関わらずしれっと書いておりました。
たぬきケーキとは知る人ぞ知るたぬき型のケーキ。私は最近まで知らず、写真でしか見たことがないので、人気再燃は朗報として受け止めました。お店によって材料も味も姿も違うのですが、モチーフがタヌキであるという以上の、何ともいえないレトロかわいいテイストが共通しています。いつか出会える日が(そして食べる日が)来ると嬉しいです。
ポチ子さんからは写真が!
夫婦タヌキ❤️ pic.twitter.com/h8eAe6zZxp
— ポチ子 (@mousou_pochiko) March 17, 2022
何これかわいい。
写真を見たことのあるたぬきケーキの中でもかなりかわいいです。
リアルな造形ではないのに、丸っこくマンガっぽいタヌキというより本物のタヌキの特徴を捉えた一品。鼻先のとんがりと色を変えたところがすごく効いていると思います。いいな〜。
ポチ子さん、ありがとうございます!
そんなわけで、描いてみたのが今回の絵。皇居のタヌキがたぬきケーキを作ってプレゼントという妄想です。
タヌキはお世話になったとは思っていないでしょうし、野生動物なのだし直接お世話もされていないでしょうが(いや、トイレの掃除か!?)、安全なすみかを得るにあたり、間接的にはお世話になっていると言えるのではなかろうか。
では今回はこれにて。次回のエッセイのテーマは「ナマズ」です。妄想旅ラジオ第46回「ナマズ」 では、世界の大・ナマズ紀行(ぐっちーさんの生き物パート)やナマズグルメ(ポチ子さんの食べ物パート)が楽しめます。たまさんの「調べ物パート」は意外な切り口。何がテーマになるのかもお楽しみなのでネタバレしないでおきます。エッセイの予習がてら、ぜひ聴いてみてください。次回もどうぞお楽しみに!
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