夢の不思議・夢の続きとなぞり書き

こいつらの正体については後ほど文中にて。

夢、覚えていますが。

先日、みやちさんの連載「あてのない旅」で、夢の話が取り上げられていた(「夢、覚えていますか?」)

その記事によると、人は一晩に三つか四つかの夢を見るものらしい。

「夢はほとんど見ない」という人の話もよく聞くが、レム睡眠の時に無理やり起こして夢を見たかどうか質問するという実験の結果、80%の確率で夢を見ているということ、そして一晩に4〜5回のレム睡眠が起こるため、だいたい三つか四つの夢を見るだろうという推定だ。

なるほど、と納得の行く話だった。

というのも私は結構夢を見る。そしてかなり覚えている。

短編、連続もの、バージョン違い。夢は現実の編集過程?

とはいえ、一晩に三つか四つかの夢を見るとして、いつもその全部を覚えてはいない。途中であまり起きずに朝まで眠った場合、きっと覚えているのは起床直前に見た夢だけなのだろう。

しかし私は眠りが浅く夜中によく起きるのだ。起きた時に直前に見た夢を覚えており、ぼんやりした頭でその夢を反芻しながらまた眠ると、起きる前に見た夢も次に見た夢も両方覚えているということはある。

三つか四つの夢が全部全然系統の違う、「短編四本立て」のような夢だった場合、眠りが中断されたとしてもさすがにすべては記憶していないのだが、夜中に起きてぼんやり夢を反芻しつつ眠った場合、かなりの確率で前の夢と関連のある夢を見るもので、その場合は多くの部分を覚えている。

もっともよくあるのが、続きを見る「連続ものの夢」パターンだ。種類としては、よく考えればかなり荒唐無稽でありえない設定なのだが見ている時には妙にリアリティーのある夢で、「夢ー覚醒ー夢」のミルフィーユのような構造になっているため、一度起きて「あれは夢だったのか」と思ったものの「やっぱり夢ではないようだ」と(夢の中で)思い直すなど、夢か現実かをよりわからなくする仕掛けに満ちている。大抵は見ていて楽しい夢である。

次によくあるのは、一度起きた後、だいたい同じだが少し違う、「バージョン違い夢」を見るパターンだ。こういう夢だった、と認識したものの、どこかモヤモヤする、思い出せない、と思った点を確認し、より濃くなぞり書くかのように二度、三度と似たような夢を見る。
完全に夢だと自覚してコントロールできる夢を「明晰夢」と呼ぶらしいが、この「バージョン違い夢」の場合、後に見たバージョンほどこれが夢だと自覚する度合いが高くなり、明晰夢的な要素も強くなる。だが完全にコントロールできることは稀で、自分で舵を取った感覚と同時に覚醒してしまうことが多い。こういう夢は、ストーリーが展開しない一場面だったり、本当に現実に起こってもおかしくはない夢だったり、種類は様々だが「続きもの」タイプよりやや地味な夢が多い。
もしかしたら、現実を認識するプロセスとはこういうものだろうか?と思わせる夢でもある。人の記憶に刻まれる事実が事実そのままのはずはなく、この間起こったあの出来事は、ああいうことだったのか?それともこういうことだったのか?と脳の中であれこれ編集を繰り返した結果であることを、実地で見せられるような。

荒唐無稽な夢、現実にあり得るようなことがらの他、とても言葉で言い表して説明のできない抽象的な夢を見ることもある。本当に抽象的な「概念」が形を取ったような夢や、音や映像が洪水のように次から次へとやってくる夢などだ。

こうして書いてみると、悪夢を見ることもなくはないが、面白い夢の方が断然多い。夢をよく見る人は睡眠の質が良くない可能性があり必ずしも良いことではないと聞くこともあるが、まあ面白いからいいやと思ってしまう。

皆さんは、どうでしょうか。どんな夢を見て、どれくらい覚えていますか。

人の夢の話ほどつまらないものはないとはいうが

私はわりと好きだ、人の夢の話。私が話していて楽しいと思う人とはたわいのない話が何となく面白い人で、そういう人は大抵夢の話も面白い。「つまらない夢を見た」というていの話でも、そのつまらなさが面白い。そういうものではないだろうか。

と、自分で無駄にハードルを上げておいてあえて書くのもどうかと思いつつやっぱり書くわけだが、冒頭の絵の説明をしなければいけないので仕方がない。この間、すごく面白い漫画を読む夢を見た。上の絵はかろうじて復元したその一コマだが、面白くないのは復元力の不足によるものであって夢の中の漫画がつまらなかったのではない(と思いたい)。夢で死ぬほど面白かったものが冷静に思い出してみればどこが面白いのやら……というケースは悲しいかな非常に多いが、今回ばかりは違う(と思いたい)。

それはシュールな味わいのナンセンスギャグコメディで、登場キャラクターは「ハリネズミタケ」「ホウレンソウタケ」など全部きのこ。作者は早川純子さんという方らしいのだが、版画家・絵本作家の早川純子さんとは同姓同名の別人ということに夢の中ではなっている。(念のため検索してみたが早川純子さんという漫画家はいないようだ)

漫画の絵柄は(版画家の)早川純子さんとはほとんど似ておらず、漫画家のつばなさん似。すごく可愛い絵で、内容もとても面白かったので、もう一度ぜひ読んでみたいものだ。ちなみにこの夢は「バージョン違い」タイプで、夜中に目覚めた時に漫画がもう一度読みたい読みたいと願ったところ叶った(読む夢が見られた)ようだ。

しかし何度か読んだのに夢だけあって細かいところはほとんど思い出せないのが残念。あまりに面白くて、興奮して友達にすすめまくるところも夢に見たくらいだったのに。もう一度何とかして読みたいのですが、これから漫画を描こうとしている早川純子さんはどこかにいらっしゃいませんでしょうか?

ちなみに私はきのこが好きで、蜷川幸雄監督の舞台にきのこの役で出演したり、きのこで服を作ったら、うっかり鏡を見るとしゃっくりが連続で出るほど気持ちの悪い服になったのだが着心地が素晴らしすぎて捨てられなかったりと、夢界でもだいぶきのこのお世話になっている。


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