鉄の鎧に超**な足!? 美しきUMA・スケーリーフット  ぐっちーさんと話そう<64>

描きたい欲をそそる生き物・スケーリーフット illustration by Ukyo SAITO ©斎藤雨梟

Twitterでお話しました

こんにちは。今週もよろしくお願いします!

みなさまこんにちは。
「妄想生き物紀行」編集担当、ホテル暴風雨オーナー雨こと斎藤雨梟です。

今回も、ポッドキャスター・ぐっちーさんのエッセイ「スケーリーフット〜ワニワニパニックとスケーリーフットの進化の過程」を読んで、ぐっちーさんにあれこれお聞きしたもようを、お伝えいたします。

先週のぐっちーさんのエッセイをお読みいただくとより楽しめる内容です。

ぐっちーさん、よろしくお願いします

スケアリーフット〜本当にあった怖い話

まずはホテル暴風雨・風オーナーからのコメントです。

スケアリーフット。生足なのに鉄のウロコがついてるっていうのも怖いと言えないこともないですけれど。

そっちか!

実話か!!

本当にあった超怖い話でした。

あってよかった熱水噴出孔。

匂いというか足もろともどうにかなっちゃうけどこれで安心です。

ウロコフネタマガイはスケアリーフット “scary(怖い)foot” ではなく スケーリーフット“scaly(うろこ状の) foot” ですのでみなさまお間違えのないように。

風オーナー、ありがとうございます。

スケーリーフット(ウロコフネタマガイ)は熱水で足を洗うか

ところで、ウロコフネタマガイは深海の熱水噴出孔付近に棲むということなのですが、それってすごく熱い場所? 熱湯? 高圧下の熱湯だからまさかの100℃超え?

それが気になるものの、ちょっと調べてもよくわからないのでぐっちーさんに聞いてみました。

気になりますよね、これ。300℃で生きられるとかだったら生命の神秘すぎるのでは。

さすがに100℃超えはなかった。
にしても、ところは高圧の深海底の熱水噴出孔付近、鉄の鎧を着たままで風呂入りっぱなし。いろいろエクストリームな生き物で興味は尽きません。

スケーリーフットことウロコフネタマガイは磁石で釣れるのか

ウロコフネタマガイ(スケーリーフット)のことを検索していたら「磁石につく貝」という記述が時々出てくるのですが、一方であの足のウロコの「鉄」は「硫化鉄」だとも書いてあります。ここでまた疑問が。

「硫化鉄」を作る実験、中学校の時にやりました。鉄粉に硫黄を混ぜて加熱するとゆで卵みたいな匂いがして硫化鉄ができます。磁石を近づけてもあら不思議! さっきまで磁石についていた鉄が、全然反応しなくなっている!! ていうやつです。

同じ実験をした方もいらっしゃるかと思います。磁石につかないことが硫化鉄のアイデンティティではないのか?

グレ……イガ……!?

「グレイガイト」なんて初めて聞きましたが、硫化鉄も一種類ではないのでね。

中学の理科の実験で作る硫化鉄は硫化鉄(II)で組成式はFeS

ウロコフネタマガイの足のウロコに含まれるのは、

パイライト FeS2

グレイガイト Fe3S4

だそうです。磁石につくのはグレイガイトの方だけ。へえ〜!

と一人さびしく脳内へえ〜ボタンを連打していたところ、トリフィドさんからコメントいただきました。

スケーリーフットの密かな墓場。妄想をそそる絵です。

それに、卵胎生の可能性って、ええっ!?(ついていけていない)

細菌を親から貰えるということは、親子の接触機会が多いことを意味する→卵生だと接触機会が少ないはずだから卵胎生では?

という意味なのでしょうか、お聞きしました。

なるほど、細菌が親由来だとしたら接触機会が多いはずというのはOKでしたが、それだけでなく、過酷な環境なので卵胎生のメリットが大きいはずということなのですね。

稚貝見たい〜!!

タマガイの研究ならば進んでいるのでしょうか? 稚貝も見られるか、楽しみ!

むやみに錆びさせたくはない、写真でいいから撮ってきてほしい〜!!

スケーリーフット(ウロコフネタマガイ)の研究を追う

さらに、トリフィドさんのドキドキワクワク推測は続きますよ。

雌雄同体!?

確かに、カタツムリなんかは雌雄同体だし似てるし……?

そんなことは一瞬も思いつきませんでしたが、雌雄同体とは何かを今一度考えてみる私であります。

雌雄同体とは一個体のなかにオスとメスの機能が備わっている生物のこと。「相手を見つけても同性同士だと生殖して子孫を残せない」ということが起こりえません。環境が過酷、個体密度が低い、移動するスピードが遅いなど出会いの少ない環境では雌雄同体であることが有利に働くと考えられます。

雌雄同体ならば相手を見つけなくても一個体で生殖できるのでは? と考えがちですが、それが可能である生物であっても、自家受精を行うことは稀だそうです。自分とは違う相手を見つけた方が遺伝子が多様化して生存に有利だと本能で知っているからなんでしょうか。相手探すとか面倒くさいのに凄いです。ものぐさなやつはいないのか。

自家受精で殖えていくのなら雌雄同体よりも無性生殖の方が使うエネルギーが少なくて良さそうですし、「相手を探すの面倒くさい」派のものぐさ系統は滅んでしまうか無性生殖に進化するかどっちかなのかも?(注:妄想です)

えっ、本当に雌雄同体だったのか!(妄想レベルの違いに驚愕)

リンク先の記事をこちらにも載せます。

ドラゴンの心臓:’スケーリーフット腹足類’(軟体動物門:腹足綱:ネオンファルス目)の3D解剖学的再構成はその驚くべき循環系を明らかにする(国立科学振興機構のホームページ)

ややとっつきにくいですが面白い内容でした。思いがけない場所に変わった生き物がまだまだいるかと思うと本当にワクワクします。

トリフィドさん、どうもありがとうございます!

今回のページトップの絵はこれでした。

何のひねりもなく描いただけなんですが、スケーリーフット、こんなに「描きたい欲」をそそられる生物っているでしょうか。いるか。いっぱいいるか。

でもやっぱり、絵を描く人たちに聞きたい。これは描いてみたい! と思いませんか。私は思います。だからただ描いてみました。けっこう形は取りやすく特徴は捉えやすく、それっぽく描くのは簡単で、色を塗るのが超楽しいです。色違いむやみに描きたい。ですが、足のひらひらしている部分が「ウロコ」であってオウムガイみたいな「細いたくさんの足」ではないことが少し表現しにくいです。超リアルに描けば伝わるんでしょうが、そういうの描きたいわけじゃいし……あ、オウムガイも描きたい欲そそられランキングかなり上位だよね……と、またまた何のひねりもなく「描いてみた感想」でした。

では今回はこれにて。

次回は番外編、妄想旅ラジオ第65回「ぐっちー家族旅」 で放送された、ぐっちーさん一家のイギリスへの家族旅行レポートのテキスト版をお送りします。ぐっちーさんと奥様とお子さん二人の一家四人で、イギリスの湖水地方に義理のお姉さんご夫婦を訪ねるという旅。現地の暮らしを垣間見たり、観光もしたり、同じ土地に行ったとしてもなかなか得られない経験をぐっちーさんが語ってくれます。コロナ以前の海外旅行レポートという点でも、今こそ価値のある内容のはず、どうぞお楽しみに!

ご意見・ご感想・ぐっちーさんへのメッセージは、こちらのコンタクトフォームからお待ちしております。

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